メディア・リサーチ

メディアとコンテンツをめぐる雑感と考察

2011年11月

 前記事の続き。福島第一原発事故の報道を、KH Coderを使って内容分析してみた。ほんの手始めの段階だが、興味深い結果が得られた。対象記事は、朝日新聞の3月12日から14日までの3日間の原発事故関連記事のすべてだ。

 KH Coderには、「共起ネットワーク」の分析という手法が組み込まれている。同一の段落で、どのような語彙が共起するか、その傾向をネットワークのグラフで表示してくれるというツール。この分析にかけた結果を次に示す。出現頻度の高い語彙ほど、大きな円で示される。また、共起関連の強い語彙の間ほど、太字の線で示されている。「原発」がもっとも多いことは当然だが、「原子炉」が全体のネットワークの中心的位置を占めていることがわかる。その上には、「格納容器」「放射性物質」「圧力」「放出」など、原子炉事故関連の語彙が太いネットワークで結ばれていることもわかる。また、「水」がキーワードになっていることもわかる。これらが、原発事故直後の報道の核心にあることを示唆している。この段階では、「住民」「避難」、「津波」「被害」は周縁に位置している。こうした傾向が、時間とともに、どのように変化してゆくか、今後さらに対象期間を広げて追跡してみたいと思っている。

原発事故報道共起ネットワーク3

 これに加えて、階層型クラスター分析を行ってみると、少し異なる語彙間の関係性が浮かび上がってくる。下に示したのは、そのデンドログラムだ。5つ位のクラスターに分かれている。「炉心冷却関連」「原子炉施設関連」「原発事故事象関連」「住民の被爆、避難関連」「その他」といった感じだろうか。

原発報道クラスター分析



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 テキストマイニングのソフトを初めて使ってみた。KH Coderという、立命館大学の先生(樋口耕一・准教授)が開発されたソフトだ。使い方は、至って簡単。わずか2時間で、基本をほとんどマスターすることができた。「青空文庫」に収録された、福沢諭吉の『学問のすすめ』を使って、ちょっといじってみたので、簡単にご紹介したいと思う。

(1)分析対象のテキスト化

 青空文庫をダウンロードする。テキスト形式のファイルでダウンロードする。

 ダウンロードしたファイルには、ルビが含まれているので、これを秀丸を使って削除する。

 また、余計なタグなどもあり、これも秀丸で削除する。

(2)KH Coderを起動

 「新規プロジェクト」を選び、さきほどのテキストファイルを指定する。

(3)前処理の実行

KH Coder1

(4) 「ツール」「抽出語」「抽出語リスト」で出現頻度の高い語をリストアップ

 自動的にエクセルファイル形式で、出現頻度の高い語のリストが生成される(下図)

KH Coder2

 「人」がもっとも多く出現し、それに次いで「言う」「政府」「人民」の順番となっている。「学問」は以外と少ない。

(5)クラスター分析

 語の出現状況から、クラスター分析を実行することができる。最小出現数を50以上に限定して、階層型クラスター分析を行うと、下のような結果が得られた。

KH Coder3

「学問」「知る」「学者」が同一クラスターに含まれているのは、納得がゆく。「文明」「西洋」「日本」「力」が同一クラスターというのも、なんとなく分かる。

(6)編ごとの集計

 「編」ごとの出現頻度の集計も行うことができる。そのためには、「編」の部分を<h1> </h1>で囲むことが必要だ。これも、秀丸を使えば、簡単に行うことができる。集計結果は、下の図に示すとおり。

KH Coder4

 こうしてみると、編ごとに出現する語に違いがあるということがわかる。

(7)対応分析

 これは、出現語の関連を2次元のマップで示すことができるものだ。

KH Coder5

 「学問」という言葉が、全体の中心に位置しているのは、「見事」という他はない。編別では、12編あたりが本書の中心なのであろうか?本を読まなくても、ある程度本書の構造が見えてくるようで興味深い。

 とりあえず、入手してから5時間くらいの間に習得したことを述べてきた。これから、じっくりと使い込んでいきたいものだ。

【参考サイト】

KH Coderオフィシャルサイト


 

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 動画共有サイトといえば、ユーチューブが圧倒的に有名だが、他にもたくさんある。主立ったなものをリストアップすると:

Googleビデオ
Dailymotion
MySpace
ニコニコ動画
Veoh
FC2動画
Amebavison
BIGLOBEストリーム
アニメワン
Pndora.tv

 この中では、Googleビデオが検索機能で有用だ。キーワードを入れると、たいていの動画が出てくる。NHKのドラマスペシャル「蝶々さん」を見逃したので、検索にかけたところ、pandora.tvにアップされた動画がヒットした。pandora.tvは、韓国最大の動画共有サイトだという。「蝶々さん」前編は先週の土曜日に放送されたが、早くも、ハングルの字幕付きでpandora.tvにアップされているのだ。画質はあまりよくないが、ストーリーを追うだけなら、これでも十分に楽しめる。
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 2008年、オバマの選挙キャンペーンにおいて、ソーシャルメディアが積極的に活用された。オバマの公式ウェブサイト(BarackObama.com)は、ほとんどSNSといってもいいほど、ソーシャルメディアを駆使したウェブサイトだった。それだけではなく、フェイスブック、マイスペース、ユーチューブなどのソーシャルメディアが徹底的に利用された。

