メディア・リサーチ

メディアとコンテンツをめぐる雑感と考察

カテゴリ: 統計・調査

 2015年に行われたNHKの国民生活時間調査によると、新聞行為者率の男女別推移(1995年〜2015年)は、下のようになっています。(上が男性、下が女性)。男女ともに、20代〜40代にかけての減少率が著しいという結果です。この年齢層は、インターネット利用が、新聞利用を代替していると考えていいでしょう。この年齢層が高齢化していくと、新聞離れは、いっそう加速していくものと予想されます。新聞行為者率(男性)新聞行為者率(女性)
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 「ネット依存症」という言葉があります。1日中ネットにのめり込んで、病理的な症状を示す人のことをいうようです。この言葉をつくったのは、アメリカのキンバリー・ヤング博士です。1999年の調査では、全体の6%がネット依存症を示したとのことです。

 依存症の程度をはかる、インターネット依存度尺度は、次の20項目からなっています(IATによる)。
 
1.気がつくと、思っていたより長い時間ネットをしていることがある
2.ネットを長く利用していたために、家庭での役割や家事をおろそかにすることがある
3.家族や友達と過ごすよりも、ネットを利用したいと思うことがある
4.ネットで新しく知り合いを作ることがある
5.周りの人から、ネットを利用する時間や回数について文句を言われたことがある
6.ネットをしている時間が長くて、学校の成績が下がっている
7.ネットが原因で、勉強の能率に悪影響が出る
8.他にやらなければならないことがあっても、まず先にメールをチェックすることがある
9.人にネットで何をしているのか聞かれたとき、いいわけをしたり、隠そうとしたりすることがある
10.日々の生活の問題から気をそらすために、ネットで時間を過ごすことがある
11.気がつけば、また次のネット利用を楽しみにしていることがある
12.ネットのない生活は、退屈でむなしく、わびしいだろうと不安に思うことがある
13.ネットをしている最中に誰かに邪魔をされると、いらいらしたり、怒ったり、言い返したりすることがある
14.夜遅くまでネットをすることが原因で、睡眠時間が短くなっている
15.ネットをしていないときでも、ネットのことを考えてぼんやりしたり、ネットをしているところを空想したりすることがある
16.ネットをしているとき「あと数分だけ」と自分で言い訳していることがある
17.ネットをする時間や頻度を減らそうとしても、できないことがある
18.ネットをしている時間や回数を、人に隠そうとすることがある
19.誰かと外出するより、ネットを利用することを選ぶことがある
20.ネットをしている時は何ともないが、ネットをしていないときはイライラしたり、憂鬱な気持ちになったりする
  それぞれ、0=あてはまらない~5=あてはまるの6点リッカート尺度になっていて、合計得点が70点以上の人は、依存度が高いと判定されます。私など、このテストを受ければ、「ネット依存度が高い」と判定されることは間違いないでしょう。

 2014年に大学の授業で実施したアンケートでも、かなりの学生が高いネット依存度を示していました(次の図)

 


















 しかし、このテストには問題があります。たとえ、高得点を得ても、病理的症状がないというケースもあるからです。私などは、むしろ、ネットのおかげで、脳内刺激が活発化され、ボケ防止に役だっています。

 問題が起きるとすれば、次のようなケースでしょう(『朝日新聞』2016年6月5日)
 
 国立病院機構久里浜医療センター(神奈川県横須賀市)は、2011年にネット依存治療研究部門をつくった。患者の約8割が子どもだが、30~40代を中心に大人も通ってくる。

 樋口進院長は「ネットの使いすぎで生活に明らかな支障が出ていれば、治療の対象です」と話す。相談は、オンラインゲームや掲示板への書き込み、SNSがやめられないといった内容が多く、「夫が一日中スマホを触っている。離婚したい」などと訴える女性もいた。 樋口院長は「パソコンに比べスマホは常に携帯している人が多く、治療が非常にやっかいだ」と指摘する。

 デジタルネイティブ世代の若者は、多かれ少なかれ、ネット依存の傾向にあるのではないでしょうか。むしろ、問題で危険なのは、歩きスマホとか、SNSでのプライバシー過剰露出などではないかと思います。
 
