本年度の研究費で実施した「SNS利用とプライバシー意識に関する調査」の報告書ができましたので、とりあえずこのブログにリンクを貼っておきます。来年度の学部紀要に投稿する予定です。 

プライバシー・パラドックス再訪

  
本研究では、FacebookおよびTwitterの利用者を対象として、SNSの利用実態およびオンライン上のプライバシー保護意識に関する実証的調査研究を行い、SNSを通じての自己開示とプライバシー意識の乖離現象(プライバシー・パラドックス)の実態と原因の解明を試みた。調査対象は、20歳〜59歳のインターネット利用者620名。分析の結果、プライバシー意識とFacebook自己開示量の間には、負の相関がみられた。これは、プライバシー・パラドックスを否定する結果といえる。ただし、プライバシー意識とTwitter自己開示量との間には有意な相関はみられなかった。FacebookTwitterにおける自己開示度を従属変数とする重回帰分析を行ったところ、両者とも、年齢との間に負の相関、ネットリテラシーとの間に正の相関がみられた。プライバシー意識については、Facebookで負の相関が有意にみられたのに対し、Twitterでは無相関であった。このことから、少なくともFacebookに関しては、プライバシー・パラドックスは生じていないこと、自己開示度については、年齢とネットリテラシーが重要な規定要因になっているという知見が得られた。