メディア・リサーチ

メディアとコンテンツをめぐる雑感と考察

2014年09月

 今週の講義では、インターネットの歴史を概説することになっている。その際に悩むのは、はたしてインターネットは米ソの冷戦をきっかけとして開発されたのかどうか、という点だ。

 Neil Randall著『インターネットヒストリー』の第1章は、次のような文章から始まっている。

 1960年代、米国は ソビエトからの核攻撃を恐れ、対策を練っていた。そして、少なくともやっておく価値があると判断したのが、軍内部のコミュニケーションシステムを壊滅から守ることだった。
 解決策として、コミュニケーションを中央コンピュータシステムで集中管理することをやめた。集中管理を行うマシンさえ存在しなければ、このマシンが爆撃で吹き飛ばされることを心配しなくていい。
(中略)
 そこで登場してきたのが、パケット交換方式と呼ばれる技術である。この名付け親はドナルド・ディビスだが、基本原理は1960年代にポール・バランが発表した論文から誕生した。 
  これだと、「インターネット誕生の背景には、米ソの冷戦があった」という説がもっともらしく聞こえる。確かに、インターネットの誕生を支えた基本的技術の一つに、ポール・バランの提案した「パケット交換技術」「分散処理技術」があったわけだから、この説は必ずしも間違っているとは言えない。

 しかし、インターネットの原型ともいわれるARPANETそのものは、軍事目的のために開発されたわけではなかった。この点に関して、喜多千草氏(科学技術史)は、『インターネットの思想史』の中で、次のように説明している。

 「インターネットは国防総省の分散型コンピュータネットワークARPAネットから育ってきたものであり、もともと核攻撃による中央情報施設壊滅を避けるために構想された」という俗説がまことしやかに流布している。実はこの説は、ARPAネットと空軍に提出されて棚上げされた別のネットワーク構想との半ば意図的な混同から生まれた。インターネットの普及が加速し始めた1994年、7月25日号の雑誌タイムが早くもこの説を紹介した。
  喜多氏によれば、こうした俗説が誕生したのには、二つの経路があったという。「ひとつには、バランのネットワーク計画がそのままARPAネット計画の端緒になったと、開発の経緯を事実誤認した場合。もうひとつは、通信方式の技術的特徴の同一性をもって、同じ方式を採用したARPAネットも核攻撃を避けるという目的があったために分散型のネットワークになったに違いないと拡大解釈した場合である」。

 それでは、ARPAネットにはどのような開発思想があったのか?喜多氏は、国防総省の高等研究プロジェクト局(ARPA)の三人の情報処理技術部(IPTO)長(リックライダー、サザランド、テイラー)に焦点を当て、それぞれのネットワーク開発構想を詳しく検討している。その結果、リックライダーからテイラーへと引き継がれたネットワーク構想は、「コミュニケーションのメディアとしてのコンピュータネットワーク」という開発思想を基盤としたものであったことが明らかにされている。つまり、ARPAネットの開発思想は、決して軍事的なリスク回避といったものではなかったというのである。

 ただし、ARPAという組織そのものは、1957年の「スプートニクショック」とソ連の軍事的優勢に対抗して誕生したものであることは事実である。また、ポール・バランらの提案したパケット交換方式が、のちにARPAネットに採用されたことも事実である。ARPAネットと、その後のインターネット技術確立への道程には、実に多くの研究者や研究推進者たちの努力があったことは銘記すべきだろう。


参考文献:
喜多千草著(2003)『インターネットの思想史』(青土社)
ニール・ランダル著『インターネットヒストリー』(オライリー)


 
  
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 BDレコーダーの「リモート視聴」機能によって、スマホやタブレットでもテレビ放送が楽しめるようになった。そのおかげで、家庭内のチャンネル争いがなくなった。子どもがアニメを見ている今も、私はスマホでNHKの「ニュースウォッチ」を、ブログを書きながら見ている(ちょうど、御嶽山噴火災害のニュースをやっているところ)。iPhone5は小さな画面だが、BDレコーダーから送られてくる画像は、ブロードバンド回線とretinaディスプレイのおかげで、きわめて鮮明に再生される。したがって、画面は小さくても十分に満足がいく。小さいがゆえに、キーボードの端に置いても邪魔にならない。これも、小画面のメリットだろう。iPhone6の大画面では、むしろスペース的に邪魔になるのではないだろうか。それゆえ、当分の間、iPhone6に乗り換えるつもりはない。スマホは、いまや大画面テレビのセカンドスクリーンであり、また大画面PCのセカンドスクリーンでもある。

