メディア・リサーチ

メディアとコンテンツをめぐる雑感と考察

カテゴリ: コンテンツ

 メディアでは、「桝添公私混同問題」が注目を浴びています。私も、かねがね怒っていた一人ですが、ようやく辞職が決まり、ホッとしています。次の都知事に誰を選ぶのかに、注目の焦点は移っているようです。清廉潔白な新知事登場に期待したいと思います。

 それはともかく、けさの朝日新聞を読んでいて、目を引く記事がありました。「ポケモン『
中国語市場』へ
」という見出しの記事です。ポケモンの愛称で親しまれるゲーム「ポケットモンスター」が、11月18日に世界で同時発売される新作で、初めて中国語に対応する、というものです。

 1996年にはじめて発売されてから、20年、ポケットモンスターは、世界中の子供たちの心をすっかりと掴んだようです。

 ちょうど、「メディア・エコロジー」の講義で「メディアのグローバル化」というテーマで話をする予定だったので、急遽、ポケモンのエピソードも入れることにしました。グッド、タイミング!

 私の子供も、小学生の低学年のころから、ポケモンに夢中になり、いまでにポケモンのゲームやアニメにはまっているようです。私自身も、つられて見ることがありますが、どこがおもしろいのか、さっぱりわかりません。子供のもつ世界観に、ポケモンのストーリーが合致しているのでしょうか。そろそろ、ポケモンから卒業してほしいというのが、偽らざる気持ちですが、メディアのグローバル化という視点からは、よろこばしい現象といえるかもしれません。

 ちなみに、ポケモンに関するフランス語、英語のWIkipediaの記述は、日本語版に劣らず充実したもので、「イマヌエル・カントに関する記述よりも多い」とは、フランスのさる研究者の、皮肉たっぷりの言葉です。

参考サイト:
ポケモンに関するフランス語版のWikipedia
ポケモンに関する英語版のWikipedia


 

 10月からNHKのEテレで始まった海外ドラマ「超能力ファミリー サンダーマン」を、家族と一緒に楽しんだ。あらかじめBDレコーダーに予約録画しておいたものだ。もともとは「日本語音声」のみで放送されているが、レコーダーの「音声・字幕」設定ボタンを操作することによって、「英語音声」+「日本語字幕」にして視聴することができるのだ。最近のBDレコーダーはすごい。子供にとっても楽しく英語を勉強できるので、ファミリー視聴にはオススメだ。いわゆる「シットコム」(Sitcom)というやつだ。でも、このドラマは掛け値なしに面白い。毎週の放送が楽しみだ。内容の紹介は次のサイトをごらんください。

超能力ファミリー サンダーマン

 

 livedoorブログには、1つのアカウントで複数のブログを作る機能がついている。しかも基本的に無料。いままで別のブログサービスで、別のテーマのブログをつけていたが、手間を省くために、それらをlivedoorに引っ越すことにした。そこで活用したのが、livedoorの記事作成画面についているevernoteボタンだ。その手順は次の通り。
  1. 別ブログの中で、引っ越したい記事を選択→コピーし、web clipperで記事部分をevernoteの「ブログ」ノートブックに取り込む
  2. livedoorの新規記事画面を表示させ、evernoteボタンを押し、「ブログ」ノートブックを開き、取り込みたい記事を選択する
 これだけの簡単操作で、記事の引っ越しが完了する。見出しや写真なども、本文とともに元のまま再生されるので便利だ。

 この作業でわかったのだが、ブログの記事は、いま読み返すと、情報が古くて引っ越しにあたいしないものがけっこう多いということだ。そういう古くさくなった記事はもちろん引っ越しの対象から除外するようにしている。ブログの引っ越しは コンテンツのリフレッシュにも役立っている。

 WiMaxを導入して以来、動画サイト利用の機会が大幅に増えた。別ブログでも書いたように、テレビのリモート視聴が、容量の制限なしで楽しめるようになったことが、そのきっかけだった。ついでに、動画配信サイト(’VOD)にも加入すれば、動画の選択肢が大幅に広がると考えた。

 ディーガで視聴可能なネット動画には、アクトビラ、Hulu、Tsutaya TVがある。最初はTsutaya TVのネット配信サービスをお試しで視聴することにしたのだが、1本あたり数百円の利用料金が発生すること、レンタルの視聴期間が短いことなどの難点があり、今は、Huluに加入して、映画やテレビドラマを楽しんでいる。子どもが大好きな「妖怪ウオッチ」が初回から無料で何話でも追加料金なしで見られるのが、なによりのメリットだと感じる。Tsutaya TVだと、3話以上を見ようとすると、有料(約300円)になってしまう。視聴意欲が半減する。

