メディア・リサーチ

メディアとコンテンツをめぐる雑感と考察

2011年12月

 iCloudをフルに活用するには、やはりマックのマシンを持っていないと難しいということがわかった。Windows PCをメイン、サブのマシンとして使っている場合には、ほかのクラウドを併用するしかないようだ。その場合の候補としては、dropbox、Google Document、ピカサなどがあげられる。Sugersyncは使い勝手がいまいちのようだし、有料で利用するのは少しもったいない感じがする。私がいま現在一押しの最安クラウド環境は、ドキュメント類はdropbox(無料2ギガ)に入れ、写真はPicasaウェブアルバム、Google Documentsを文書用に併用するというものだ。

 Google DocumentsとPicasaウェブアルバムは、Googleが運営しており、年額わずか5ドル(約400円)で利用が可能だ。月額に直すと30円くらいなので、負担感がなく利用できる。容量は20ギガバイトで、とりあえずは十分な大きさといえよう。Google Docsとピカサをあわせて20ギガなので、主に写真用に利用する方がいいように思われる。文書管理はウェブ上になるので、dropboxよりは使い勝手がよくない。dropboxは、無料の制限が2ギガだが、文書だけなら、これで十分なのではないだろうか。dropboxがなによりもいいのは、WindowsのExplorerとまったく同じ操作要領でファイルやフォルダの作成、コピー、移動、消去などを行える点だ。まるでハードディスクを使っているようだ。この使いやすさは、なににも代え難いユーザビリティといえる。

 iCloudの用途は、もっぱらiPhoneで撮影した写真をWindows PCに同期で送ることと、カレンダーと連絡先をWindowsのOutlookと同期させること、ウェブブラウザのブックマークを同期させること、に限定されるだろう。しかし、カレンダーや連絡先をiPhone、iPad、Windows PCで同期できることのメリットは非常に大きい。スケジュール管理、アドレス管理が超簡単になるからだ。また、ウェブブラウザのブックマークを同期させることも、超便利な機能だ。異なるデバイスを使っていると、ブックマークが違って困るが、iCloud環境にあれば、自動的に同期してくれるので、大いに助かる。

 来年は、どのようなクラウド・サービスが登場するだろうか?dropboxが日本語対応になり、有料プランがもっと安くなればいいと思う。いまから楽しみだ。

 前回のブログでは、iCloudの機能を絶賛したが、問題点もあることがわかった。Windows PCを使う場合、クラウドに保管、同期できるのは、カレンダー(日程管理)、写真、一部のメールだけで、ワードやパワポなどの文書ファイルはどうも使えないらしい。前の記事でもみたように、Windows のiCloudパネルは次のようになっており、
ここに表示されているアプリは、「メール」「アドレスデータ」「カレンダー」「ブックマーク」「フォト」のみである。

icloud3


 やはり、Windows PC相互間での文書ファイルのクラウド同期用には、dropboxが一番いいようjだ。無料だと2GBという制限はあるが、いざ震災などの非常時に備えて、バックアップファイルを保存するという意味でも、dropboxはいちばんおすすめのクラウドサービスといえよう。dropbox用のクラウド・サーバーはアメリカにあるというから、災害時のバックアップ用ストレージとしては最適ではないだろうか?

参考サイト:

dropboxの使い方

OS別の人気クラウドサービス3つでファイルをやり取り(Askii.jp)


 もちろん、セキュリティには万全の注意を払う必要がある。外部に漏れてはいけないファイルはクラウドのストレージにおいてはいけない。

 私は昔からWindows PCのヘビーユーザーだったので、Appleにはほとんど縁がなかった。けれども、去年はじめてAppleのiPadを購入して、Appleユーザーにもなった。それで、いろいろと戸惑うことも多い。最近購入したPCは、富士通のWindowsノートPCだ。これはとても性能が高くて満足している。いまさら、AppleのPCを買う気にはなれない。持っているソフトがすべてWindows用だからだ。

