メディア・リサーチ

メディアとコンテンツをめぐる雑感と考察

カテゴリ: 映画

 雑誌『Lightning』最新号に、「絶対に観なければいけない映画」という特集があり、その中で、「いま、40代以上の男性諸氏に捧ぐ・・・あの頃 俺たちはメグ・ライアンに恋してた」という記事が目を引きました。まさに、私のことを指しているな、と思いました。

 私がメグ・ライアンと出会ったのは、1993年のこと。学会の出張でアメリカに向かう飛行機の中で機内上映されていた Sleepless in Seattle(邦題『めぐり逢えたら』)を見て、すっかり彼女の虜になってしまいました。以来、『ユーガット・メール』『シティ・オブ・エンジェル』『フレンチ・キス』『ニューヨークの恋人』などメグ・ライアンの出演する映画は、ほとんど見てきました。 彼女の魅力は、キュートな笑顔、独特の愛らしい仕草、時折見せるうっとりした表情、コミカルな演技、憎めないパーソナリティ、などにあります。まさに、「ラブコメの女王」にふさわしい存在といえます。

 そんな彼女の魅力が全開したのが、1989年公開の『恋人たちの予感』(When Harry Met Sally)でした。どういうわけか、これまで見逃していた作品で、この雑誌で紹介されて、初めて知り、さっそく見ました。まだ若々しい頃のメグで、体型がスリムで豊かな金髪が魅力的ですが、後の彼女の魅力がすでに存分に発揮されていました。「名作」かどうかはさておき、ラブコメ女王の誕生を告げる、記念すべき一作だと思います。

 しかし、メグ・ライアンを知っている世代は、40代以上のようで、先日学生に「メグ・アイアンって知ってる?」と聞いたところ、だれも知りませんでした。もはや、過去の女優になりかけているようで、残念です。最近は、整形手術が失敗したとかで、映画出演の機会もなくなったようで寂しい限りです。でも、私にとっては、永遠のラブストーリーのヒロインです。

268 | dマガジン 2016-07-09 04-36-05





 
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 この映画は、以前に一度見たことがあります。今回、見直して、すばらしい名作であることを再確認しました。シチリア島の小さな村にある、唯一の娯楽施設の映画館(ニューシネマパラダイス)。そこに、映画好きの少年トトが入り浸り、中年の映画技師アルフレードと親しくなります。少年は成長して、少女と恋に陥りますが、失恋。映画館は火事に遭い、映写技師は失明。少年はそのあとを継ぎます。しかし、アルフレードはトトに、ローマへ行くことを強く勧め、トトもその助言に従い、ローマへと旅立ちます。

 映画監督として成功したトトは、アルフレードの死を知り、故郷に戻りますが、、、

 この映画は、かつて映画が民衆の唯一の娯楽であった時代を懐かしむことができるとともに、過ぎ去りし思春期への回顧、切ない失恋、美しい音楽など、見所満載の映画です。ラストシーンも感動的。


 

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 1950年代の米ソ冷戦を背景に、スパイの交換という大役を果たした弁護士の物語。トム
ハンクスが弁護士役を好演。スピルバーグ監督の最新作。見応えがあり、おもしろかった。
 
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 日曜日に見た映画、『きみに読む物語』(The Notebook)。階級差や第二次大戦などを背景に、次第に惹かれ合い、やがて結ばれる男女を描いた、心温まるラブストーリー。間違いなく、恋愛映画ベストテンに入る、心に残る作品だと思いました。ベストセラー小説を映画化したもの。

詳しいレビューは、こちら:

きみに読む物語

 
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 いままで使っていたiPhone6用のケースが、汚れてしまったので、新しい手帳型のケースを購入することにしました。Spigen製の本革ケースです。カード入れが3枚分ついており、横置きで、立てるようにセットできるので、とても気に入っています。

 さっそく、映画(レナードの朝)を視聴しましたが、小さな画面でも、けっこう楽しめました。これから5年くらいは使い倒したいと思っています。新しいケースに入れると、2年近く前に買ったiPhone6がますます輝いてみえるから不思議ですね。