 Huluの場合、他のVODと同じように、視聴を中断しても、次に視聴するときには、続きから見ることができる。これは、録画したビデオと違う大きなメリットだ。タイムシフトとプレイスシフトで、好きなときに好きな時間だけ視聴することができるからだ。また、「マイリスト」といって、見たい動画をあらかじめ登録することができるのも便利だ。キーワードで好きな俳優や映画タイトルをすばやく検索もできる。 動画の本数は、YouTubeなどに比べれば少ないが、映像の質が高いことを考えれば、やむを得ないだろう。
 
 Tsutaya TVの場合、DVD,BDレンタルサービスに比べて、本数が桁違いに少ないのが難点だ。本当の映画好きには物足りなく感じるだろう。アメリカの映画やドラマが好きな人や、英会話の練習をしたい人には、Huluはコストパフォーマンス的に最適なサービスといえる。私も、Huluを英語のブラッシュアップのためにも活用したいと思っている。英語字幕付きの映像が楽しめる。一部の映画、ドラマには、英語字幕つきのものもある。いずれ試してみたいと思っている。10秒巻き戻し機能も、英語学習者にはありがたい。

 英語字幕を使ったHuluによる英語学習法については、次のサイトが大いに参考になる。

Huluを使った具体的な英語学習法
英語字幕・英語音声で見られるHuluの海外ドラマ一覧

 電車の中や隙間時間を埋めるコンテンツとして、Huluは大いに役立ってくれるだろう。日本の動画配信サイトでも、Huluに対抗できるサービスを提供するところが現れてほしいものだ。

 ※ 付言すると、HuluはPC画面、大画面TV、スマホ、タブレットのすべてに対応している。アプリは最新のバージョンのものにアップデートしておきたい。 ただし、ディーガで大画面TVを見る場合、英語字幕には対応していないのがちょっと残念。

 


 梅棹忠夫さんの『知的生産の技術』を久しぶりに購入。じっさいには「再購入」だ。本書が刊行されたのは、1969年。いまから40年以上も前のことだ。ちょうど、東大紛争真っ最中の時代だ。当時の私は学生時代で、非常に興味をもって読み通したことを覚えている。さっそく、本書の中にある「発見の手帳」を自分でもつけ始めたものだ。京大式カードにも興味を覚えたが、こちらは長続きしなかった。

 「知的生産の技術」ということばは、湯川秀樹博士からヒントをもらったとのことだが、梅棹さんが1963年に唱えた「情報産業論」と根っこは通じるところがある。実際、本書には、次のような記述がある。
(知的生産とは)さまざまな情報をもとにして、それに、それぞれの人間の知的情報処理能力を作用させて、そこにあたらしい情報をつくりだす作業なのである。・・・こういう生産活動を業務とする人たちが、今日ではひじょうにたくさんになってきている。研究者はもちろんのこと、報道関係、出版、教育、設計、経営、一般事務の領域にいたるまで、かんがえることによって生産活動に参加している人の数は、おびただしいものである。情報の生産、処理、伝達、変換などの仕事をする産業をすべてまとめて、情報産業とよぶことができるが、その情報産業こそは、工業の時代につづくつぎの時代の、もっとも主要な産業となるだろうと、わたしはかんがえている。(『知的生産の技術』11ページ)
 「発見の手帳」とは、日々の体験の中で、「これはおもしろい」と思った着想を記録するものである。レオナルド・ダ・ヴィンチがつけていた手帳からヒントを得たそうだが、私自身、このアイデアが大変気に入って、さっそく文房具店で小さなサイズの手帳を買い求め、「発見の手帳」と銘打って、そのときどきの着想などを書き綴ったりしたことを覚えている。それが学問の活動にどう役だったかはわからないが、大いなる知的刺激を受けたことは間違いない。