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 iOS8の導入によって、さまざまなアプリに新機能が加わるようになった。私がもっともよく使っているアプリのEvernoteにも、いくつか新機能が加わった。その中で、もっとも便利な新機能は、Safariブラウザで保存したいページを、Evernoteに丸ごとクリップしてくれるものだ。モバイル環境で、このようなことができるのは、たいへんにありがたい。これから、どんどん活用していきたい。




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 筆者は、PCの「太郎」の時代(1990年代)からの一太郎愛用者だ。日本語変換ソフトATOKも、ずっと使っていた。それで、最近iOS8.0に対応したATOKが発売されたことを知って、さっそくiPhone5とiPad miniに入れることにした。価格が1500円と高いのは痛いが、イノベータ故の初期投資と考えて導入を決意した。ネットで調べると、あまり評判はよくないようだが、実際に使い勝手を確かめてみたいという欲求が上回った。

 インストールしたあと、最初にすることは、「設定」→「キーボード」で、ATOKの入力を可能にすることだ。この手続きは簡単。とりあえず、どのアプリでもATOK変換ができるようになった。これから、少しずつ使いこんでみたいと思う。評判の悪い点については、今後の改善を期待したいと思う。

 

  
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 iPhone5で、WiMaxの接続スピードを測定したところ、次のような結果となった(自宅の屋内)。

  期待したほどのスピードではないが、動画をスムーズに視聴するには十分な値といえよう。












  次に、au ひかりの回線に切り替えて、スピードを測定したところ、左のような測度になった。やはり、光回線のスピードは圧倒的に速い。とくに、 アップロードのスピードが桁違いに速いことがわかる。






  大学の研究室の学内LANでは、さすがに速く、上りで42.83Mbpsという高速だ。
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 WiMaxを導入して以来、動画サイト利用の機会が大幅に増えた。別ブログでも書いたように、テレビのリモート視聴が、容量の制限なしで楽しめるようになったことが、そのきっかけだった。ついでに、動画配信サイト(’VOD)にも加入すれば、動画の選択肢が大幅に広がると考えた。

 ディーガで視聴可能なネット動画には、アクトビラ、Hulu、Tsutaya TVがある。最初はTsutaya TVのネット配信サービスをお試しで視聴することにしたのだが、1本あたり数百円の利用料金が発生すること、レンタルの視聴期間が短いことなどの難点があり、今は、Huluに加入して、映画やテレビドラマを楽しんでいる。子どもが大好きな「妖怪ウオッチ」が初回から無料で何話でも追加料金なしで見られるのが、なによりのメリットだと感じる。Tsutaya TVだと、3話以上を見ようとすると、有料(約300円)になってしまう。視聴意欲が半減する。

 Huluの場合、他のVODと同じように、視聴を中断しても、次に視聴するときには、続きから見ることができる。これは、録画したビデオと違う大きなメリットだ。タイムシフトとプレイスシフトで、好きなときに好きな時間だけ視聴することができるからだ。また、「マイリスト」といって、見たい動画をあらかじめ登録することができるのも便利だ。キーワードで好きな俳優や映画タイトルをすばやく検索もできる。 動画の本数は、YouTubeなどに比べれば少ないが、映像の質が高いことを考えれば、やむを得ないだろう。
 
 Tsutaya TVの場合、DVD,BDレンタルサービスに比べて、本数が桁違いに少ないのが難点だ。本当の映画好きには物足りなく感じるだろう。アメリカの映画やドラマが好きな人や、英会話の練習をしたい人には、Huluはコストパフォーマンス的に最適なサービスといえる。私も、Huluを英語のブラッシュアップのためにも活用したいと思っている。英語字幕付きの映像が楽しめる。一部の映画、ドラマには、英語字幕つきのものもある。いずれ試してみたいと思っている。10秒巻き戻し機能も、英語学習者にはありがたい。

 英語字幕を使ったHuluによる英語学習法については、次のサイトが大いに参考になる。

Huluを使った具体的な英語学習法
英語字幕・英語音声で見られるHuluの海外ドラマ一覧

 電車の中や隙間時間を埋めるコンテンツとして、Huluは大いに役立ってくれるだろう。日本の動画配信サイトでも、Huluに対抗できるサービスを提供するところが現れてほしいものだ。

 ※ 付言すると、HuluはPC画面、大画面TV、スマホ、タブレットのすべてに対応している。アプリは最新のバージョンのものにアップデートしておきたい。 ただし、ディーガで大画面TVを見る場合、英語字幕には対応していないのがちょっと残念。

