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カテゴリ: 書籍・読書

 「電子書籍」は2010年に元年を迎えたといわれますが、当初期待されたほどには浸透していないようです。また、「電子雑誌」もあまり注目されてきませんでした。それが、NTTドコモが2014年6月に始めた電子雑誌の「読み放題」サービス「dマガジン」が、ここのところ、急激に売り上げを伸ばしているようです。私も購読していますが、月額400円で160以上の雑誌が読み放題ということで、とても重宝しています。昨日、これに関するくわしい記事がC|Netに掲載されましたので、リンクを張って紹介しておきたいと思います。

電子雑誌元年がやってきた--電子「部数」が紙を上回る雑誌も(前編)
 

 「電子書籍元年」といわれた2010年から、はや6年経ちましたが、紙の書籍はまだなくなる気配はありません。ただ、私自身はといえば、「紙の本」離れは確実に進行しています。いまでは、本屋さんに行くこともほとんどなくなりました。

 本は、基本的にアマゾンで購入することにしていますが、紙の本とKindle電子書籍が並んでいるときは、迷わず電子書籍の方を選択しています。来年には退職する予定なので、これ以上本を増やしたくないというのが主な理由です。それだけではなく、iPadで本を読みたいというのも、もう一つの理由です。

 退職するときには、研究室と自宅にある本は、自分が関係しているものを除いて、すべて古本屋さんに引き取って貰い、どうしても必要な本は、裁断機とドキュメントスキャナにかけて、「自炊」しようと考えています。これによって、ペーパーレス化が完成することになるでしょう。

 それにしても、この数年の間に、電子書籍はどの程度進化したでしょうか?最近の動きでいうと、月額定額で読み放題の電子雑誌がサービスを開始し、とても重宝しています。

 雑誌というものは、基本的に使い捨て的な消耗品に近い性格をもっているので、この種のサービスとは相性がいいように思えます。ちなみに、私が最近購読し始めたのは、NTTドコモが提供する、dマガジンという月額400円というサービスで、1000冊以上の雑誌が読み放題となっています。

 電子雑誌だけに、速報性も高いようです。発売されたばかりの雑誌が、ネットにアップされています。たとえば、本日発売の「週刊新潮」も、たったいま、配信されてきました。もっとも、トップ記事「さよなら舛添要一」は、いまとなっては旧聞となってしまいましたが(笑


 電子書籍は、今後、こうした定額読み放題のサービスが増えていくのではないか、と、半ば期待を込めて予想しています。

参考サイト:
dマガジン



 

 2010年は、「電子書籍元年」といわれ、アップル社のiPad、ソニーのリーダー、アマゾンのKindleなどの専用端末が発売され、出版社、広告代理店、書店などがデジタル・コンテンツの配信を開始した。電子書籍端末には、数千冊の本をデジタルで収納できるので、本棚を気軽に持ち歩ける、というメリットがある。リアルの本棚や本屋が不要になるかもしれない。製本、印刷のコストが省けるため、定価も紙の本より安く設定できる(実際、アマゾンで販売されて洋書や和書は、電子版の方が紙版よりも低く設定されている)。

 このように、「収納スペース」「印刷製本費の節約」という点からみれば、電子書籍は紙の本よりも競争上優位に立っている。また、iPad、リーダー、kindleなどの専用端末では、活字が見やすくなっており、紙のページをめくる感覚など、インターフェイス上も工夫がなされている。電子版では、ハイパーリンクを設定して、ウェブ上の情報源を参照することもできる。キーワード検索も簡単にできる。内容の改訂も、頻繁に行うことが可能である。本屋さんに出かけなくても、迅速に取り寄せることができる。

 これに対し、紙の本は、実物を手にとって見ることができる、紙の方が、ページをめくる感覚がすぐれ、一冊の本なら、携帯性も高く、一覧性においてもすぐれている。機能的に比較するならば、電子書籍は、紙の本よりもメリットが大きい。将来的には、紙の本が徐々に電子書籍に取って代わられるようになるだろう。現時点では、まだ専用の情報棚末の価格が高く、紙の本を直接脅かすまでには至っていないが、「紙」⇒「電子」への遷移が少しずつ進んでいくものと思われる。

 ちなみに、私自身については、Kindle Fire HDX 8.9の端末を持っていて、「ハウツー本」を中心に、電子書籍を購入する機会が大幅に増えた。値段の安さ、持ち運びの容易さ、書棚が満杯なので省スペースになること、自宅ですぐに入手できること、などにメリットを感じている。あとは、取扱い本数をもっと増やしてほしいと思う。

 電子書籍に関連のあるニュースが、けさの朝日新聞に報道されていた。
電子書籍にも「出版権」 著作権法改正へ

 電子書籍の海賊版対策や適正な流通のため、電子書籍に「出版権」を設ける著作権法改正案が4日、衆院文部科学委員会で全会一致で可決された。近く衆院本会議を通過し、参院審議を経て今国会で成立する見通しだ。来年1月1日に施行の予定。改正により、作家と契約した出版社は、海賊版発行の差し止めを訴えられるようになるほか、電子書籍販売サイトなどに配信を許諾できるようになる。
(『朝日新聞』2014年4月5日朝刊)

 これで、電子書籍の普及が促進されるかどうか、注目したいところだ。

 昨今の出版界は、きびしい不況の状態に置かれている。
 出版物の流通経路は、下の図のようになっている。かなり複雑な流通経路を持っていることがわかる。全経路に占める取次経路のシェアは、書籍が約7割、雑誌が約8割となっており、取次経由の流通が圧倒的に多い。また、出版社の97%がトーハンと日販と取引しており、取引ウェイトは6割以上となっている。ちなみに、欧米の書籍流通は、出版社-書店の直接取引が7~8割あり、取次経由のシェアは2~3割にとどまっており、日本とは大きく異なっている。今後、電子書籍が増大するにつれて、こうした流通経路がどのように変わってゆくのか、注目される。

出版物の流通経路
      出版界の流通経路(白書出版産業2010より作成)

 出版物の市場規模はどの程度のものなのだろうか?『白書出版業界2010』によると、販売金額ベースでみると、下の図のようになっている。

書籍・雑誌の販売金額推移
 書籍・雑誌の販売金額(単位:億円) (白書出版業界2010より)

1996年にピーク(2兆6563万円)を迎えた以降は、一貫して減少していることがわかる。一方、電子書籍は、このグラフには出ていないが順調に売り上げを伸ばしているようだ。電子書籍の流通は、まだ限定的であり、コンテンツも、文庫本やエロ的な内容の書籍が圧倒的に多いが、今春以降、米国のアマゾンが日本でもkindle端末を販売するといわれており、急速に増大する可能性が高い。今後の動向に引き続き注目していきたい。

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