木村忠正著「ウィキペディアと日本社会」(アスリーヌ他『ウィキペディア革命』解説記事)に、「ウィキペディアリスク」という興味深い指摘がある。これはACM(アメリカコンピュータ協会)がまとめた、ウィキペディアの記事を信頼することに伴う6つのリスクである:

(1)正確性(どの項目も誤っている可能性が常にある)
(2)動機(記事執筆・編集の意図は多様である)
(3)不確実な専門性(執筆者がどこまで知っているかわからない)
(4)不安定性・変動性(記事がいつ編集されるかわからない、常に悪意ある編集の可能性に曝されている)
(5)対象範囲の偏り(項目が参加者の関心を反映しやすく、全体の組織的体系化がない)
(6)参照源(参照文献・資料言及の少なさ、偏り)

 いずれも、ウィキペディアのもつ問題点であり、現在でも克服されてはいないようである。とくに、日本語版ウィキペディアでは、(5)、(6)が顕著にみられるようだ。木村氏が2007年に、日本語版ウィキペディアで編集回数の多い上位300項目を内容分析したところ、「アニメ、マンガ、ゲーム関連」が24%ともっとも多く、「テレビ番組関連」と「時事的事件事故関連」がそれぞれ14%、「ワイドショー的話題の人物・芸人」が7%というように、内容的にかなりの偏りがみられたという。全体として、マスコミで話題になった事柄が多いようだ。ウィキペディアを参照する場合には、こうしたリスクや問題点、内容の偏りなどに留意することが必要だろう。