テレビ朝日ニュースステーション「ダイオキシン」報道の問題
 1999年2月1日。ニューステーションで放送された「ダイオキシン汚染―農作物は安全か?」という特集コーナーで、所沢産の青物野菜に含まれるダイオキシンの含有量が全国平均に比べ、4~5倍に達する、という「環境総合研究所」のデータが紹介されました。
「WHO(世界保健機構)が去年の春に一日の摂取量っていう厳しいのを出しました。四〇kgくらいの子どもさんがホウレンソウを二〇gくらい食べるとその基準値にほぼ達してしまう、高いものを食べた場合。低いものでも一〇〇gくらい食べるとWHOの基準に軽く及んでしまうということですから、あまり安全とはいえないですね」(坂本衞氏のウェブサイトから引用)
 キャスターは、久米宏氏。出演は、民間のシンクタンク「環境総合研究所」所長の青山氏でした。
「放送の翌日から翌々日にかけて、埼玉県内の青果市場や大手スーパーの西友、イトーヨーカ堂などは、所沢産野菜の入荷を拒否。ホウレンソウを中心に、その価格は暴落した」
といったように、深刻な「風評被害」が埼玉県内の青果マーケットに広がりました(坂本衞氏ウェブより)

 所沢JA、埼玉県などは、「安全だ」とする見解を公表し、「風評被害」との見方が広がり、久米キャスターは、被害を受けた農家に謝罪しました。

 しかし、その後、所沢市でホウレンソウなどの野菜を生産する農家の36名が、テレビ朝日と環境総合研究所を相手取って、謝罪広告と損害賠償を求める訴訟を起こし、最高裁判決でテレビ朝日側が実質敗訴しました。

 Nステのような高視聴率を誇る番組での、データ誤報・誇張報道は、しばしば報道された側の「風評被害」を引き起こす場合があり、データを厳密に検証し、放送することが求められています。

 報道から裁判に至るまでの詳しい経過は、ジャーナリストの坂本衞さんが、ウェブサイトで公開していますので、そちらを参考にしてください。

参考資料:
坂本衞「Nステ所沢ダイオキシン報道 最高裁判決を撃つ!」