 
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 最近は、家庭用ひかり回線の普及が進み、飽和状態になっているのだろうか、代理店業者からの勧誘競争が激化しているようだ。私の住むマンションには、NTT、auひかりの回線設備が入っており、どちらの業者のサービスも受けられる状況にある。そのせいか、後発のau関連業者からの勧誘がかなり強引な形で行われているように思われる。数か月前、我が家にもKDDIを名乗る業者が、NTTからauへの乗り換えを勧誘に来た。話を聞くと、これまでのNTTフレッツよりもかなりお得な月額料金になるというので、auに乗り換えることになった。結果をみると、月々の請求額は乗り換え前とほぼ同じか、やや高くなっていて何か損をしたような気持ちになった。あまつさえ、最近では、モデムのせいではないかもしれないが、しばしばネットがつながらなくなるというトラブルが発生し、NTTに戻そうかなとも感じていた。

 昨日から始めたWiMaxモバイルルータに付属して、「&WIMAX割」というキャンペーンのちらしが入っていたので、読んでみたところ、 光ライフ with フレッツに新規加入すると、WIMAXの月額料金が1年間無料になるとあった。単純に計算すると、税込で約48000円も節約になるという勘定だ。プロバイダに電話で問い合わせると、我が家の光回線は、このキャンペーンに当てはまり、かなりお安くなるとのこと。さっそく乗り換えの申込みをしたという次第である。「乗り換え」にはかなりの手間がかかるが、このプロバイダの話では、無料の出張機器設置サービスをしてくれるとのことで、ひと安心。

 乗り換えの経過は、逐次ご報告することにしたい。 続きを読む
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 最近知ったのだが、子供用に開発された「スクラッチ」(Scratch)というプログラミング言語がある。これは、MITメディアラボのチームが開発した、子供向けのプログラミング言語だという。先日、東京大学の福武ホールで開催された「プログラミングラボ in オチャノミズ」に、子どもと一緒に参加した。約2時間のグループワークだったが、子どもも興味をもって取り組んでいた。あとで、テキストブックを見ながら、自宅でもやってみたが、なかなか奥が深く、かつ視覚的にわかりやすいプログラミングで、これなら、子どももプログラミングに興味をもってくれるかな、と思った。 このときの作品は、ウェブ上でも公開されている。

Scratch スタジオ 9/6

 スクラッチは、PC版とウェブ版があるが、ウェブ版のほうが、どこからでもアクセスできるので使いやすい。

 スクラッチのウェブサイトは、次のところです。命令文がブロックのようになっていて、それを組み合わせることによってプログラムができるようになっている。

・Scratch Website

   私がスクラッチで作ったアニメーション(列車が遠くから近づいてくるところ)
scratch
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 けさ、外出の直前に気づいたのだが、iPhoneの電池残量がわずか8%になっていることを発見。とりあえず電源ケーブルをつないで、約30分間充電したところ、30%にまで回復。でも、これでは外出中にバッテリー切れになることは必定。

 そこで登場したのが、昨日購入したばかりのWiMax2+モバイルルーターだ。このルーターは、通信機能に加えて、給電機能も備えている。給電に使う容量の上限を20% または50%に指定できるので、過充電によりルーターの電池がなくなる心配はない。外出した時点で、ルーターを専用USBケーブル(下の写真)でiPhoneに接続し、いざ出発。

 果たして、どのくらいのスピードでどのくらい充電ができるのか不安もあったが、 約1時間給電を続けた結果、85%にまで充電量を高めることができた。この間、電車の中でも、WiMaxの通信を続けることができた。最近は、とくに若者たちは、けっこう大きなスマホ充電器を持ち歩いているようだが、このWiMaxルーターは、サイズ的にも、スマホ充電器として十分使えることが確認できた。最近発売されたiPhone6では、充電能力が強化されたとの話も聞くが、このルーターがあれば、そういった心配もないので、精神衛生上もよろしい。




 電車の中では、WiMaxを使って、テレビ番組のリモート視聴をしていたのだが、時折画面がフリーズしたり、回線が切断されるなどのトラブルはあったものの、十分楽しむことができた。残念なのは、iPhoneアプリであるPanasonic Media Access が、USB-HDDに対応しておらず、機器本体の録画ビデオしか再生してくれないことだ。この点は、今後のアップデートでぜひ改善していただきたいところだ。
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 けさ、NiftyからWiMax2+のモバイルルーターが届いたので、さっそく利用を開始した。クレードル付きなので、自宅内のLANもこれで構築できるかと思ったが、そうでもないらしい。
 下の写真に見る通り、電波状況は今一つという感じがする。戸外では受信感度は良好で、スピードのある通信サービスを享受できるが、コンクリート造りのビルに入ると、とたんに電波が繋がりにくくなるようだ。大学の研究室では、受信状況はあまりよくない。動画視聴中に画面がフリーズしたりするという現象が起きた。来週の授業で電波受信状況を確認することにしたい。
 ともあれ、月額4000円の料金を負担しないといけないので、スマホの料金プランを低額のものに変更して、なんとか元をとりたいと思っている。