 梅棹さんが予見した「コンピュータが家庭に入り込み、それを知的生産ツールとして活用する」という環境は、今日、パソコン、インターネット、iPhone、iPadなどによってフルに実現するに至っているが、かといって、手書き式の「発見の手帳」が古くさくなったとは思われない。たしかに、エバーノートなど、なんでもメモにして記録することのできるソフト(アプリ)が簡単に手に入るようにはなったが、「手書き式」の「発見のノート」の意義は、ますます大きくなっているのではないだろうか?すべての入力をパソコンやIPhone、iPadなどで済ませるようになると、漢字を忘れてしまうし、なによりも、創造的な思考力が低下するようになるのではないか、と危惧される。また、手帳ならば、パッとひらめいたアイディア、着想をすぐその場で手帳に書き込むことができるが、パソコンやスマートフォンなどでは、そうはいかない。スマホの場合、キーボードが小さいので、入力に時間がかかる。その間に、せっかくの着想を忘れてしまいかねない。手書き式だと、書くそばから新しい発想がわいてくるし、書き付けるという操作自身、脳に記憶として定着させるのに役に立つのではないだろうか?

 いま、東京の科学未来館で、「ウメサオタダオ展」というのが開催中だ。「知の巨人」の一端に触れるためにも、あすはぜひお台場まで足を延ばしてみたいと思っている。「発見の手帳」「京大式カード」の現物を目にするのが楽しみだ。

・「ウメサオタダオ展:未来を探検する知の道具」(科学未来館)
特設サイト

知的生産の技術 (岩波新書)
クチコミを見る

 電子書籍がいま注目を集めている。アマゾンコムは有名だが、日本の書店でも対応を始めている。今回は、紀伊國屋書店のBookWebから、「マルチデバイス対応」の電子書籍を購入してみた。マルチデバイス対応とは、同書店によると、次のようなものだ。
マルチデバイス対応=多様な端末に対応、という意味ですが、紀伊國屋書店の電子書籍のマルチデバイス対応とは、「電子書籍を一度購入すれば、多様な端末で再購入なしに再ダウンロードできること」が特長となっています。スマートフォンやタブレットを買い替えたり、本棚から誤って削除してしまったりした時にも、紀伊國屋書店でお買い上げ頂いた電子書籍はなくなりません。 Kinoppyの各ストアまたはBookWebで購入の電子書籍は、スマートフォン/タブレットはもちろん、新登場のPC版Kinoppyでも、さらにはソニーReader™でも、再購入せずにお読み頂けます。(紀伊國屋書店BookWebのHPより)
 これはすばらしい対応だと思う。iPadのアプリで購入したが、本棚は次のようなイメージになっている。

 kinoppy_jobs

 記念すべき1冊目は、伝記『スティーブ・ジョブズ』だ。2011年に亡くなったスティーブ・ジョブズの追悼の意味を込めて購入することにした。書斎のPCでも、電車内のiPadやiPhoneでも読めるというのは、実にすばらしい。日本でも、電子書籍がどんどん増えていってほしいものだ。品揃えの他に、定価を紙版よりも安くしてほしい、アマゾンのように。

・参考:eBookUSERによるレビュー

 木村忠正著「ウィキペディアと日本社会」(アスリーヌ他『ウィキペディア革命』解説記事)に、「ウィキペディアリスク」という興味深い指摘がある。これはACM(アメリカコンピュータ協会)がまとめた、ウィキペディアの記事を信頼することに伴う6つのリスクである:

(1)正確性(どの項目も誤っている可能性が常にある)
(2)動機(記事執筆・編集の意図は多様である)
(3)不確実な専門性(執筆者がどこまで知っているかわからない)
(4)不安定性・変動性(記事がいつ編集されるかわからない、常に悪意ある編集の可能性に曝されている)
(5)対象範囲の偏り(項目が参加者の関心を反映しやすく、全体の組織的体系化がない)
(6)参照源(参照文献・資料言及の少なさ、偏り)

 いずれも、ウィキペディアのもつ問題点であり、現在でも克服されてはいないようである。とくに、日本語版ウィキペディアでは、(5)、(6)が顕著にみられるようだ。木村氏が2007年に、日本語版ウィキペディアで編集回数の多い上位300項目を内容分析したところ、「アニメ、マンガ、ゲーム関連」が24%ともっとも多く、「テレビ番組関連」と「時事的事件事故関連」がそれぞれ14%、「ワイドショー的話題の人物・芸人」が7%というように、内容的にかなりの偏りがみられたという。全体として、マスコミで話題になった事柄が多いようだ。ウィキペディアを参照する場合には、こうしたリスクや問題点、内容の偏りなどに留意することが必要だろう。