 

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「アマゾン・プライム会員必携」ともいわれる、FIre TV stickが届きました。これは、HDMI端子のついたテレビに差し込み、WiFiの設定をするだけで、アマゾンビデオを始め、NETFLIX、dTV、HULU、Gyao!、U-Next、YouTube、NHK World、天気予報、ゲームなど、多様なコンテンツを大画面TVで見られるSTB端末です。

 さっそくセッティングをしましたが、わずか数分でセットアップが完了。大画面tvでビデオが鑑賞できるようになりました。以前、「ひかりTV」なるインターネットTVサービスで痛い目に会っていることもあり、心配していたのですが、画面はスムーズで、満足しています。アマゾンプライム会員であれば、プライムビデオの作品を無料で楽しむことができます。

 これで、PC、タブレット、スマートフォン、TVと4つのマルチスクリーンが実現したことになります。今後、こうしたデバイスが増えるにつれて、既存のつまらないテレビ番組はそっぽを向けられ、淘汰されていくことでしょう。マスメディアとしての「テレビ離れ」は、ますます加速するのではないでしょうか?

 Fire TV stickに関する詳しい解説は、次のサイトが参考になります。 

【プライム会員必携】Amazon Fire TV Stickのたぶんどこよりも詳しいレビュー


Fire TV Stick
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きのう見た映画は、「パッチ・アダムス」。精神科に入院していた頃、患者から教えられ、人助けがしたくて、退院後、大学の医学部に入学。その後12年間にわたって、困っている人たち数万人を治療したという、トゥルーストーリーです。やはり、感動しました。 ただ、ロビン・ウィリアムズ氏は、2014年、鬱病が原因で自殺したとのこと、信じられない気持ちです。パッチ・アダムズのように、末永く生きて活躍してほしかったと思います。

※ストーリーの詳しい紹介は、こちらです。 
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進むテレビ離れ

 最新のNHK国民生活時間調査(2015年実施)によると、1日の中でテレビを見る人(テレビの行為者率)は、約85%で、2010年に比べて4%も減少しています。また、1日あたりのテレビ視聴の全員平均時間は、平日で3時間18分で、2010年と比べると10分も減少しています。これは、ある意味、衝撃的な数字です。1975年以来はじめて、「テレビ離れ」が顕著に現れたからです。

 これに対し、「ビデオ・HDD・DVD」の行為者率は15%で、2010年に比べて4%も上昇しています。また、1995年以来、ビデオ・HDD・DVDの行為者平均時間は増える傾向にあります。明らかに、テレビ視聴を、これらの新しいメディア利用が置き換えている部分が少なくないようです。

躍進するネット動画配信サービス

 YouTubeやニコニコ動画はおいておくとして、ここ数年、有料のオンデマンド・ネット動画配信サービスが人気を博すようになっています。例をあげると、Hulu、TSUTAYA TV、Netflix、Amazonプライムビデオ、U・Next、dTVなどがあります。料金は、各社違いますが、月額にして、400円から1000円くらいの間にあるようです。私が愛用しているのは、Amazonプライムビデオです。そこで、このサービスについて、簡単に紹介したいと思います。

Amazonプライムビデオ

 2015年9月にサービスを開始したサービスです。なによりもメリットは、料金が安いということです。年会費3900円で、アマゾンの宅配プライムサービスやプライムミュージックなどのサービスも受けられます。私はアマゾンで買い物をすることが多いので、そちらのサービスでも、元がとれていますから、プライムビデオはおまけのサービスとして利用させてもらっています。

 ラインアップされた映画やドラマもそれなりに豊富ですし、どうしても見たい映画は、350円から400円でレンタル視聴することができます。他のオンデマンドネット動画配信と同様に、PC、スマートフォン、タブレットに対応していますから、いつでも、どこでもユビキタスにサービスを受けられるのも大きなメリットといえるでしょう。