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一時間くらい間をおいて、ふたたびルーターを設置しなおしたところ、屋内でもWiMax2+がつながるようになった。不安定ではあるが、コンクリートの建物内でも、窓に近いところであれば、WiMax2+の高速回線がつながることが確認でき、ほっとした。下の写真をごらんいただきたい。電波が3本立っていることが確認できるかと思う。ちなみに、ルーター設置場所は、東京23区内である。


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 なお、このモバイルルーターには、給電機能がついているので、専用のUSBケーブルを使って、スマホに充電することができる。これは、長期外出中には便利な機能だろう。(下図参照)

Evernote Camera Roll 20140925 165808.jpg


 
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 5月末頃から体調を崩していたために、このブログも休止状態になっていたが、ようやく体調が戻ってきたので、久しぶりにブログを再開したいと思っている。かねてからの懸案だったモバイルWimaxが、本日中にも入荷するので、それを使うのが楽しみだ。

 WiMaxルーターを使おうと思ったきっかけは、 最近、自宅のBDレコーダーが壊れてしまったことである。パナソニックのディーガを5年くらい使っていたのだが、BDディスクが再生されなくなるというトラブルが発生し、この際、最新型のレコーダーに買い替えようと思ったのである。

 テレビもパナソニックなので、BDレコーダーの後継機種もパナソニックにすることにした。最新のディーガを検索してわかったのだが、フラグシップの機種は、BXT970で、トリプルチューナー搭載、チャンネル録画(いわゆる全録)が可能、容量が5TBというものだ。Amazonの価格をみると、14万5000円くらいで、とても手が届く価格ではない。予算は5万円前後ということで探した結果、DMR-BZT665(※)という機種が5万円強で購入できることがわかったので、これを第一候補とすることにした。ヤマダ電機で交渉した結果、5万3000円+12%のポイントで購入することができた。実質価格は4万7000円くらいというところだろうか。

※この機種は夏モデルで、10月後半には後継の秋モデル(BRZ1000)に道を譲ることになった。しかし、性能面では、ほとんど変化はないようだ。 

 購入した機種は、トリプルチューナー搭載、Wi-Fi、容量1TBという、現時点では標準的な機種といえるだろう。5年前だったら、この3倍の値段はしたのではないだろうか。BDレコーダーも進化したものだと思う。全録機能は、あれば便利だとは思うが、いまのところ、それほどの必要性は感じないので、今回は見送ることにした。

 1TBという容量は、高精細画質で80時間以上の録画が可能である。足りなくなったら、外付けのUSB-HDD(2TBで約15000円)を取り付ければ、いくらでも容量を増やせるので、当面は、1TBでも十分だろう。長期間保存したい番組は、BDディスクにコピーすればよい。

 今回の機種グレードアップでいちばん役立っているのは、Wi-Fiによるネットワーク接続機能だ。これで、ネットの動画が大画面テレビで見られるようになった。YouTubeの動画を大画面で見るのは、新鮮な驚きだ。Hulu、アクトビラなどのVODも有料ながら見られるようになった。Tsutaya TVも有料だがテレビで見られるようになった。

 一番の収穫は、「外からどこでもスマホ視聴」という機能だろう。WiFiが使える環境であれば、世界中どこでも、自宅のレコーダーを一種のサーバー&チューナーとして、スマホやタブレット端末でテレビ番組を楽しむことができる。方法は簡単で、スマホに専用の無料アプリ Panasonic Media Accessをインストールするだけだ。

 私のもっているスマホは、iPhone5で、ワンセグ機能はなかったのだが、このBDレコーダーを入れたおかげで、スマホやタブレット端末からもテレビ視聴ができるようになった。これは本当に便利な機能だと思う。

 ただし、スマホでテレビや動画を視聴すると、パケット料が膨大になるので、7~8ギガという「パケット放題」の制限を超えてしまう恐れがある。そこで、この制約を取り払うために、WiMaxのモバイルルーターを導入しようと思ったわけである。

※ちなみに、こうした機能は、ソニー製のBDレコーダーでも実現している。パナソニックの後継機種では、他社製のテレビにも対応したリモコンがついているので、今後は、選択肢の幅が増えるものと予想される。


 
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