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シカゴ学派=実証的アメリカ社会学の出現

 毎年、いま頃になると、講義の話題は、いわゆる「メディア効果論」になる。5回位を費やして、歴史的な展開を論じるのだが、その出発点は、1930年代のラジオ研究にまで遡る。1930年代のアメリカは、「ラジオ」というニューメディアが急速に普及し、大きな社会的影響力を及ぼしていると信じられた時期である。ちょうど、いまのインターネット普及時代に類似した、転換期の社会だったといえるだろう。19世紀に入ると、ヨーロッパから大量の移民が流入し、都市部では人種のるつぼ的な状況で「大社会」が現出したともいわれた。シカゴ大学を中心として、多くの社会学者がこうした状況で「社会」とは何か、「コミュニケーション」とは何かという、時代を映し出すテーマについて、理論的、実証的な研究を精力的に行ったのである。

 シカゴ大学では、エスノグラフィックな質的調査が重視され、多くの優れた都市社会学の成果が生み出された。その伝統は、「シカゴ学派」として、現代まで連綿として続いている。

コロンビア大学=定量的コミュニケーション研究の始まり

 一方、ニューヨークのコロンビア大学では、定量的な調査研究によって、ニューメディアであるラジオについて、実証的な調査研究を行おうとするプロジェクトが行われた。その主導者が、Paul Lazarsfeldであった。彼は、のちに「実証的社会学の父」とも称されるようになる。

Lazarsfeldの生い立ちと渡米

 Lazarsfeldは、1901年、ウィーンでユダヤ人を両親として生まれた。父は法律家、母は精神分析家であった。彼は大学で数学と物理学を学び、アインシュタインの重力理論の数学的側面に関する博士論文を書いている。
Lazarsfeld
 その後、ウィーン大学の心理学研究所を創設したKahl Buhlerのもとで研究を続けた。そこで、社会心理学的な応用調査研究を提案している。1930年代はじめ、Lazarsfeldと2人の同僚(妻Marie JahodaとHans Zeisel)はオーストリアの小さな町で失業問題の政治的影響に関する研究を行った。研究の結果は、失業は政治的無関心を助長するという予想外のものだった。この研究の重要性を認めたBuhlerは、ハンブルグでの国際心理学会議で発表するよう勧めた。学会での発表は、たまたま出席していたロックフェラー財団のヨーロッパ代表の目にとまり、Lazarsfeldはアメリカでの1年間の在外研究の機会を得ることになった。1933年10月、Lazarsfeldはニューヨークに到着した。

Lyndとの出会いと縁結び

 渡米した直後、Lazarsfeldはコロンビア大学教授のRobert Lyndとコンタクトをとった。Lyndは妻とともに、有名なMiddletown(1929)という実証研究を出版していた。Lyndはその後、Lazarsfeldがアメリカに定住する上で、いわば縁結びの役割を果たすことになる。

 Lazarsfeldがアメリカに到着してからわずか数か月後、オーストリアでファシストによるクーデいてターが起こり、Lazarsfeldはアメリカに移住することを決意する。LyndはLazarsfeldのために、ニュージャージー州のUniversity of Newarkに就職口を見つけてくれたのである。また、Lyndの示唆により、ロックフェラー財団から研究助成を受けて、ラジオに関する大きな研究プロジェクトに代表として参加することになった。これは彼のキャリアにおいて画期的なものとなった。このプロジェクトでは、プリンストン大学のH.CantrilやF.Stanton (『火星からの侵入』調査でのちに知られるようになった)と協同研究を行っている。

 この研究プロジェクトが発展 的に解消し、数年後には、やはりLyndの仲介のおかげもあり、ニューヨークのコロンビア大学応用社会調査研究所(Bureau of Applied Social Research at Columbia)として結実したのであった。

実証的社会調査研究の推進

 Lazarsfeldが設立した応用社会調査研究所は、大学付属の社会調査研究機関の嚆矢をなすものであった。大学の付属機関でありながら助成資金は企業や政府から獲得するという斬新なスタイルのものであり、その後の同種機関のモデルとなった。  Lazarsfeldの貢献は、実証的社会学研究の方法論を築いたこと、世論調査、投票行動、市場調査研究を推進したこと、などにあった。彼はまた、数々の協同研究プロジェクトを通じて、錚々たる社会学者、コミュニケーション学者たちを輩出する、コラボレータの役割をも果たした。その中には、Theodor Adorno、Robert Merton、Elihu Katz、David Riesman、B.Berelsonなどがいた。