 日曜日には、ゆっくり自宅で、1本か2本の映画を見て過ごすのが日課になっています。ネット動画配信の大競争時代に入り、テレビ離れは、今後ますます進んでいくのはないかと予想されます。
Amazonビデオ
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開発元:AMZN Mobile LLC
無料
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Netflix
Netflix
開発元:Netflix, Inc.
無料
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Hulu / フールー
Hulu / フールー
開発元:Hulu Japan, LLC
無料
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 WiMaxを導入して以来、動画サイト利用の機会が大幅に増えた。別ブログでも書いたように、テレビのリモート視聴が、容量の制限なしで楽しめるようになったことが、そのきっかけだった。ついでに、動画配信サイト(’VOD)にも加入すれば、動画の選択肢が大幅に広がると考えた。

 ディーガで視聴可能なネット動画には、アクトビラ、Hulu、Tsutaya TVがある。最初はTsutaya TVのネット配信サービスをお試しで視聴することにしたのだが、1本あたり数百円の利用料金が発生すること、レンタルの視聴期間が短いことなどの難点があり、今は、Huluに加入して、映画やテレビドラマを楽しんでいる。子どもが大好きな「妖怪ウオッチ」が初回から無料で何話でも追加料金なしで見られるのが、なによりのメリットだと感じる。Tsutaya TVだと、3話以上を見ようとすると、有料(約300円)になってしまう。視聴意欲が半減する。

 Huluの場合、他のVODと同じように、視聴を中断しても、次に視聴するときには、続きから見ることができる。これは、録画したビデオと違う大きなメリットだ。タイムシフトとプレイスシフトで、好きなときに好きな時間だけ視聴することができるからだ。また、「マイリスト」といって、見たい動画をあらかじめ登録することができるのも便利だ。キーワードで好きな俳優や映画タイトルをすばやく検索もできる。 動画の本数は、YouTubeなどに比べれば少ないが、映像の質が高いことを考えれば、やむを得ないだろう。
 
 Tsutaya TVの場合、DVD,BDレンタルサービスに比べて、本数が桁違いに少ないのが難点だ。本当の映画好きには物足りなく感じるだろう。アメリカの映画やドラマが好きな人や、英会話の練習をしたい人には、Huluはコストパフォーマンス的に最適なサービスといえる。私も、Huluを英語のブラッシュアップのためにも活用したいと思っている。英語字幕付きの映像が楽しめる。一部の映画、ドラマには、英語字幕つきのものもある。いずれ試してみたいと思っている。10秒巻き戻し機能も、英語学習者にはありがたい。

 英語字幕を使ったHuluによる英語学習法については、次のサイトが大いに参考になる。

Huluを使った具体的な英語学習法
英語字幕・英語音声で見られるHuluの海外ドラマ一覧

 電車の中や隙間時間を埋めるコンテンツとして、Huluは大いに役立ってくれるだろう。日本の動画配信サイトでも、Huluに対抗できるサービスを提供するところが現れてほしいものだ。

 ※ 付言すると、HuluはPC画面、大画面TV、スマホ、タブレットのすべてに対応している。アプリは最新のバージョンのものにアップデートしておきたい。 ただし、ディーガで大画面TVを見る場合、英語字幕には対応していないのがちょっと残念。

 
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 さきほど、スポーツジムで自転車こぎをしながら、テレビを見ていたら、偶然というか、BSハイビジョンで「チャップリン 世紀を超える」という番組を放送していました。あまりにも興味深かったので、延々1時間以上も自転車こぎをするハメに。おかげで、下半身がクタクタになってしまいました。

 帰宅後、ネットで検索してみたら、これは2006年7月14日放送の「ハイビジョン特集」(90分)の再放送だったことがわかり、「なーんだ」という感じ。ためしにNHKオンデマンドにログインし、検索してみましたが、残念なことに、公開されてはいませんでした。NHKの出し惜しみか?早急に公開をお願いしたいと思います。ジムでは、途中からしか見ていないので、ぜひ再視聴したいところです。今日の放送は、「ベストオブBS」という特集再放送の一環でした。