 例えば、オバマの行った主要な演説はほとんどすべて、ユーチューブに投稿された。彼が行った"A More Perfect Union"のスピーチは、2010年8月時点で820万ビューを記録した。ユーチューブの専用チャンネルでは、1850ものビデオが投稿され、計2200万人がこれを視聴した。

 フェイスブックとマイスペースは、とくに若い世代をターゲットとして、組織的なキャンペーン手段として活用された。例えば、フェイスブックでは、オバマを支持する大学生は、「オバマ」と検索するだけで、他の支持者とすぐにつながることができた。オバマの公式アプリを使うと、自分のプロフィールページにこのアプリを追加することができ、、それによって他の支持者やイベントとつながることができた。iPhone用のオバマキャンペーンのアプリも提供された。これを使うと、ユーザーのコンタクトデータがサポーターのキャンペーンへの参加を促進することができた。これによって、キャンペーンメッセージをより多くのサポーターに送ることができるようになり、支持者を増やす上でも有効なツールになった。このiPodアプリ自体、一人のサポーターがボランティアで作成したものだった。

 このようにして、各種のソーシャルメディアをフルに活用することを通じて、サポーターとキャンペーンとの間の双方向的なコミュニケーション環境がつくられたのである。これによって、オバマと彼のチームは、史上初の「メディアポリティクス2.0」を生み出すことに成功したのである。2007~2008年に展開されたオバマのキャンペーンは、21世紀のメディアポリティクスにおけるお手本を提供したということができるだろう。

         (Michael Cheney and Crystal Olsen, "Media Politics 2.0 : An Obama Effect" より抜粋)

参考ユーチューブサイト:
 ・A More Perfect Union Speech
 ・YouTube BarackObama.com ユーチューブのオバマ公式チャンネル

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 2008年米大統領選挙に向けて、2008年2月2日にユーチューブにアップされた「YesWe Can」というタイトルのミュージックビデオがある。投稿者は、will i am。複数のミュージシャン達がオバマ候補のスピーチに合わせて、Yes We Canという共感のメッセージを伝えたものだ。いま時点では2300万回も視聴されている。このビデオは、メールやSNSなどを通じて大勢の人々に伝えられ、共感を呼び、オバマ候補の支持拡大に大きな役割を果たしたといわれている。



 『「オバマ」のつくり方』という本がある。その冒頭で著者は、2008年2月、トロントのアパートで、この動画へのリンクがはってあるメールを目にした体験を語っている。ツイッターやフェイスブックでもうわさになっていると聞き、彼女はユーチューブのこの動画を見て感激し、オバマ陣営のキャンペーン活動に参加することになったという。
人気ヒップホップグループ「ブラック・アイド・ピーズ」のウィル・アイ・アムが大勢のセレブと一緒にバラク・オバマ上院議員の演説に合わせて歌っていた。私の関心を引いたのはリッチな有名人たちの顔ではない。その瞬間まで遠くから観察するだけの存在だった1人の男が発する、希望と変革のメッセージだった」(ラハフ・ハーフーシュ著『「オバマ」のつくり方』より)

 2012年の大統領予備選まであと数ヶ月。オバマ大統領はどのようなキャンペーン戦略を繰り出してくるだろうか。ソーシャルメディアは、オバマ再選にどのような役割を果たすだろうか?いまから期待が膨らんでくる。

 オンライン上では、早くも選挙戦が始まっている。

 →My.Barackobama.com公式サイト
 →facebook オバマ公式ページ
 →twitter オバマ公式アカウント

 日本でも、来年あたり衆議院選挙が行われる可能性が高いと思われるが、このような魅力的なユーチューブ動画がアップされると、若者はもっと政治や選挙に関心をもつようになるかもしれない。


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 東日本大震災発生からわずか2時間弱で、安否情報確認ツール「パーソンファインダー」を公開したグーグル。その実態レポートがウェブ上で無償公開されている。書籍版は12月8日発売だという。今から楽しみだ。

 →グーグルの72時間 無料公開サイト(インプレス社)

 
IT時代の震災と核被害

 (インプレス社より発売)
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 gooとインターネットコムが行った電子書籍の利用に関するアンケート結果が公表されている〔10月7日〕。

 それによると、「電子書籍/雑誌を読んだことがありますか」という質問に、「はい」が37.2%、「いいえ」が62.8%であった。ネットユーザーが対象であるとはいえ、これはかなり高い数値といえるだろう。また、読んだ経験のない677人に読みたいかどうか質問したところ、44.8%が「はい」と答えたという。潜在的な読者層が半数近くいるという結果だ。今後、キンドルで日本語の本や雑誌で読むことができるようになれば、こうした潜在的な読者が顕在化することになるかもしれない。

 さらに、使いたい専用リーダー端末を聞いたところ、第1位がソニーのリーダー、第2位がキンドルとなっていた。iPadが入っていないのは、「専用リーダ-」に絞っているためだろう。質問の仕方には若干の疑問が残る。