Lazarsfeldと実証的マス・コミュニケーション研究の発展

 1937年、Lazarsfeldは、2年間にわたる大規模な「ラジオ研究プロジェクト」を開始した。このプロジェクトには4つの主要なテーマがあった。
  1. ラジオと読書
  2. 音楽
  3. ニュース
  4. 政治 

 これらの研究において、主たる対象は、マス・オーディエンスであった。ラジオというニューメディアは、商品の販売促進にも利用されるし、受け手の知的水準を向上させるのにも役立つし、政府の政策に関する理解を深めるためにも利用され得る。いずれにしても、Lazarsfeldらの研究の目的は、いかにして送り手のメッセージが受け手に伝わり、効果を生み出すかという点に関する実証的知見を提供することにあった。プリンストン・ラジオ・プロジェクトによって1938年に行われた、『火星からの侵入』研究は、ラジオの受け手がどのように番組を受け止め、それにどのように反応したのか、というマスメディア効果論の嚆矢をなすものだったが、これはLazarsfeldの問題意識と合致するものでもあった。

ラジオと印刷物

 Lazarsfeld自身がラジオ研究所の研究成果として初めて執筆した出版物は、『ラジオと印刷物』(Radio and the Printed Page)という書物だった。これは、コミュニケーションメディアとしての印刷物とラジオの比較研究であると同時に、新しい研究方法論に関する最初の出版物でもあった。それは、当時革新的なコミュニケーション技術であったラジオの社会的影響について書かれた画期的な業績だったのである。とくに現在まで大きな影響力を放っているのは、「人々が、どのような条件のもとで、どのような充足を得るためにラジオや印刷物を利用しているのか?」という「利用と満足」研究のスタンスである。

 方法論的な特徴としては、大量のデータにもとづく定量的な調査研究と小規模でインテンシブな質的研究を組み合わせた点にある。具体的な研究方法としては、(1)番組の内容分析、(2)異なる受け手の分析、(3)充足研究の3つをあげることができる。

 この書物の中でもっとも有名な研究事例は、クイズ番組に関する受け手研究である。対象として選ばれたのは、当時もっとも成功していた『プロフェッサー・クイズ』という番組だった。この研究では、のちにLazarsfeldの二番目の妻となるHerta Herzogが重要な貢献をしている。彼らは、この研究を通じて、リスナーが引き出す多様な充足タイプを明らかにしたのであった。

参考文献:
Paddy Scannell, 2007, Media and Communication. Sage Pubication.

(つづく)

  
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 内閣府が行った最新の消費動向調査によると、2014年3月時点で、スマートフォンの世帯普及率が54.7%となっている。過半数の家庭でスマホが使われているということで、いよいよスマホ普及過程も後期採用段階に入ったということになる。ただし、スマホが調査項目に入ったのは、今回が初めてなので、時系列的な普及プロセスはわからない。いわゆるガラケーの普及率は73.7%なので、まだガラケーの所有率がうわまわっているが、あと1年もすれば、肩を並べるくらいになるのではないだろうか?

スマホ2014

 














 なお、タブレット端末の所有率は20.9%で、パソコンの78.7%にくらべると、まだ普及はそれほど進んではいないようだ(2014年4月17日内閣府発表資料による)

※参考までに、「モバイル・コミュニケーション研究会」が2011年11月に実施した全国調査によると、ケータイの
個人利用率は、「携帯電話」81.9%、「PHS]2.3%、「スマートフォン」12.1%だったので、わずか2年ほどでスマートフォンの普及率が4倍以上にもなったと推測される(松田美佐他編『ケータイの2000年代』より)。内閣府調査によると、スマホとガラケーを併用する人も若干いるようだ。