 それでも、最近はやりのクラウド環境でなんとかWindows PCとiPadやiPhoneと同期させて、より快適なコンピューティング環境を構築したいと思っている。昨日は、dropboxを導入してみた。しかし、何か物足りない感じがした。そこで見つけたのが、iCloudだった。これは、Appleだけでなく、Windowsもサポートしているということなので、期待して、WindowsのコントロールパネルにiCloudをインストールした。これは簡単にできた。

icloud1

 この画面のiCloudをクリックすると、次のようなボックスがあらわれる。

icloud2

 問題はこれからだった。すでに取得済みのApple IDとパスワードを入れて、「サインイン」のボタンを押すと、「有効なApple IDですが、iCloudのアカウントではありません」というエラー表示が出てしまうのだ。なぜなのだろう??何回やっても同じこと。ネットで問題の解決をしたいと、いろいろと検索し、Apple Cloudのサポートサイトも見たのだが、正解は得られない。こんなことで、1時間くらいも時間を無駄にしてしまった。

 最後にわかったのは、iCloudのアカウントを取得するには、iOS 5 のインストールされたiPadかiPhoneでアカウントの設定をすることが必要だということだった。残念ながら、私が去年購入したiPadはiOS 5ではなかったのだ。なので、iPadのどこを探しても、iCLoudのかけらも見当たらなかったというわけだ。

 では、iPadのOSを iOS 5にアップデートするにはどうすればいいのか?調べてみると、iPadのUSBケーブルをWindows PCにつないで、iTunesソフトを使えば、これができるということが判明したので、さっそく、iPadをWindows PCに接続し、バージョンアップの作業を行った。これに要した時間がほぼ1時間。

 なんとかアップデートが終わり、iPad にもようやく iCloudのアイコンが表示され、これをクリックすることによって、iCloudのアカウント設定を終えることができた。Windows PCでのiCloud サインインも今度は成功し、WindowsとiPadのクラウド上での同期にも成功した。Windows PCでiCloudにサインインすると、次のような画面があらわれる。

icloud3

 そこで、クラウドに保存したいアプリをチェックして、「適用」ボタンを押す。これで、iPadと情報が共有できるのだ。iPhone4Sでも同じように共有できるから、たとえば、iPhone4Sで撮影した写真やビデオなども、このiCloudを通じてWindows PCにすぐ反映できるようになるはずだ。iPhoneはいま予約中なので、到着しだい試してみたいと思っている。iOS 5によるクラウドは、現時点で最高レベルのサービスといえるかもしれない。

参考サイト:
 ・iCloud(アップル社)


けさ、思い立って、「朝日新聞デジタル」を試読してみることにした。2ヶ月間はお試し期間で無料ということなので、この期間中、トライアルして本当に購読に値するかどうか、評価してみたいと思う。朝日新聞デジタルの利用可能端末は多岐にわたっている。PCはもちろんのこと、iPad、iPhone、アンドロイド携帯端末にも対応している。私が現在もっている端末は、PCとiPadなので、この二つを使ってレビューしてみることにしたい。

 まずは、トップ画面だが、次のようになっている(12月20日朝刊)

朝日新聞デジタル トップ

 一面トップは、北朝鮮の金正日総書記の死亡を伝える記事だ。この画面配置によって、20日の最重要ニュースはこの記事であることが一目でわかる。今年の世界十大ニュースにも含まれるのではないだろうか。このように、画面配置によって、紙の場合と同じように、事態の重要性がわかる仕組みになっている。いわゆる「議題設定機能」の発揮だ。次の記事をみても、金正日死去に関連したニュースであり、これがいかに大きなニュースだったかを示している。

 「朝刊」に加えて、「24時刊」「You刊」というページも用意されている。このうち、24時刊は、リアルタイムに最新のニュースが記事形式で読むことができる。これは、ニュースサイトの記事内容をさらに詳細にしたものだ。直近のニュースをウォッチするのに最適だ。「You刊」は、話題のテーマを掘り下げたものだ。iPad版では、「タイムマシン」機能が備わっている。これは、画面にあらわれる時計の針を戻すことによって、 1時間おきに23時間前まで過去にさかのぼって閲覧できる機能 だ。刻一刻とニュースが変化する様子をシミュレーションすることができ、楽しいツールだ。

 iPad版では、「書庫」という機能があり、書棚に本を展示する電子書籍のようなイメージで、過去1週間の新聞をダウンロードして保管することができる。画面イメージは次のようなものだ(朝日新聞デジタル案内より)

朝日新聞でデジタル 書庫
 (朝日新聞デジタルの「書庫」)