使いたい専用リーダー
              (インターネットコム 2011年10月7日付記事より)

※なお、第3位に入っている「ガラパゴス」はすでに販売を打ち切っている。栄枯盛衰の激しい業界だけに、今後の展開を逐一ウォッチしていきたいと思う。

 iPad利用者に特化したアンケートとしては、1年前のデータとなるが、電通総研が米国で実施したインターネット・パネル対象の調査が一部公開されている(2011年1月28日公表)。iPadは専用リーダーではなく、インターネットのあらゆるサービスも利用できることから、利用コンテンツもバラエティに富んでいる。その中で、電子書籍の利用割合が注目点となる。これについては、次の図のような結果が得られている(端末の利用目的)。

ipad利用目的

                  (電通総研『米国iPad利用実態調査』より)

 これをみると、「電子書籍」が第4位にランクインしている点が注目される。コンテンツ消費のトップに位置しているということで、iPadが多くのユーザーにとって、電子書籍リーダとして使われているという実態が示されている。今後は、キンドル・ファイアーとの間で激しいシェア争いが展開されることになりそうだ。

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kindle_fire

 タブレット型の電子書籍端末といえば、これまでアップルのiPadが独壇場だった。そこに、アマゾン・コムが「キンドル・ファイア Kindle Fire」という新型端末で殴り込みをかけてきた。発売は11月15日。5日前のことだ。定価が199ドル(約1万5000円)という衝撃的な低価格だ。製造原価とほとんど同じらしい。コンテンツで収益を確保するという作戦のようだ。ちなみに、iPadの値段は499ドルなので、その半値以下になる。フルカラーのコンテンツと低価格はユーザーにとって魅力的だろう。

 → キンドル・ファイアはiPadに勝てるか(Newsweek誌11月7日)

  OSはアンドロイドを使っており、最初からWiFi機能が内蔵されている。この点は、iPadよりもかなり魅力的だ。iPadの場合には、WiFiルータを自分で用意しなければならず、そのコストもバカにならないからだ。

 さっそく試用体験記が「マイナビニュース」に載っているので、そちらも参照したい。

 → Kindle Fireを試す(マイナビニュース11月18日)

 いずれにしても、これは英語版なので、日本語版を早く出してもらいたいものだ。試用記によると、バッテリー駆動時間が6時間弱と、iPadに比べて劣っているのが気になるところだ。これはぜひ早急に改善してもらいたい。アメリカでは、ちょうどクリスマス商戦が始まるところだ。両者の対決が見物だ。続報を待ちたいと思う。

 → Kindle Fire (Amazon.com)
 → CNet Video Review
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 木村忠正著「ウィキペディアと日本社会」(アスリーヌ他『ウィキペディア革命』解説記事)に、「ウィキペディアリスク」という興味深い指摘がある。これはACM(アメリカコンピュータ協会)がまとめた、ウィキペディアの記事を信頼することに伴う6つのリスクである:

(1)正確性(どの項目も誤っている可能性が常にある)
(2)動機(記事執筆・編集の意図は多様である)
(3)不確実な専門性(執筆者がどこまで知っているかわからない)
(4)不安定性・変動性(記事がいつ編集されるかわからない、常に悪意ある編集の可能性に曝されている)
(5)対象範囲の偏り(項目が参加者の関心を反映しやすく、全体の組織的体系化がない)
(6)参照源(参照文献・資料言及の少なさ、偏り)

 いずれも、ウィキペディアのもつ問題点であり、現在でも克服されてはいないようである。とくに、日本語版ウィキペディアでは、(5)、(6)が顕著にみられるようだ。木村氏が2007年に、日本語版ウィキペディアで編集回数の多い上位300項目を内容分析したところ、「アニメ、マンガ、ゲーム関連」が24%ともっとも多く、「テレビ番組関連」と「時事的事件事故関連」がそれぞれ14%、「ワイドショー的話題の人物・芸人」が7%というように、内容的にかなりの偏りがみられたという。全体として、マスコミで話題になった事柄が多いようだ。ウィキペディアを参照する場合には、こうしたリスクや問題点、内容の偏りなどに留意することが必要だろう。



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 ウィキペディアは、トリビアルな情報を探すには最適なサイトだろう。例えば、さきほど「11月19日」というキーワードで検索したところ、ウィキペディアの「11月19日」という項目がヒットした。そこには、11月19日に起こった歴史上の有名な出来事が年代別に列挙されていた。そこで発見したのだが、今から42年前の今日は、あのアポロ12号が世界で初めて月に着陸した日だったのだ。世界中がテレビに釘付けになって、感動をもって見守ったあの出来事が、42年前の今日起こったということが、ウィキペディアを通じて発見されたというわけだ。「だから、なんなの?」といわれるかもしれないが、家族や友人との話題の足しにはなるのではないだろうか。こういったウィキペディアの使い方もあるというお話。ちなみに、項目内のリンクをたどると、月面での活動開始時刻は、「1969年11月19日11時32分35秒 UTC」という情報まで記載されている。この項目を作成した人の思い入れが伝わってくるようだ。