 忘れないうちに、そのエッセンスを映像とともに振り返ってみたいと思います。(イントロ部分はわかりませんので、省略します。放送にない部分は、ネットで検索した二次資料および私見です)

 チャップリンは、1889年4月、ロンドンの貧しい家庭に生まれ、移民としてアメリカに渡ります。10歳の頃、劇団にデビュー。1914年に映画デビューを果たし、たちまち人気を博します。1918年には、ハリウッドに自らスタジオを持ち、世界的スターに。

 1921年、『キッド』が大ヒット。故郷ロンドンに凱旋帰郷。大喝采を受けます。その巧みなパントマイムで、サイレント映画時代を代表するスターに。トーキー時代にはいっても、サイレント映画を貫き、『街の灯』(1931年)、『モダンタイムズ』(1936年)などの名作を残します。初期のドタバタ喜劇を脱し、現代社会を鋭く風刺する内容へと進化していきます。

 その頂点をなす作品が、『独裁者』(The Great Dictator:1940年)だったのです。NHKの番組でも、後半をすべて、この作品の紹介に費やしています。下の映像は、独裁者ヒトラーを象徴するもっとも印象的な場面(地球儀)です。


 
 しかし、チャップリンがもっとも訴えたかったメッセージは、最後の6分間の演説シーンだったでしょう。NHKが世界初の公開にこぎつけた、チャップリン自筆の300ページを超える台本が、この演説シーンの裏に隠された真実を明らかにしています。独裁者ヒトラーに対する最大級の批判でもある、「自由」と「平等」の訴えかけのメッセージは、ジョン・レノンの『イマジン』にも似て、「ナイーブ」と批判されたこともあるようですが、その普遍性ゆえに、まさに「世紀を超える」名場面として、永く記憶されることでしょう。YouTubeよ、永遠なれ!

 



 




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 映画史でこの時期というと、1920年代後半に、トーキー映画が最初につくられ、1930年代に入ると、カラー映画の技術が開発されます。テレビなどに比べると、まさにドラスティックな変化がみられるわけですが、その社会的影響については、あまり語られてはいないようです。

【トーキー映画の登場】
 トーキーというのは、「フィルム上の録音帯(サウンド・トラック)に音を記録し、映写時に画面と同調させて再生する発声映画」(村山,2003)のことをいいます。それ以前は、蓄音機や楽団を用いたり、活動弁士を通じて、外から音を付加していたことはありましたが、映画それ自体に音声が埋め込まれることはありませんでした。

 ※ちなみに、『トーキー』ということばは英語でtalkieですが、これは、talking pictureの古語だそうです。電話をtelephoneといったり、テレビをtelevisionというのも、同じ造語法といえます。Carriageということばも同じです。つまり、隠喩法の一種です。

 世界初のトーキーは、1926年~28年にかけて、アメリカで登場したそうです。

 先頭を切ったアメリカでは、まず伴奏音楽と効果音を画面に同期させたサウンド版『ドン・ファン』(1926)が、ついで歌唱場面を同時録音した『ジャズ・シンガー』(1927)が世に送り出された。そして28年、遂に完全な発声劇映画『ニューヨークの灯』が登場し、以降、世界の映画はトーキーが標準形式となってゆく(村山,2003より)。
 日本では、五所監督の「マダムと女房」(1931年)が最初です。アメリカから遅れること、わずか3年ですね。

【モノクロからカラー映画へ】
 初のカラー映画には、「テクニカラー」という技術方式が使われていました。村山(2003)によれば、
 現代的なカラー・フィルム・システムは1930年代にはいるまで出現しなかった。32年、ハーバート・カルマスらが創業した「テクニカラー映画会社」が三原色を3本のフィルムに分解感光させる方式、すなわちテクニカラーを開発したことで、本格的な色彩映画の時代が幕を開ける。 
とのことです。したがって、ネガのフィルムがモノクロの3倍も必要だったということで、ハリウッドに巨大なスタジオが登場し、スターシステムが確立した30年代に花開いたことは偶然ではないでしょう。