  
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 昨今の出版界は、きびしい不況の状態に置かれている。
 出版物の流通経路は、下の図のようになっている。かなり複雑な流通経路を持っていることがわかる。全経路に占める取次経路のシェアは、書籍が約7割、雑誌が約8割となっており、取次経由の流通が圧倒的に多い。また、出版社の97%がトーハンと日販と取引しており、取引ウェイトは6割以上となっている。ちなみに、欧米の書籍流通は、出版社-書店の直接取引が7~8割あり、取次経由のシェアは2~3割にとどまっており、日本とは大きく異なっている。今後、電子書籍が増大するにつれて、こうした流通経路がどのように変わってゆくのか、注目される。

出版物の流通経路
      出版界の流通経路(白書出版産業2010より作成)

 出版物の市場規模はどの程度のものなのだろうか?『白書出版業界2010』によると、販売金額ベースでみると、下の図のようになっている。

書籍・雑誌の販売金額推移
 書籍・雑誌の販売金額(単位:億円) (白書出版業界2010より)

1996年にピーク(2兆6563万円)を迎えた以降は、一貫して減少していることがわかる。一方、電子書籍は、このグラフには出ていないが順調に売り上げを伸ばしているようだ。電子書籍の流通は、まだ限定的であり、コンテンツも、文庫本やエロ的な内容の書籍が圧倒的に多いが、今春以降、米国のアマゾンが日本でもkindle端末を販売するといわれており、急速に増大する可能性が高い。今後の動向に引き続き注目していきたい。
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 ちょっと古くなるが、2011年11月8日にインプレスR&Dが発表した『スマートフォン/ケータイ利用動向調査2012』によれば、スマートフォン普及率は22.9%と、2割をこえたことがわかった。約5人に1人の割合ということだ。車内でも、スマートフォンをいじくる人の姿をよく見かけるようになった。いわゆるキャズムを超える普及状況になってきたということだろう。普及率が5割を超えるのは、時間の問題かもしれない。とくに普及率が高いのは、男女とも、20代だ。

スマホ普及率(性、年齢別)
(出典:インプレス発表文書

 フェイスブックやツイッターの普及も、スマートフォン進撃の後押しをしているようだ。
 私自身も、ようやくiPhone4Sを手にすることができそうだ。どう使いこなすかが問題だ。

参考文献:
本田雅一『携帯電話がなくなる!これからスマートフォンが起こすこと』(東洋経済)2011年
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 gooとインターネットコムが行った電子書籍の利用に関するアンケート結果が公表されている〔10月7日〕。

 それによると、「電子書籍/雑誌を読んだことがありますか」という質問に、「はい」が37.2%、「いいえ」が62.8%であった。ネットユーザーが対象であるとはいえ、これはかなり高い数値といえるだろう。また、読んだ経験のない677人に読みたいかどうか質問したところ、44.8%が「はい」と答えたという。潜在的な読者層が半数近くいるという結果だ。今後、キンドルで日本語の本や雑誌で読むことができるようになれば、こうした潜在的な読者が顕在化することになるかもしれない。

 さらに、使いたい専用リーダー端末を聞いたところ、第1位がソニーのリーダー、第2位がキンドルとなっていた。iPadが入っていないのは、「専用リーダ-」に絞っているためだろう。質問の仕方には若干の疑問が残る。

使いたい専用リーダー
              (インターネットコム 2011年10月7日付記事より)

※なお、第3位に入っている「ガラパゴス」はすでに販売を打ち切っている。栄枯盛衰の激しい業界だけに、今後の展開を逐一ウォッチしていきたいと思う。

 iPad利用者に特化したアンケートとしては、1年前のデータとなるが、電通総研が米国で実施したインターネット・パネル対象の調査が一部公開されている(2011年1月28日公表)。iPadは専用リーダーではなく、インターネットのあらゆるサービスも利用できることから、利用コンテンツもバラエティに富んでいる。その中で、電子書籍の利用割合が注目点となる。これについては、次の図のような結果が得られている(端末の利用目的)。

ipad利用目的

                  (電通総研『米国iPad利用実態調査』より)

 これをみると、「電子書籍」が第4位にランクインしている点が注目される。コンテンツ消費のトップに位置しているということで、iPadが多くのユーザーにとって、電子書籍リーダとして使われているという実態が示されている。今後は、キンドル・ファイアーとの間で激しいシェア争いが展開されることになりそうだ。