 こういったウィキペディア情報のトリビアル性は、旧来の百科事典と大きく性格を異にする点だ。ポケモン(ポケットモンスター)に関する記述が異常に長いといった批判もある(アスリーヌ『ウィキペディア革命』p。85「ポケモンの記事はイマヌエル・カントの記事と同じ長さでよいのだろうか」→これはフランス語版の話)。全体的統一性に欠けるという主張だ。

 ポケモン項目の日本語版は、なぜか「荒らし」のために半保護状態にある。しかし、フランス語版や英語版での記事の長さは、海外でもポケモンが大人気だというグローバルな大衆文化現象を示す一つの指標としては使えるかもしれない。また、アメリカやフランスでは、ポケモンキャラクターの名前やタイプの名前がどのように翻訳されているかも知ることができる。なぜか、フランス語版や英語版の方が、カラー写真がふんだんに取り入れられている。これは、本家である日本としてはちょっと残念であり、さびしい。

 →フランス語版ウィキペディア「ポケモン pokemon」の項目
 →日本語版「ポケモン」の項目
 →英語版「ポケモン」の項目
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 ウィキペディアには3つの基本原則があるという。それは次の3つだ。
(1)中立的な観点
 信頼できる情報源にもとづいて記述すること。とくに論争的なテーマの場合には、賛否両論を併記する、など。
(2)検証可能性
 ウィキペディアに追加された情報が、信頼できる情報源によってすでに公開されていることを検証できること
(3)独自研究は載せない
 書物や学問として確立している情報の要約のみを掲載すること

 それでも、これに反する記事が含まれる可能性はつねにある。とくに問題になるのは、特定の個人を誹謗中傷するような内容、特定の宗教的信条やイデオロギー、偏見を含んだ記事、客観的事実に反する内容の記述、匿名編集に伴う問題などだろう。いくつかの有名な「事件」を例にとって、考察してみよう。

◇シーゲンソーラー事件

 アメリカの著名なジャーナリストであるジョン・シーゲンソーラーが、ウィキペディアの自分に関する記事に、「ケネディ兄弟の暗殺に荷担していた」という虚偽の記載があったとして、2005年11月29日のUSAトゥデイ紙に論説記事を発表した。その後、ウィキペディアは問題の記事部分を削除した。この事件の経緯は、ウィキペディアの「ジョン・シーゲンソーラー ウィキペディア経歴論争」という項目に詳細にわたって記述されている。問題の部分は、次のような内容だった。
「ジョン・シーゲンソーラー・シニアは1960年代はじめ、ロバート・ケネディ司法長官の補佐官だった。一時期、シーゲンソーラーは、ジョンとボビーのケネディ兄弟暗殺に直接関与していたと考えられていた。これに関しては何も立証されていない。」
 この事件の経緯は、ウィキペディアに次のように記述されている。
 2005年9月、シーゲンソーラーは、ウィキペディア英語版に投稿されていた自分の記事に、誤った経歴が記載されているのを発見した。その記事では、シーゲンソーラーがジョン・F・ケネディおよびロバート・ケネディの暗殺事件にかかわっていた可能性が示唆されており、それに加えて、シーゲンソーラーが一時期ソビエト連邦に住んでいたとの記述および、シーゲンソーラーがある広告企業の創業者である旨が記載されていた(実際に広告企業を創業したのは兄のトーマスであり、自身はこの会社には無関係だった)。これらの情報は誤りであったため、2005年10月、シーゲンソーラーはウィキペディアの創始者であるジミー・ウェールズに、記事の是正を要請。これを受けて、記事のうち、誤った情報が記載されていた版が削除されることになった(この削除された版は、現在では管理者にのみ閲覧可能となっている)。誤った記述は、記事が投稿された2005年5月以降、4ヶ月間にわたって放置されていた。また、これらはウィキペディアの管理下には置かれていないいくつかのミラーサイトでは、記事の削除後数週間にわたって、引き続き誤った記事が閲覧可能の状態にあった。〔2011年11月19日閲覧〕
 この事件をきっかけとして、ウィキペディアでは2つの方針を付け加えた。
(1)匿名のIPユーザーには、記事を新規作成する機能を与えないこと
(2)存命中の人物に関しては、否定的なものでも、好意的なものでも、単に疑わしいものでも、出典がない、または出典があいまいで、議論の余地が残る内容は、議論を待たずただちにウィキペディアの記事から削除すること(リー『ウィキペディア・レボリューション』p.358-359より)

 これによって、少なくとも英語版に関する限り、特定個人が名誉毀損を受ける確率は低くなった。日本語版ではどうなのか、不明である。

◇エスジェイEssjayの経歴詐称事件

 これは、ウィキペディアの歴史上もっとも恥ずべきエピソードだといわれている。2005年にEssjayというハンドル名でウィキペディアに登録した人物が、宗教関連の記事を多数編集し、5ヶ月後にはウィキペディアから管理者に指名された。Essjayは、自己紹介のページで、自分はアメリカ東部の私立大学で神学の大学課程および大学院課程を受け持っている。また、神学の博士号、教会法の博士号を持っている」と記述していた。その後、ピューリッツアー賞を受賞したシフという記者が2006年7月号の『ニューヨーカー』誌で、Essjayを取り上げ、「膨大なトピックを監視するウィキペディアの英雄の一人」として称賛する記事を書いた。シフは独自取材にもとづき、Essjayのことを「私立大学の宗教学の終身教授」と伝えた。しかし、こうした経歴はまったくの嘘であることがわかった。Essjayは実はケンタッキールイヴィルに住む24歳の種誌であり、終身教授などではなく、学位ももっていないことを告白したのである(リー『ウィキペディア・レヴォリューション』pp.367-368より)。

