「発掘あるある大事典Ⅱ」の捏造が発覚した2007年1月7日以降、調査委員会がつくられ、原因の追求が行われましたが、その中で、捏造の背景として、「制作プロダクション」の置かれている悲惨な状況が強く指摘されました。例えば、BPO(放送倫理・番組向上機構)では、2月7日、放送番組委員会の有識者委員による声明を発表。その中で、第一に「番組制作システムの問題」を指摘しています。

 番組を外部制作会社に下請けに出しているという実態については、

 

現在の番組制作においては、分業化が進んでいる。ひとつの番組が制作会社をはじめとする外部協力によって制作されることが当たり前になり、何重もの下請け化によって、実際の番組制作へのコスト面のしわ寄せなども常態化している。

 

と指摘しています。それが、番組の品質チェックを難しくしている、という構造的な問題があるとしています。

 

こうした分業構造は、広範囲にわたって、番組制作環境の悪化を招いている。外部の制作者は時間に追われて余裕もなく、時には他の仕事とかけ持ちし、十分な取材や調査が出来ないまま、番組作りが進んでいく。

 

したがって、この問題を一部の不心得のプロダクションのせいにするのではなく、放送業界全体の抱える構造的問題として考える視点が必要だ、と指摘しています。 
このような番組制作システムのもとでは、一貫した、きめの細かい品質管理を行なうことが難しくなっているのではないかと私たちは危惧している。今回の事件についても、その原因を一部の関係者の不心得に帰すのではなく、すでに放送界に定着した番組制作システムの構造それ自体の問題としてとらえる視点が必要である。
「GALAC」(ぎゃらく)2009年3月号では、こうしたプロダクションの抱える厳しい現実が詳細にレポートされています。その一部は、坂本衞さん(GALAC元編集長)のウェブサイトをごらんください