最近、私の受け持つ授業の中で、「ソーシャルメディアの利用状況」について、学生に自由記述式で回答してもらったデータがある。このデータをもとに、KH Coderというテキストマイニングソフトを用いて、利用状況の分析をしてみた。

 まず、語彙の出現頻度を調べてみたところ、100語以上の語の出現頻度は次のようになっていた。

語彙の出現頻度

 ソーシャルメディアの中では、Twitterへの言及頻度がもっとも高く、LINEがこれについで高いという結果が得られた。Facebook、mixiがこれに続いている。最近のソーシャルメディアの人気度がよく反映されていると感じた。大学生の場合、mixiには登録しているが、ほとんど使っていない、といった回答が多かった。一般の語彙の中では、「利用」が第一位を占め、「友人」が第三位を占めている。やはり、ソーシャルメディアは、友人との繋がりという位置づけのようだ。

 TwitterとLINEのKWICコンコーダンスをみると、次のようになっている。これは、語彙の前後の文脈がわかるものだ。

TwitterのKWICコンコーダンス

 Twitterについては、フォローしている友人の日常のつぶやきをみたり、自分がいまどこで何をしているかといった他愛もないつぶやきをするのに利用していることがわかる。

LINEのKWICコンコーダンス

 LINEについては、メールよりも早く友人とメッセージのやりとりができること、ゼミやサークルでの連絡によく使われている。回答者は大学一年生だが、大学に入ってから、友人のすすめで始めたという回答が多かった。いわゆるネットワーク外部性のよい例だと思う。LINEは、世界で6000万人、日本国内だけでも2800万人が利用しているといわれ、爆発的なブームになっているようだ。いまや、ソーシャルメディアの中では、Twitterに次いで第二位の地位を占めようとしている。

 次に、階層的クラスター分析にかけてみた。その結果(デンドログラム)は、次の通り。

クラスター分析1

 画面が縦に長すぎて、上半分しか見えていないが、YouTubeが「動画」「共有」「投稿」と結びついていること、LINEが「グループ」「チャット」「便利」などの語彙と結びついていること、Twitterが「友人」「利用」「自分」「見る」などの語彙と結びついていること、などが分かる。それぞれのメディア特性を反映しているようだ。

 デンドログラムの下半分は、次のようになっている。

クラスター分析2

 Facebookとmixiはきわめて近い関係にある。「写真」「登録」「ソーシャルメディア」などとの結びつきが強い。実際、Facebookでは、写真を載せて友人と共有し合うという使われ方が多いようだ。

 最後に、多次元尺度解析によって、出現語彙の2次元空間上の配置状況をみておこう。

多次元尺度解析


 LINEは、従来のメールを代替する機能を果たし、グループ間でのメッセージのやりとりとして、非常に便利なツールとして認識されている。Twitterは、空間的にはやや近い位置にあり、より「情報」に比重をおいたソーシャルメディアであるようだ。YouTubeやFacebook、mixiは、これとはっや離れたところで、独自の機能を果たしているようだ。Twitterは、ある意味で、従来型のSNSであるFacebookやmixiをある程度、機能的に代替しているとも考えられる。

 ※なお、昨年の12月に同じ趣旨で行った内容分析と比較してみると、mixiの凋落ぶりが明らかに見て取れる。

→ http://blog.livedoor.jp/media_research/archives/1731827.html