 この事件は、2007年2月に、『ニューヨーカー』誌が訂正記事を出したことによって、広く世間に知られるようになった。

 このような経歴詐称は、ウィキペディアの記事内容の信頼性を疑わせる可能性があり、大きな問題となったのである。

→ 詳しい経緯は、ウィキペディアの「Essjay騒動」の項目を参照されたい。また、リー著『ウィキペディア・レヴォリューション』pp.367-368、アスリーヌ著『ウィキペディア革命』pp.54-56にも、この事件に関する記述がある。

◇ネイチャー誌(イギリス)の比較調査

 これは事件という訳ではないが、2005年12月、世界的に有名なイギリスの『ネイチャー』誌が、ウィキペディアの記事がブリタニカ百科事典と遜色のない正確さをもっている、とする調査結果を発表したことから、「ウィキペディアの信頼度の高さ」が評判になったというもの。ネイチャー誌では、ウィキペディア英語版の主として科学分野の42項目について、ブリタニカ百科事典と内容を比較した。審査は項目に関連する専門家が当たったという。調査の結果は、次のようなものだった。

 最終的に、極めて重要な概念に関する一般的な誤解など、深刻な誤りが見つかったものはわずか8件で、それぞれ4件ずつという結果になった。ただし、事実に関する誤記、脱落、あるいは誤解を招く文章はいくつも発見された。Wikipediaにはこのような問題が162件あったのに対し、Britannicaのほうは123件だった。(cnetニュース2005年12月6日より)
 

 このCNETニュースの見出しは、「「Wikipediaの情報はブリタニカと同じくらい正確」--Nature誌が調査結果を公表.」となっており、ウィキペディアの正確さを強調するものになっている。世間一般でも、そうした認識がなされるようになった。  しかし、最後の下線部(引用者による)をみると、誤記のカウント数は、ウィキペディアの方がブリタニカより39箇所多い(24%の差)という結果であり、信頼性はブリタニカ百科事典の方が高いという結果になっている。  また、アスリーヌは『ウィキペディア革命』の中で、今回の調査対象項目は、科学分野というウィキペディアにとって最も得意とするところに限定されていた、という問題点を指摘している。もし、歴史、政治、宗教、哲学などに関する項目を取り上げれば、おそらくブリタニカの方がはるかに高い信頼性をもっていると判定されただろう。見出しだけが一人歩きした事例といえる。

◇ウィキペディア記事引用禁止問題

 これは別の記事でも取り上げたが、アメリカのミドルベリー大学史学科で、学生に対しウィキペディア記事を引用することを禁止するという対応をとった、という出来事があった。当時の朝日新聞では次のように報道されている。
 米バーモント州にある名門ミドルベリー大学の史学部が、オンラインで一定の利用者が書き込んだり修正したりできる百科事典「ウィキペディア」を学生がテストやリポートで引用することを認めない措置を1月に決めた。日本史の講義をもつ同大教授がテストでの共通の間違いをたどったところ、ウィキペディア(英語版)の「島原の乱」(1637~38)をめぐる記述にたどり着いたことが措置導入の一つのきっかけになった。(朝日新聞2007年2月23日
 具体的には、次のような経緯があった。
日本史を教えるニール・ウオーターズ教授(61)は昨年12月の学期末テストで、二十数人のクラスで数人が島原の乱について「イエズス会が反乱勢力を支援した」と記述したことに気づいた。「イエズス会が九州でおおっぴらに活動できる状態になかった」と不思議に思って間違いのもとをたどったところ、ウィキペディアの「島原の乱」の項目に行き着いた。
 同大史学部では1月、「学生は自らの提供する情報の正確さに責任をもつべきで、ウィキペディアや同様の情報源を誤りの言い逃れにできない」として引用禁止を通知した。ドン・ワイアット学部長によると、「同様の情報源」とはウェブ上にあって多数の人間が編集することができ、記述の正確さが担保できない情報源を指すという。(同記事より)

 しかし、こうした引用禁止措置は他の学部では広がらず、他の大学でもこうした引用禁止措置を行う大学があるという報道はその後なされていない。この事例も、ウィキペディアに関する極端な反応の一つであり、一般化することはできない。現時点では、引用する場合には、「閲覧時点」を明記し、引用部分であることがわかるような記述にする、という指導が多くの大学では行われていると思われる。また、出典先(島原の乱の場合には、神田千里著『島原の乱』中央公論新社など)をあたって、正確さ、信頼性を確認することを勧めるという指導法が多くとられているように思われる。