 では、世界初のテクニカラー映画は?というと、
最初にこのシステムを採用したのはウォルト・ディズニーで、アニメーション映画『花と木』(1932)がテクニカラー映画の口火を切り、劇映画ではルーベン・マムーリアンの『虚栄の市』(1935)が第一作となった
というわけで、1932年、アニメ映画だったのです。そういえば、小さい頃、「ファンタジア」(1940年製作)というカラーアニメ映画を見たときの印象はいまでも強烈に残っています(日本公開は1955年)。

 しかし、テクニカラーの威力をまざまざと見せつけたのは、1939年製作の『風と共に去りぬ』ではないでしょうか。私自身、これまで何回となく繰り返し見て、そのたびに大きな感動をうけています。その美しいクリップ映像をYouTubeで見つけました。


  カラー技術による超大作映画という意味では、映画史上でも重要な意味をもっているわけですが、そのコンテンツが「名作」かどうかという点については、評価が分かれるようです。主演のスカーレットが嫌い、心優しいメラニーが好き、大作だが名作とはいえない、などの評価も聞かれます。私自身は、一番好きな映画の一つですが、、

 映画評論家はこの映画をどう評価しているでしょうか?佐藤忠男さんは、『世界映画史・上』の中で、4ページにわたって紹介、批評しています。少し長くなりますが、次に引用しておきたいと思います。
 この映画は1939年、大製作者セルズニックの総指揮下、当時としては空前の超大作として製作され、空前の興行成績をあげ、10部門のアカデミー賞を受けるなど、よき古き時代のハリウッドの記念碑のような豪快な大スペクタクル・メロドラマとなった。
 金持ちでありつづけること。落魄の哀傷などという気分は決して認めないこと。絶対に誰からも支配されたくないということ。これらの感情はアメリカ的精神の主要な柱であり、それを女性の立場から強烈に謳いあげたところにこの作品の格別の魅力がある。
 ヴィヴィアン・リーが、これを熱っぽくしかも気位を失わないで演じていた。クラーク・ゲイブルの磊落豪放なスケールの大きさ、レスリー・ハワードの繊細なやさしい紳士ぶりも好対照であり、なによりもメロドラマに歴史劇のような風格を与えた作品の構えの大きさがあっぱれである。プロデューサーのデビッド・O・セルズニックは、脚本家や監督を片っ端から取り替え、そのいいところだけをつないでこの作品を完成させた。プロデューサー芸術とでもいうべき作品であった(佐藤,1995より)。
 このように、肯定的な評価です。わたしもほぼ同意見です。サドゥールは、『世界映画史Ⅰ』のなかで、次のように述べています。
 1939年は有名なベストセラー小説を映画化した『風と共に去りぬ』の驚嘆に値する大ヒットで特徴づけられた。南北戦争を南部人の立場から物語っているこの豪華なテクニカラー作品は、ヴェテラン監督ヴィクター・フレミングが演出したというよりも、製作者であるデヴィッド・O・セルズニックの手腕とクラーク・ゲーブル、ヴィヴィアン・リー、オリヴィア・デ・ハヴィランドといった主演者たちのスター・ヴァリューに負う所大である。その最も優れたシーンは戦争の恐怖と荒廃を示した場面である。
 テクニカラー映画は、その後、イーストマン方式のカラー映画に凌駕されてしまいますが、最近では、デジタルリマスターでより再現力が高まるということで再評価されているようです。

 日本初のカラー映画は、1951年、木下恵介監督作品『カルメン故郷に帰る』とのこと。アメリカから20年近く遅れてのスタートでした(戦争による失われた20年?)。




参考文献:
G.サドゥール 丸尾定訳 『世界映画史』Ⅰ 1980年
佐藤忠男『世界映画史』(上)1995年 第三文明社
村山匡一郎編『映画史を学ぶクリティカル・ワーズ』フィルムアート社 2003年
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