手元に、ウィキペディアに関する本が3冊ある。

山本まさき・古田雄介『ウィキペディアで何が起こっているのか』オーム社〔2008年〕
ピエール・アスリーヌ他『ウィキペディア革命:そこで何が起きているのか?』〔2008年〕
アンドリュー・リー『ウィキペディア・レボリューション』(2009年)

 いずれも、ほぼ同時期に発売されているので、内容にはかなりのだぶりがみられる。ウィキペディアに対しては、擁護的な見方と批判的な見方が分かれている。3冊目の本は、もっとも好意的に記述されているようだ。これに対し、前2作は問題点も多く指摘されている。最初の本は、ウィキペディア日本語版が主に扱われている。過去の主要な事件などの事例が詳しい。二番目の本は、フランスのジャーナリストが書いたもの。三番目は、中国のインターネット専門家が書いたもの。

 ウィキペディアの入門的内容や構成、運営方法、問題となった事例、ウィキペディアンに対するインタビューなどは、最初の本が詳しい。ウィキペディアに対する批判的見解を知りたければ、二番目の本がよいだろう。ウィキペディア誕生までのいきさつ、ウィキペディア創設者のエピソードを知るには、三番目の本が詳しい。

 この3冊を読んでも、ウィキペディアをどう評価すべきかは分からない点が多い。最近は、英語版など、収録されている項目が膨大になり、これ以上の進化は望めないという悲観論もある。日本語版は、匿名性の問題、組織上の問題などがあるようだ。今後、コンテンツの質的な向上をどうはかるかが、ウィキペディアに課せられた最大の課題といえるだろう。また、財政的な基盤が脆弱という問題も指摘されており、安定した財源の確保も大きな課題だろう。利用する側からみると、ウィキペディア利用リテラシーといった能力を涵養することも重要だ、と改めて感じた。