◇記事の当事者による編集

 自分のことについてウィキペディアで書かれたことについて、当事者が都合の悪い部分や誤った記述などを編集して内容を改変する、という行為はこれまでに頻繁に起きている。とくに、企業、行政機関、有名人などの記事で多く発生している。山本まさき著『ウィキペディアで何が起こっているのか』には、そうした事例がいくつか紹介されている。ここでは、内容には立ち入らず、箇条書き式に列挙しておきたい。

・楽天証券の当事者編集事件(2006年)
・「西和彦」ページの大幅削除事件(2006年)
・ウィキペディア創設者ジミー・ウェールズ氏による自身の記事編集(2005年)
・省庁によるウィキペディア編集事件(2007年)

◇特定個人、企業などに対する中傷誹謗、名誉毀損事件

・ファッションモデルに対する誹謗中傷事件(2008年)
・声優ページに対する荒らし(2008年)
・ソニーとマイクロソフトの間の編集合戦(2006~2007年)

 この数年間だけでも、これだけの事件(問題)が起きている。最近の事例はどうなっているのだろうか?
この点は不明だ。
 

 
 

 
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J.Palfrey and U.Gasser, 2008, Born Digital: Understanding the First Generation of Digital Natives.
born-digital
 きょう入手した本。『生まれながらのデジタル:デジタルネイティブ第一世代を理解する』
 この本では、1980年以降に生まれた世代を「デジタルネイティブ」と呼んでいる。彼らは、デジタル技術を縦横に使いこなす新世代だ。彼らの行動は、それまでの世代とまったく異なっている。彼らは新聞を読まずに、ブログを読む。彼らは現実に知り合う前に、オンラインで知り合いになる。彼らはレコード店でCDを買うのではなく、オンラインで音楽を購入する。待ち合わせをケータイでする。ライフライフがこれまでの世代と異なっているのだ。

 情報という視点からみると、1980年代からのデジタル技術革命は、歴史上最大の革命的な出来事だ。

 1980年以前に生まれた人は、伝統的なアナログメディアとともに育った。彼らは人生の途中からデジタル技術に触れた世代だ。それに対し、デジタルネイティブは、生まれたときからデジタル技術があった。だから、ライフスタイル、人間関係がそれまでの世代とは決定的に違っているのだ。彼らの生活の中で、オンラインとオフラインの境界がなく、相互が融合している。また、オンラインでいる時間が長い。彼らは、24時間、友達とつながっている。

 デジタルネイティブは、きわめて創造的でもある。彼らはマイスペースで自分のプロフィールを自由にい設定したり、ウィキペディアの項目を編集したち、オンラインビデオを制作したりすることができる。彼らは新しいソフトウェアをあっという間に使いこなせるようになる。

 本書の目次は、次のようになっている:

第1章 アイデンティティ
第2章 デジタル書類
第3章 プライバシー
第4章 安全性
第5章 創造者
第6章 海賊
第7章 クオリティ
第8章 情報過剰
第9章 侵略者
第10章 イノベーター
第11章 学習者
第12章 活動家
第13章 総括

 全体的に読みやすい、平易な英文だが、なにしろ350頁以上あるので、少しずつ読み進めていきたいと思う。
ただ、この本には、図表のたぐいがまったくない。文章だけの本。また、文献リストも少ない。したがって、専門書というよりも、デジタルネイティブを子供にもつ親たちに、「デジタルネイティブ」とはこういう世代だということを啓蒙するための読み物という感じがする。

 ドン・タプスコット『デジタルネイティブが世界を変える』とどこが違うのか、いまいちはっきりしない。
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 手元に、ウィキペディアに関する本が3冊ある。

山本まさき・古田雄介『ウィキペディアで何が起こっているのか』オーム社〔2008年〕
ピエール・アスリーヌ他『ウィキペディア革命:そこで何が起きているのか?』〔2008年〕
アンドリュー・リー『ウィキペディア・レボリューション』(2009年)

 いずれも、ほぼ同時期に発売されているので、内容にはかなりのだぶりがみられる。ウィキペディアに対しては、擁護的な見方と批判的な見方が分かれている。3冊目の本は、もっとも好意的に記述されているようだ。これに対し、前2作は問題点も多く指摘されている。最初の本は、ウィキペディア日本語版が主に扱われている。過去の主要な事件などの事例が詳しい。二番目の本は、フランスのジャーナリストが書いたもの。三番目は、中国のインターネット専門家が書いたもの。

 ウィキペディアの入門的内容や構成、運営方法、問題となった事例、ウィキペディアンに対するインタビューなどは、最初の本が詳しい。ウィキペディアに対する批判的見解を知りたければ、二番目の本がよいだろう。ウィキペディア誕生までのいきさつ、ウィキペディア創設者のエピソードを知るには、三番目の本が詳しい。