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 毎日新聞が実施した最新の世論調査によると、TPPについて、参加すべきかどうか、「わからない」という回答が39%にのぼった。実際、これほど賛否のわからない問題も珍しいのではないだろうか?私もさっぱりわからない、、、。首相がどのような「政治決断」を下すのか、注目したいところだ。

毎日新聞は5、6両日、全国世論調査を実施した。環太平洋パートナーシップ協定(TPP)の交渉について「参加すべきだ」が34%で、「参加すべきではない」(25%)を上回った。ただ、「わからない」も39%に上った。(毎日新聞2011年11月7日
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 電通がソーシャルメディアのアクティブユーザ(15歳~37歳〕を対象に実施した調査の結果が公表されている。対象者のうち、ソーシャルメディア上の友人を100人以上もっていると回答したのは、14%〔800名〕だった。この「SNS100友」ユーザについては、平均友達数が256人にも上っていた。半端な数字ではない。彼らは平均して12のコミュニティを持っており、「自分の発信した情報は、つながっている友達がさらに情報を引用・拡散することで、最大2825人に及ぶ」と推計されている。SNS上の口コミネットワークの巨大さが伺える。

 また、ソーシャルメディア上でつきあいのあるコミュニティの第1位は「趣味つながり」65%でもっとも多く、これについで「学校」54%、「地元や家族」40%などとなっている。つながりの内訳をみると、「音楽」が59%ともっとも多く、「マンガ・アニメ」34%、「スポーツ」28%などがこれに続く。やはり、エンタメ関連のつながりが多いようだ。

  (ツイッターなど)ミニブログの利用動向をみると、「94%が他人の発言を引用(RTなど)。しかも、自分のコメントをつけずにそのまま引用する割合が6割」という調査結果。「情報を回し合って共有することが友達との絆になっている」と分析している。東日本大震災でも、こうした共有行動が活発にみられたことは記憶に新しいところだ。

 興味深い最新調査データだと思う。

→ 電通News Release〔2011年11月2日〕

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 あす中に、世界の総人口が70億人を超えるとの予測。Worldometerでは、カウントダウンが進行中。爆発的増加の主な原因は、アフリカ諸国の激増にある、と。人口増と貧困の悪循環がとまらない。
 
 ・読売新聞「明日、世界人口70億人に
 ・Worldometers
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 「クロスメディア研究会」調査によると、ブログを読む効用は、3つの因子(情報入手、娯楽、コミュニケーション)に分かれました。これを性別、年齢別にみると、「情報入手」「コミュニケーション」に関しては有意な差はみられませんでした。

 「娯楽」の因子と属性の関連をみると、性別では「女性」、年齢別では、若い人ほど、ブログを娯楽的に読む割合が高くなっています。

 年齢別の因子得点をグラフ化すると、次のようになっています。

  ブログを読む効用×年齢
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 さて、「クロスメディア研究会」によると、ブログを読む人の感じる効用(充足)を因子分析した結果は、次のようになっています。

ブログを読む因子分析

 簡単にいうと、第1因子は「情報入手(知識共有)」、第2因子は「娯楽(情緒的解放)」、第3因子は「コミュニケーション」となります。

 みなさんは、どのタイプにあてはまるでしょうか?

※おかげさまで、本ブログ開設から2週間で、1000PVを達成しました。これからも、ぜひご愛読ください。
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 川浦さんらの研究などで、人がなぜブログを読むのか、ある程度わかりました。それでは、人はなぜブログを読むのでしょうか?

 「クロスメディア研究会」のデータをご紹介しましょう。ブログを読むときに感じることを聞いたものです。

ブログを読む効用

 もっとも回答率が高かったのは、「時間つぶしになる」、二番目は「楽しいと感じる」でした。ここまでは、動画共有サイトと同じですね。

 違っているのは、第三位以下です。第三位には「詳しい情報を得ることができる」が入っています。これに続いて、「ヒントやひらめきを得ることができる」となっています。この点、ブログは、「知識共有コミュニティ」に近いものがあるといえそうです。