 保存期間は1週間ということだが、それ以上保存する意味はあまりないだろうから、これも便利な機能といえる。出勤前に自宅のWifi環境でダウンロードしておけば、電車の中などで読むことができる。

 記事のカスタマイズという点でも、朝日新聞デジタルは便利な機能を備えている。「MY朝日新聞」というのがそれだ。好きなキーワードを登録しておくと、それに関連する記事の一覧をつくってくれる。その中からお好みの記事を読むことができる。

朝日新聞デジタル マイセレクト

 最後にあげておきたいのは、過去1年間の記事をキーワードで検索できるというデータベース機能だ。だいたい読みたい記事といえば、過去1年内に収まるのが普通なので、これで十分だろう。それ以前の記事を検索するのは、別途有料のサービスに加入しなければならない。けれど、大学などではこうしたデータベースを法人契約で提供しているところが多いので、そちらを利用すればよいだろう。

 残念な点は、紙の新聞と違って、表示が「横書き」になっていることだろう。紙の新聞に親しんでいる私としては、縦書きの紙面構成の方が読みやすい。将来的に「縦書き表示」にも対応していただければ、さらに快適なデジタル新聞ライフを楽しむことができよう。

 以上、取り急ぎの試読記でした。

※参考サイト:

・ 「朝日新聞デジタル」総合ガイド

・ 朝日新聞デジタルを批判したサイト

使ってわかった残念な朝日新聞デジタル


 政府は16日午後6時、福島第一原発の冷温停止状態達成を宣言したが、これに対する海外の反応は、総じて冷たいものだったようだ。

 日本政府が16日、東京電力福島第1原子力発電所の原子炉が「冷温停止状態」を達成したと発表したことを、海外メディアも同日、相次ぎ報じた。「重要な節目」(ロイター通信)としながらも、「危機が存在しないというような言い方は誤り」(ドイツの公共放送ZDF)など専門家の見方を紹介しての懐疑的な報道が目立った。(日本経済新聞12月16日午後9時配信
 英語では、cold shutdown というそうだが、CNNでは、次のように伝えている。シンボリックなマイルストーン(一里塚)だが、実際の変化はあまりないと批判的な報道だ。

CNNのニュース速報
 
 CNNテレビ(電子版)は「日本政府は大きな出来事としようとしているが、現実は違う」「(原発の安全性に関する状況は)6月時点と基本的に変わっていない」との専門家の見方を紹介した。(日本経済新聞)
 収束には30~40年かかるだろう、という見方を示すメディアが少なくないようだ。それは、われわれに突きつけられた現実でもある。

 電子書籍がいま注目を集めている。アマゾンコムは有名だが、日本の書店でも対応を始めている。今回は、紀伊國屋書店のBookWebから、「マルチデバイス対応」の電子書籍を購入してみた。マルチデバイス対応とは、同書店によると、次のようなものだ。
マルチデバイス対応=多様な端末に対応、という意味ですが、紀伊國屋書店の電子書籍のマルチデバイス対応とは、「電子書籍を一度購入すれば、多様な端末で再購入なしに再ダウンロードできること」が特長となっています。スマートフォンやタブレットを買い替えたり、本棚から誤って削除してしまったりした時にも、紀伊國屋書店でお買い上げ頂いた電子書籍はなくなりません。 Kinoppyの各ストアまたはBookWebで購入の電子書籍は、スマートフォン/タブレットはもちろん、新登場のPC版Kinoppyでも、さらにはソニーReader™でも、再購入せずにお読み頂けます。(紀伊國屋書店BookWebのHPより)
 これはすばらしい対応だと思う。iPadのアプリで購入したが、本棚は次のようなイメージになっている。

 kinoppy_jobs

 記念すべき1冊目は、伝記『スティーブ・ジョブズ』だ。2011年に亡くなったスティーブ・ジョブズの追悼の意味を込めて購入することにした。書斎のPCでも、電車内のiPadやiPhoneでも読めるというのは、実にすばらしい。日本でも、電子書籍がどんどん増えていってほしいものだ。品揃えの他に、定価を紙版よりも安くしてほしい、アマゾンのように。