 この3冊を読んでも、ウィキペディアをどう評価すべきかは分からない点が多い。最近は、英語版など、収録されている項目が膨大になり、これ以上の進化は望めないという悲観論もある。日本語版は、匿名性の問題、組織上の問題などがあるようだ。今後、コンテンツの質的な向上をどうはかるかが、ウィキペディアに課せられた最大の課題といえるだろう。また、財政的な基盤が脆弱という問題も指摘されており、安定した財源の確保も大きな課題だろう。利用する側からみると、ウィキペディア利用リテラシーといった能力を涵養することも重要だ、と改めて感じた。
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 『災害とソーシャルメディア』でも紹介されているが、東日本大震災の直後、『石巻日日新聞』(ひびしんぶん)が、輪転機故障のため、臨時の「手書き新聞」を6日間にわたって発行し、避難所に貼り出した。この快挙は、内外で注目を集め、改めて紙媒体の威力を知らしめるエピソードとなった。

石巻日日新聞
 手書き版『石巻日日新聞』(号外)

 このエピソードは、米国のWashington Post紙でも大きく報道され、その後、ワシントンにある「ニュース博物館」(Newseum)で実物が展示されるという反響を呼んだ。また、国際新聞編集者協会から特別賞が贈られている。

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              ( Washington Post紙2011年3月22日付記事より引用) 

  ・Washington Post 紙のニュース記事
  ・Newseum での展示に関するビデオ

 その後、この手書き新聞は、横浜にある「新聞博物館」にも寄贈され、展示されているという。一度、博物館を訪問して、実物を見たいものだ。

※この手書き新聞は、さらに国会図書館でも、デジタル化してインターネット上で公開されている。さすが、デジタル版ならではの精密な再現だ。迫力に圧倒される。

 → マイナビ ニュース(10月18日)
 → 国会図書館で公開された『石巻日日新聞』(3月13日付)





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小林啓倫著『災害とソーシャルメディア』
災害とソーシャルメディア

 今日は、この本を買って一読した。この本では、目新しいエピソードはあまり多くないが、冒頭「プロローグ」で紹介されている「副知事を動かしたソーシャルメディア」というエピソードは、私にとっては初見だったので、参考になった。宮城県気仙沼市の児童福祉施設での出来事。園長をつとめる女性は、東日本大震災発生直後、児童を連れて中央公民館に避難した。しかし、ここにも津波が押し寄せ、3階で孤立無援状態に。そこで、ケータイを使って、イギリスにいる息子宛に緊急状態を告げるメールを送った。息子は、ツイッターに、次のようなSOSのメッセージを投稿した。

【拡散願い】障害児童施設の園長である私の母が、その子どもたち10数人と一緒に、避難先の宮城県気仙沼市中央公民館の3階にまだ取り残されています。下階や外は津波で浸水し外は炎上、地上からは近寄れない模様。空から救助が可能であれば、子供達だけでも助けてあげられませんか。

 このSOSメッセージは何百回とRT(転送)され、東京都在住の男性を経由して、猪瀬副知事に伝わった。猪瀬副知事は3月11日深夜、このツィートに気づき、ただちに東京消防庁の担当部長を呼び、このメッセージを見せた。その結果、東京消防庁のヘリが現地に飛び、12 日午後までに中央公民館に避難していた子供たちや市民が無事救出されたという。  まさに、ソーシャルメディアの威力で、奇跡的な救出劇が起こった、ということだろうか。  ネットを検索してみると、『河北新報』のサイトで、このニュースが報道されていることがわかった。

 ・証言/450人が孤立(河北新報ニュース 2011年6月20日)

気仙沼中央公民館、津波浸水
津波で孤立した気仙沼市中央公民館(河北新報より) 

 『河北新報』記事によると、園長さんは、国内にいる家族にメールを送り、そのメールがロンドンにいる息子さんに転送された、となっている。つまり、SOSメッセージの伝達過程は、次のようだったらしい。

園長(中央公民館)→(メール)国内の家族→(転送)ロンドンの息子→ツイッター(拡散)→(ツイッター)東京都在住の男性→(ツイッター)東京都猪瀬副知事→(口頭)東京消防庁幹部→救助ヘリ派遣

 リアルタイム性の強いツイッター時代ならではの災害救助劇といえるだろう。

※参考:togetterのまとめサイト



 
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武田隆著『ソーシャルメディア進化論』〔2011〕ダイヤモンド社

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 先週、この本を入手したので、さっそく読んでみた。前半はインターネットの歴史とソーシャルメディアの特徴について書かれている。後半は、「企業コミュニティ」サイトに特化し、著者自身の経験をもとに、豊富な事例を交えての、一種のサクセスストーリーが書かれている。

 本書で一番参考になったのは、「ソーシャルメディアの4象限」の図だろうか。
ソーシャルメディアの4象限
(武田隆『ソーシャルメディア進化論』p.90より)

  縦軸には、「現実生活」を拠りどころにするソーシャルメディア対「価値観」を拠りどころにするソーシャルメディアが対極的に描かれている。「現実生活」型ソーシャルメディアでは、実名性が高くなり、現実生活の範囲の人間関係でのつながりが強くなっている。これに対し、「価値観」を拠りどころにするソーシャルメディアでは、匿名性が高くなり、趣味や想い、価値観を通してつながる傾向がみられる。

 横軸には、「情報交換」を求めるソーシャルメディア対「関係構築」を求めるソーシャルメディアという両極が描かれる。「情報交換」型のソーシャルメディアは、規模が大きく、重複を排除する特徴があり、集合知を生成する。これに対し、「関係構築」型ソーシャルメディアでは、規模は20人前後、中心となるリーダーの数だけ重複を許す特徴があり、親密な思いやり空間を生成するという。