 知識共有コミュニティとは、ソーシャルメディアの一つで、わからない事柄について、みんなで質問したり回答しながら、知識を共有しようというサイトのことをいいます。これについての研究も、いずれご紹介したいと思っています。
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このテーマに関する研究の白眉は、やはり川浦さんらの調査研究でしょう。『ウェブログ心理学』(NTT出版, 2005)で、詳しく紹介されています。ここでは、その一部を引用させていただきたいと思います(第3章 ウェブログの社会心理学 より)
ウェブログの心理学 調査は1997年に、ウェブ日記作者を対象に実施されたものです。
調査概要:
対象:代表的なウェブ日記サイトの書き込み者1529名
有効回収:402票(男性305名、女性70名;30代までで全体の9割)

ウェブ日記を始めた動機として、いちばん多かったのは、「自分のことを表現するのによい方法だと思ったから」(48%)。次は「他の人が日記を書いているのを見て」「情報更新が手軽にできるから」の順。いまのブログでも似たり寄ったりの傾向がみられるのではないでしょうか?

次に、因子分析をした結果、(1)自己表現動機、(2)手段的動機、(3)同調的動機、の3グループに分かれました。

ウェブ日記の「効用」については、「自分に共感してくれる他者と出会い、親しくなれる」という回答がもっとも多く、「自分の問題や感情などを、整理し明確にすることができる」「不満や葛藤などを発散し、すっきりすることができる」がこれに次いでいます。このあたりは、「クロスメディア研究会」の因子分析結果とよく似ていますね。

川浦さんは、この回答項目を因子分析したところ、2つのグループに分かれました。
(1)自己に向かう効用(自分の問題や感情などを整理できる、自分の本当の気持ちがわかる、不安や緊張が解消する、など)
(2)他者との関係に向かう効用(自分に共感してくれる他者と出会い、親しくなれる、自分で気づかない欠点や特徴などを他者から指摘してもらえる、など)

この点について、川浦さんは、次のように述べています。
「分析的な観点からすると、ウェブ日記の効用が、自己に向かう側面と、他者ないし関係に向かう側面の2つに分離した点がおもしろい。つまり、二種類の効用は連動していないのである(前掲書77ページ)
最後に、「あなたがホームページに日記を書いているのはなぜだと思いますか」という設問を5つに分けて質問しています。回答者数とともに、みると、次のようになっています。
(1)日々の生活の記録を自分のために覚書として残す(備忘録)(92人)
(2)日々得た情報を他の人に提供できる(日誌)(91人)
(3)他の人に自分という人間を知ってもらえる(公開日記)(87人)
(4)自分で自分を理解することができる(狭義の日記)(54人)
(5)特に理由はない(理由なし)(50人)
さらに、日記のタイプと動機・効用との関係を調べるために正準判別分析を行った結果、次に示すような2つの軸が得られました。

川浦さん正準判別分析
(山下他,2005,p.86より引用)

川浦さんらは、従来の日記研究、自己開示研究の成果とデータ分析をもとに、下の図のような「ウェブ日記継続意向を支える心理的メカニズム」のモデルを提示しています。

川浦:ウェブ日記の心理過程モデル

この図式は、今後の同種研究にとっても非常に参考になります。その後のブログ研究でも支持されているようです(いずれ詳しく紹介する予定です)。


参考文献:
山下清美・川上善郎・川浦康至・三浦麻子 『ウェブログの心理学』(NTT出版)2005年
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 前回の最後の部分で、ブログの書き手(ブロガー)の感じているメリットをご紹介しましたが、これをさらに分析してみましょう。

 13項目の回答を因子分析してみると、次のように、3つの因子に分かれます(主因子法、バリマックス回転)。

ブログ書き手の感じ方:因子分析表

 第1因子は、「他者とのコミュニケーション」因子といえます。
 第2因子は、「情緒的発散」因子です
 第3因子は、「情報発信・蓄積」因子です。

 私の場合は、第3因子のメリットを一番強く感じています。

 この3つの因子を変数として、クラスター分析をしてみると、4つのクラスターに分類されることがわかりました。クラスター1は「他者とのコミュニケーション」効用が大きい群、クラスター2は「情報発信・蓄積型」の群、クラスター3は「情緒的発散」群、第4クラスターは、その他の人々という風に解釈されます。