・参考:eBookUSERによるレビュー

 大学1年生に対して、「ソーシャルメディアの利用状況」を含むテーマのレポート課題を提出してもらった(自由記述式)。回収数は118本。これをテキスト化し、「利用状況」の部分だけ抽出し、一つのテキストファイルに統合し、KH Coder(樋口耕一氏開発)を用いて内容分析してみた(※)。
 ※プライバシー保護のため、個人を特定できる情報は、前処理段階ですべて削除してある。

 今回は、パラグラフ単位で出現頻度45以上の語彙を対象として、出現頻度の分布とクラスター分析、多次元尺度解析の結果のみを簡単に報告する。

■語彙の出現頻度

 「利用」という語彙がもっとも多く、「twitter」、「人」、「mixi」がこれに続いている。

 ソーシャルメディア出現回数

■階層型クラスター分析

 上の情報をもとに、クラスター分析にかけてみたところ、次のような結果になった(一部省略)。
 動画共有サイト系が同じクラスターに固まっている。実際の回答をみても、YouTubeとニコニコ動画は、場合によって両方を使い分けている学生が多かったので、これは納得がゆく。

 mixiとtwitterも、きわめて近い関係にある。これも、回答をみると、両方のツールを上手く使い分けている記述が多く、肯けるところだ。「ソーシャルメディア」としての利用と、「情報収集」としてのツールの二種類があるようだ。これに対し、同じSNSでもfacebookは、異なるクラスターを形成しており、「世界」の人々との「交流」にメリットを感じる回答が多かった。これも、グローバルに広がるSNSの特徴を表している、

ソーシャルメディア利用クラスター分析

 ■多次元尺度法による語彙の2次元空間上の分布

 最後に、多次元尺度法を用いて、語彙の関連状況を2次元上に布置してみた。結果は、次のようになっている。中心部付近にmixi、twittr、利用、自分、使う、友達、ソーシャルメディアなどの語彙が分布しており、ソーシャルメディア利用の中核部分を構成しているようだ。同じSNSでもfacebookは、離れた距離にあり、「交流」「世界」「登録」といった語彙と近い関係にある。これと対極的な位置にあるのがYouTube、ニコニコ動画などの動画共有サイトだ。

ソーシャルメディア多次元尺度解析

 今後、さらに細かい分析を続けていきたいと思う。

【関連記事】

大学生のソーシャルメディア利用状況



 
日本テレビが11月30日夜に生放送した歌番組「日テレ系音楽の祭典 ベストアーティスト2011」で、一部出演者の歌唱シーンは2週間前に収録した映像を生放送のように演出したものだったことが、関係者の話でわかった。日テレ側も事実関係について認め、「紛らわしい演出だった」としている。(朝日新聞12月1日)
 これが事実とすれば、「やらせ」によって視聴者を騙す行為とみなされても仕方がないだろう。
関係者によると、歌手の平井堅さんと、3人組「いきものがかり」の出演部分は11月17日に東京都内の日本テレビのスタジオで収録されていた。その際、スタッフが観覧客に「生放送の司会者から呼びかけられた設定で反応してほしい」と依頼し、「口外しないように」との念押しもあったという。(朝日新聞12月1日)

録画を「生中継」のように演出。日テレ「だます気なかった」(朝日新聞12月1日〕

日本テレビ、事前収録場面を「生放送」演出(読売新聞12月1日)

収録なのに「生放送」のふり 日テレ歌番組(産経新聞12月1日)






 前回は、3月12日から14日までの原発事故関連記事をすべて一緒にして分析しましたが、今回は、日別に分けて、語彙の共起ネットワークを作成してみました。まずは、3月12日、震災翌日の新聞報道を分析した結果です。

朝日3月12日

 原子炉内の緊急事態の様子が大きく報道されているようです。次は、3月13日の報道の分析結果です。

朝日3月13日共起

 3月13日になると、原子炉における「爆発」「炉心溶融」という新しい深刻な事象が大きな焦点を結んで報道されています。また、住民の「避難」「指示」も、これに関連する語彙ネットワークをつくっています。最後は、3月14日の報道です。

朝日3月14日

 14日になると、原子炉内の事象というより、「東日本大震災」という言葉が大きく全面に出てきます。このあたりは、もう少しもとの記事にあたって、どういった変化がみられるのか検討する必要がありそうです。

 明日は、この続きで、3月15日以降の記事についても同様の分析をしてみたいと思います。

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