 みなさま、あけましておめでとうございます。
 今年もよろしくお願い致します。

 新年にあたって、今年のメディア、コンテンツの動きを、大胆に予想(期待)したいと思います。

【新聞】
 今年は、「電子新聞」元年ともいうべき大きな変化がみられるでしょう。すでに、毎日新聞、産経新聞が有料の電子新聞サービスを始めていますが、今年は、朝日、読売の二大紙が、日刊新聞のレベルで、低価格の日刊紙サービスに参入するでしょう。

 価格競争が展開されるので、たとえば、朝日新聞の場合、週刊誌のAERAとのパッケージで、月額1000円以下といったサービスを開始するのではないでしょうか?というか、それを期待したいと思います。

 読売新聞も、それに追随して、同じようなサービスを展開するでしょう。読売の場合は、強力な週刊誌がないので、日本テレビと組んで、新しい有料コンテンツの提供を始めるのではないでしょうか。

【テレビ】
 なんといっても、7月の地デジ完全移行で、大きな変化が起きるでしょう。紅白歌合戦でも、必死にPRしていましたが、完全移行に向けてPRをさらに強めることが予想されますが、家庭の2台目以降のテレビでは、デジタル化が遅れることは必須なので、予定通りのスケジュールが実現するのは難しいと思われます。政府も、こうした家庭に対し、無料でのチューナー配布などの対策を取らざるを得ないのではないでしょうか。
 オンデマンド配信については、NHKオンデマンドがどの程度普及するかが一つの鍵になるかと思います。現状では、2つの問題があります。一つは、iPad、iPhoneなどのモバイル端末で見ることができないという問題です。民放のニュースサイトなども同様です。世界標準規格に合わせることが急務でしょう。もう一つは、コンテンツの飛躍的な充実の必要性です。NHKは、すぐれた番組をアーカイブとして保有しています。これを、月額見放題の低廉な価格で提供することが求められています。「約束」倒れ状態が続くようでは、オンデマンド離れを招くことになるでしょう。

【雑誌、書籍】
 昨年は「電子書籍」元年といわれ、多くの出版社、広告代理店、書店などが電子書籍事業を立ち上げました。今年は、それらの間での競争が激化、統廃合が進むと思われます。新聞社やテレビ局も、異業種ながら電子書籍市場に参入するでしょう。なぜなら、これからの電子書籍は、「動画」コンテンツを含んだものが優位を占めるようになると予想されるからです。光回線、WiMaxの普及は、日本が世界最先端を行っていますから、インフラ面の素地はできつつあるといっていいでしょう。問題は、コンテンツ、フォーマット、プラットフォームの整備です。今年がそうした問題の解決に向けた第一歩を踏み出す年になってほしいものです。

 もう一つは、中小規模の書店、出版社の動きです。いわゆるWeb2.0の世界では、売れ筋ではないが、専門的な分野では潜在的ニーズの高い書籍を扱う出版社や書店が苦境に立たされていますが、デジタルコンテンツの広がりの中で、「ロングテール」を担う、中小出版社、書店が一致連合して、マーケットを拡大し、生き残りをはかるという動きが本格化するでしょう。EPUBの日本向け企画が今春にスタートするというのは、どの意味ではグッドニュースでしょう。

【ラジオ、映画】
 ラジオは、オーディオメディアですが、今年は、やはり「電子書籍」とのタイアップが進むのではないでしょうか?たとえば、「語学講座」などは、書籍や雑誌と連携して、「音の出る雑誌」が人気を集めるかもしれません。
 映画は、相変わらず停滞状態にあります。中小の映画館が営業を続けられないという事態も進行するかもしれません。
 欧米では、映画のコンテンツがiPadなどに対応し、多くの映画コンテンツがiPadなどで安価で見られるようになっています。とくに、レンタルビデオのラインアップが充実しています。日本でも、TSUTAYAなどが中心になって、300円から400円の価格でレンタルビデオのiPad配信を開始するのではないでしょうか?

【ソーシャルメディア】
 なんといっても、昨年世界を席巻したfacebookが日本でどの程度普及してゆくのかが注目の的です。ミクシー、グリー、モバゲーなどの日本勢がこれに対抗して、どんな新たな囲い込み戦略を展開するかが見所でしょう。とくに、既存メディア(テレビ、新聞、雑誌など)との連携がどう進むのか、大きな期待がもてます。

 以上、ざっと今年のメディア、コンテンツの動きを予想もしくは期待するメッセ-ジを書いてみました。どのくらいが実際に実現するものか、これからまた、日々ウォッチし続けたいと思っています。

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