 クラスターと性別、年齢別の関連をみると、年齢別では差がみられません。しかし、性別にみると、下のグラフのように、はっきりとした有意差がみられます。

ブログ書き手のクラスター分析

 女性は男性にくらべて、「コミュニケーション」型と「情報発信・蓄積」が多くなっています。男性は、いずれにも属さない「オールラウンド?」型が多くなっています。

 他の研究者、機関による調査との比較は、次回とりあげたいと思います。しばらくお待ちください。
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 1年以上前の調査データのご紹介です。「クロスメディア研究会」の実施したインターネット調査によると、YouTubeなどの動画共有サイトを見ている人の「利用と満足」の実態は、次のようになっています(2009年8月実施)。
動画共有サイトの効用1

 動画共有サイトの効用としては、「楽しいと感じる」「時間つぶしになる」「気晴らしになる」の3つが大きいようです。因子分析(主因子法、バリマックス回転)にかけると、2つの因子が抽出されました。

 第1因子は、「社会のいろいろな問題に対処するうえで助けになる」「世の中の意見を知るのに参考になる」など教育的、実用的な項目が高いのに対し、第2因子は、「くつろいだり、リラックスできる」「楽しいと感じる」など娯楽的な機能が強くなっています。

 年代別に比較してみると、娯楽的な効用を感じているのは、年配層に多く、教育・実用的に利用しているのは若い年齢層に多いという対照的な傾向がみられます。言い換えると、年配層は、従来のテレビと同じような娯楽媒体として「受動的」に動画共有サイトを利用しているのに対し、若い人々は、もっと能動的に使う傾向がみられるようです。

※グラフを拡大するには、画像をクリックしてください。
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 ソーシャルメディアの定義は、一義的ではなく、いろんなSocial的側面を含むWebサービスです。英語版サイトでみると、次のような事例を総合的に含む、包括的な用語のようです。

  • Social media is media designed to be disseminated through social interaction, created using highly accessible and scalable publishing techniques. ...
     
  • media that is created to be shared freely
     
  • Social media are primarily Internet- and mobile-based tools for sharing and discussing information among human beings.[1] The term most often refers to activities that integrate technology, telecommunications and social interaction, and the construction of words, pictures, videos and audio. ...
     
  • Social media are works of user-created video, audio, text or multimedia that are published and shared in a social environment, such as a blog, wiki or video hosting site.
  • Any website or web service that utilizes a 'social' or 'Web 2.0' philosophy. This includes blogs, social networks, social news, wikis, etc.
  •  
  • Software tools that allow groups to generate content and engage in peer-to-peer conversations and exchange of content (examples are YouTube, Flickr, Facebook, MySpace etc)
     
  • The term social media describes media that is posed by the user and can take many different forms. Some types of social media are forums, message boards, blogs, wikis and podcasts. Social media applications include Google, Facebook and YouTube.

    ・Social media is any form of online publication or presence that allows end users to engage in multi-directional conversations in or around the content on the website. 

  • A million different definitions from a million different people. But over at Duct Tape Marketing they say “[s]ocial media is the use of technology combined with social interaction to create or co-create value.”
     
  • A category of sites that is based on user participation and user-generated content. They include social networking sites like LinkedIn or Facebook, social bookmarking sites like Del.icio.us, social news sites like Digg or Reddit, and other sites that are centered on user interaction.
  •   Web2爆発するソーシャルメディア セカンドライフからモバゲータウンまで グーグルを超えるウェブの新潮流 [ソフトバンク新書].0以降のウェブアプリからなり、ユーザー参加型のオンラインメディア。具体的ツールをあげると、YouTube、wiki、facebook、ブログ、ツイッターなどを含みます。

     日本で「ソーシャルメディア」という言葉が喧伝されるようになったのは、2007年頃で、湯川さんの『爆発するソーシャルメディア』の出版のあたりでしょうか。その後、Web2.0ということばは、ほとんど聞かれなくなります。

    それでは、ソーシャルメディアの利用現況はどうなっているのでしょうか?最新の調査結果は、日経BPコンサルティングが2010年6月に実施した「ソーシャルメディア利用実態調査」(ネット調査)でしょうか。書籍版はべらぼうに高いので、入手できません。残念ながら国会図書館にも収蔵されていません。同社のニュースリリースで、その一端が開示されています。これと、他のいくつかの調査データによって、ソーシャルメディアの利用実態に迫ってみたいと思います。

