2008年、オバマの選挙キャンペーンにおいて、ソーシャルメディアが積極的に活用された。オバマの公式ウェブサイト(BarackObama.com)は、ほとんどSNSといってもいいほど、ソーシャルメディアを駆使したウェブサイトだった。それだけではなく、フェイスブック、マイスペース、ユーチューブなどのソーシャルメディアが徹底的に利用された。

 例えば、オバマの行った主要な演説はほとんどすべて、ユーチューブに投稿された。彼が行った"A More Perfect Union"のスピーチは、2010年8月時点で820万ビューを記録した。ユーチューブの専用チャンネルでは、1850ものビデオが投稿され、計2200万人がこれを視聴した。

 フェイスブックとマイスペースは、とくに若い世代をターゲットとして、組織的なキャンペーン手段として活用された。例えば、フェイスブックでは、オバマを支持する大学生は、「オバマ」と検索するだけで、他の支持者とすぐにつながることができた。オバマの公式アプリを使うと、自分のプロフィールページにこのアプリを追加することができ、、それによって他の支持者やイベントとつながることができた。iPhone用のオバマキャンペーンのアプリも提供された。これを使うと、ユーザーのコンタクトデータがサポーターのキャンペーンへの参加を促進することができた。これによって、キャンペーンメッセージをより多くのサポーターに送ることができるようになり、支持者を増やす上でも有効なツールになった。このiPodアプリ自体、一人のサポーターがボランティアで作成したものだった。

 このようにして、各種のソーシャルメディアをフルに活用することを通じて、サポーターとキャンペーンとの間の双方向的なコミュニケーション環境がつくられたのである。これによって、オバマと彼のチームは、史上初の「メディアポリティクス2.0」を生み出すことに成功したのである。2007~2008年に展開されたオバマのキャンペーンは、21世紀のメディアポリティクスにおけるお手本を提供したということができるだろう。

         (Michael Cheney and Crystal Olsen, "Media Politics 2.0 : An Obama Effect" より抜粋)

参考ユーチューブサイト:
 ・A More Perfect Union Speech
 ・YouTube BarackObama.com ユーチューブのオバマ公式チャンネル