 各種のソーシャルメディア具体例は、上の図のように配置されている。それぞれのソーシャルメディアには、以上4つの特徴が多少なりとも含まれているので、かならずしも各象限にフィットするとは限らないと思うが、傾向としては概ね当たっているように思われる。ブログやツイッターの位置づけは、これでいいのか、若干疑問も感じるが、大勢はこんなものだろうか、、、。勉強になりました。

 詳しい内容紹介は、こちらのサイトで → ソーシャルメディア進化論
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ドン・タプスコット著『デジタルネイティブが世界を変える』〔2009〕
デジタルネイティブが世界を変える

 これは2年以上も前に出版された本だが、最近購入したばかりので、さっそく読み始めたところだ。まだ100頁くらい読み進めたところ。全部で450頁くらいの本なので、読みながら、注目したい点をメモしておきたい。この本で、いちばんのオリジナルなポイントというと、「デジタルネイティブ」(ネット世代)の8つの行動基準という点だろうか。次の8つだ:

(1)自由(ネット世代は何をする場合でも自由を好む)
(2)カスタム化(ネット世代はカスタマイズ、パーソナライズを好む)
(3)調査能力(ネット世代は情報の調査に長けている)
(4)誠実性(ネット世代は商品を購入したり、就職先を決めたりする際に、企業の誠実性とオープン性を求める)
(5)コラボレーション(ネット世代はコラボレーションとリレーションの世代である)
(6)エンターテインメント(ネット世代は、職場、学校、そして、社会生活において、娯楽を求めている)
(7)スピード(ネット世代はスピードを求めている)
(8)イノベーション(ネット世代はイノベーターである)

 それぞれもっともだと思うが、考えてみると、これらの基準は、いわゆるWEB2.0の特徴とほぼ重なっているように思われる。言い換えれば、デジタルネイティブ(ネット世代)は、Web2.0をフルに活用する(できる)世代だということもできるだろう。

※追加:
 300頁ほど読んでみると、上記の8つの基準をもとに、それぞれを「教育」「人材管理(企業)」「消費者」「家族」「政治(民主主義)」に応用したものであることがわかった。それぞれについて、ネット世代になって、「~2.0」へという動向がみられるというもの。2.0の波に乗り遅れては、ダメになるという論調のようだ。その意味では、本書の第3章「ネット世代の8つの行動基準」が、やはり本書の主眼点ということになろう。それ以上でもそれ以下でもない。結局、本書の「ネット世代」とは、「ウェブ2.0世代」と同義ということになる。同語反復ではないが、ウェブ2.0を若者ユーザーに置き換えたネット社会論といえるだろうか。







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 インターネットがこれほど発展し、私たちの日常生活に根付くようになったのは、パソコンが開発され、高性能化し、低価格化したからだろう。パソコンの発展は、マックとウィンドウズの発展に負うところが大きいのはいうまでもない。そのルーツを改めて振り返ってみたい。

1976年4月1日 Apple Computer社を設立。自宅のガレージを工場として、Apple Ⅰを製作。200台ほどを販売した。
apple1

1977年 Apple Ⅱを製作、販売。使いいやすい個人向けパソコンとしては、世界初。このパソコンの成功で、アップル社は飛躍的に発展。1993年までに500万台を売り上げたという。

apple2

1984年1月 初代Macintoshを発売。大ヒットとなる。
macintosh1984

1984年といえば、ジョージ・オーウェルのSF小説『1984年』と符合する。これにちなんで製作したテレビCM(スーパーボウルの開催時にリリース)が話題になった。テレスクリーン上の独裁者ビッグブラザーに対抗して、ひとりの女性がハンマーでスクリーンを破壊するシーンが印象に残る。ビッグブラザーはIBM、女性はマックを暗示していた。

 

マック誕生秘話は、こちらのサイトで、、
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 スティーブ・ジョブズ氏が10月5日に亡くなってから一ヶ月以上になるが、改めて追悼のことばを述べたい。2005年にスタンフォード大学の卒業式で記念講演を行った際には、いくつもの有名なフレーズをちりばめた。伝説のスピーチと言われる所以である。ユーチューブでは1200万回以上のビジター数を誇っている。その日本語字幕版を次に引用しておきたい。

スピーチ前半:最後に、「Keep looking, and don't settle」(あきらめず、探し続けなさい)という名台詞がある。


スピーチ後半:最後に、「Stay hungry, stay foolish」(ハングリーであれ、愚かであれ)という名台詞がある。
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iPhone4s

 iPhone4sは、「価格コム」のランキングによれば、人気第一位を維持しているようだ。しかし、近所のSoft Bankショップで聴いてみたところ、完全予約制で、入荷まで1ヶ月くらいかかるとのこと。当分はあきらめなければならないようだ。しばらくは、iPadで我慢することにしよう。

 iPadのオンライン雑誌店(マガストア)で、とりあえず、iPhone4s活用法というムックが250円で販売されていたので、これをダウンロード。いまから十分に下調べをしておきたい。
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