ファックスの歴史


 ファックスというメディアの歴史は、電話よりも長いといわれる。FAXの基本原理を発明したのは1843年、アレクサンダー・ベインというスコットランド人の時計技師だったという。しかし、その原理は長く実用化されるには至らなかった。1907年、フランスのエドゥアール・ベランが写真電送装置を開発。1925年、米国ベル研究所でベル式写真電信機を発表し、翌年には写真電送を業務として開始している。日本では、丹羽保次郎氏が1924年に欧米を視察し、帰国後は写真電送の研究に取り組み、小林正次氏と共にNE式写真電送装置を開発したという。1928年、昭和天皇の即位式の際に、新聞写真の伝送用に使われ、ファックスはその威力を発揮した。(以上、「Faxの歴史」ウェブサイトより)。

 ファックスが本格的に使われるようになったのは、1970年代に入ってからのこと。1980年代に入ると、ファックスを業務用に導入する企業が増え、ファックスの普及が進んだ。一般家庭用のファックスが普及し始めたのは、1990年前後だという。

ファックス世帯普及率の推移


 一般家庭用ファックスの世帯普及率推移をみると、下のようになっている(内閣府『消費動向調査』より)。比較のために、パソコンの世帯普及率もあわせて表示する。
 
パソコン、ファックス普及率

 『消費動向調査』のデータは、ファックスの場合、1992年以降なので、それ以前のデータがないが、1992年の時点では、まだ5.5%しかなかった。パソコン普及率のデータは1987年から利用可能であり、1987年の時点で、すでに11.7%と1割をこえている。家庭への普及という点からみると、ファックスよりもパソコンの方が先行していたことがわかる。1992年以降の推移をみると、1999年までは、パソコンとファックスはほぼ並行的に普及を進めていたが、2000年以降は、インターネットの発展やパソコンjの低価格化とも相まって、パソコンが急速に一般家庭に普及し、ファックスを圧倒してきたことがわかる。

 最新の2012年時点でみると、パソコン普及率が77.3%、ファックスの普及率が58.6%となっており、ファックスの普及はほぼ頭打ち状態が続いている。パソコンの普及推移が、ほぼS字型曲線を描いているのに対し、ファックスは「く」の字型で、将来的には減少を続けるのではないかと予想される。

 実際、総務省の「通信利用動向調査」のデータで、ファックスの世帯普及率の動向をみると、下の図のように、2010年に入って、ファックス保有率は激減していることがわかる。パソコンについても、ここ2年ほどは、やや減少する傾向がみられ、普及が頭打ちになっているように見える。

パソコン、ファックス普及率 通信利用動向調査



ファックスは衰退していくのか


 このまま、ファックスはメディアとして衰退の一途をたどるのだろうか?その答えは、「Yes」だろう。家庭での保有率は50%前後ということだが、実際の利用率はもっと少ないのではないだろうか。最近では、文書や写真・その他の画像を送信するメディアとして、インターネットを使う人が大幅に増えているからだ。写真入り文書も、pdf形式にすれば、ファックスよりもはるかに高い精細度で送信することができるし、送られた文書類を長期保存するのも楽にできるからだ。