     以下で引用する調査概要は、次のようになっています。

    【日経BPコンサルティング調査】
    調査時期:2010年6月
    調査方法:インターネットリサーチ
    調査対象:ソーシャルメディア・サービス利用経験者/18歳~69歳の男女
    回答者数:1200名

    富士通総研調査
    調査時期:2010年1月
    調査方法:インターネット調査
    調査対象:15歳~64歳(都道府県・性・年代の構成を国勢調査準拠で割付)
    回答者数:5451名

    【NHK放送文化研究所調査】
    調査時期:2010年3月
    調査方法:インターネット調査
    調査対象:15~49歳のツイッターユーザーで、1日に1回以上書き込みする人
    回答者数:1032人(性別、年齢で層化

    【JWIP調査】
    調査時期:2010年1月
    調査方法:調査員による訪問留置回収法
    調査対象:15~69歳の男女(性別、年齢層で割り当て)
    回答者数:525名

    (1)ソーシャルメディア利用率
     日経BP調査によると、利用率がもっとも高いソーシャルメディアは、YouTubeの62.3%、第二位は価格・comの53.9%、第三位はYahoo!知恵袋の44.7%、第四位はWikipediaの41.8%でした。

     JWIP調査によると、(週1回以上の利用率)、ブログを読む人が27.2%でもっとも高く、YouTubeなど動画投稿サイト利用率が18.7%で続いています。第三位は「SNSでゲームを楽しむ」13%、「動画配信サイトを見る」11%、などとなっています。ツイッターなどのミニブログに書き込む人は6.7%と低い率にとどまっています。プラットフォームでPCとケータイ別でみると、SNS利用率に関してはPC(9.5%)よりケータイ(11.6%)の方が高くなっています。一方、YouTubeなどの動画を見ている人は、ケータイ(5.3%)よりもPC(16%)の方が高い、という対照的な結果になっています。

    (2)ツイッターの利用実態
     富士通総研調査によると、ツイッターの認知率は70.2%と高いのですが、実際の利用率は8.2%と低い水準にとどまっています。利用率を年代別に見ると、10代が14.9%で一番高く、20代は12.4%で、30代以降は8%以下と低くなっていることがわかりました。

     ツイッター利用のメリットを聞いたところ、「リアルタイムに情報発信できる」(52.5%)、「ブログより更新が簡単」(52.2%)がもっとも高くなっています。10代・20代は、とくに「リアルタイム性」にメリットを感じています。これに対し、40代・50代は「新しいメディア」や「有名人の情報」に対する評価が高くなっています。

     NHK調査によると、ツイッターを利用する機器は、PCが96%と圧倒的に多く、携帯電話が55%でこれに続いています。いま話題のスマートフォンからの利用は17%にとどまっています。利用場所をみると、自宅が95%で圧倒的に多く、「通勤・通学途中の電車・バスの中」が49%とほぼ半数になっています。また、職場・学校が44%と三位に食い込んでいるのが興味深いところです。

     日経BP調査では、ソーシャルメディアのユーザー特性について、興味深い分析を行っています。 インターネット・ユーザーの“リアル”での意識や価値観によって、オンライン上の行為にどのような違いが生じるかを見るために因子分析を行ない、回答者を3つの心理クラスター:「アクティブリーダー型」「フォロワー型」「内向型」に分類しています。その結果、

    Twitterには「リーダー型の男性」、mixiには「リーダー型の女性」、ニコニコ動画には「内向型の男性」が相対的に多く集まる傾向があることがわかった。とくにmixiには、SNS のコミュニティを立ち上げたり、商品やサービスのレビューを投稿したりと活発に行動し、周囲への影響力が強い女性ユーザーが多く存在する。一方、YouTubeは、最も利用者数が多く、オンライン上で情報を発信する「参加者」と、見ているだけの「観察者」のバランスがよくとれているプラットフォームだ(日経BPコンサルティング,2010より)。

    という、納得の行くユーザー・プロフィールが析出されています。

    参考文献・資料:
    三浦基・小林憲一「テレビの見方が変わる~ツイッターの利用動向に関する調査」『放送研究と調査』2010年8月号
    日経BPコンサルティング:ニュースリリース、2010年7月29日
    富士通総研「ツイッター利用動向調査」2010年3月
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