メディア・リサーチ

メディアとコンテンツをめぐる雑感と考察

 iPhoneは画面が小さく、キーボードの入力も面倒だ。頻繁に使う単語やフレーズは、単語登録しておきたい。その一般的な方法は、「設定」→「一般」→「キーボード」→「ユーザ辞書」として、+マークを押すことによって、単語登録ができる。

 最近リリースされたAtok for iOSの場合には、「ATOK」アプリを起動し、「ツール」→「単語一覧」→+マークを押して新規登録することになる。これまでよりも短いステップで単語登録することができる。


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 iPhone5で、どのアプリがどのくらい電池を食っているだろうか?iPhoneは、1日で電池を使い切ってしまうので、節約のためにも、この点を調べてみた。「設定」→「一般」→「使用状況」→「バッテリーの使用状況」でチェックしてみたところ、次のようになった。

 もっともバッテリーを食っているアプリは、動画のHulu。次は、リモート視聴アプリのML Player DTVだ。この2つだけで、全体の5割をこえている。やはり、「動画」というコンテンツは、情報量が多いために、電力消費量が桁外れに大きいことがわかった。今後、スマホで動画コンテンツが頻繁に使用できるようになるにつれて、バッテリー容量の大きさが重要なポイントになってくるのではないだろうか?

 詳しい情報は、次のサイトが参考になる。

iPhone6 などiOS 8のスマホで電池を長持ちさせる、6つのコツ

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 私の担当する講義「メディアコミュニケーション学概論」では、今週から5回連続で「インターネットの歴史」を取り上げることにしている。その中の1回を「デジタルディバイド」に当てることにしている。言い換えれば、「デジタルディバイド」は、インターネット発展史の一コマになったということでもある。これまでのインターネット史は、「黎明期」(ARPAネットの誕生まで)、「成長期」(TCP/IPの採用とグローバルメディアへの成長、メール、USENET)、「マルチメディア化」(WWW、ウェブの誕生)、「急成長期」(デジタルディバイドの発生、携帯インターネット)、「WEB2.0の時代」(Google、CGM)、「ソーシャルメディアの登場」(Facebook、twitter、LINEなど)の6期に分けることができるだろう。デジタルディバイドの問題が取り上げられ、大きな政策上のイシューになったのは、インターネットが急成長期(一般家庭への普及期)に入った1994年から2000年にかけてのことである。

 かつて、テレビが発展途上国ではまだ十分に発展していなかった頃、「知識ギャップ仮説」が脚光を浴びたことがあった。「マスメディアが社会に普及するとき、学歴や所得などの社会経済的地位が高い人ほど、マスメディアを通じて多くの知識を得ることができる。その結果、マスメディアの導入によって、学歴所得の高い人と、低い人との間で、知識のギャップが拡大する」というのが、この仮説の要旨である。しかし、現在では、テレビは世界中に普及し、貧困家庭でもテレビの1台は所有することになり、この仮説は終焉しつつある。それに代わって、1990年代に登場したのが、「デジタルディバイド」(Digital Divide)という概念であった。

 そのきっかけとなったのは、アメリカのクリントン民主党政権が打ち出した「NII(全米国家情報基盤=情報スーパーハイウェイ)構想」である。この構想を唱えたのは、副大統領のアル・ゴアだった。これを受けて、政策立案の基礎資料を得るために、NTIA(商務省国家電気通信情報管理局)が、インターネットの利用実態に関する全国世帯調査を実施し、1994年11月に最初の報告書を発表した。

  「デジタルディバイド」という言葉が人口に膾炙するようになったのは、1999年7月に
アメリカ商務省が”Falling Through the Net: Defining the Digital Divide”という報告書を発表したのがきっかけだった。この報告書では、とくに、黒人やヒスパニックなどの人種的マイノリティ、低所得層、低学歴層、農村地域や都市中心部居住者が、インターネットなどの情報資源へのアクセスから疎外されている、と指摘し、これが世界的な反響を呼ぶことになったのである。

 2000年夏に日本で開催された「九州・沖縄サミット」では、 「デジタルデバイド」が地球規模の経済格差を引き起こしている重大な問題として、主要議題として取り上げられた。また、OECDの報告書(2001)でも、デジタルデバイドを「テレビ、電話、インターネットなどのITにアクセスする機会における、社会経済的レベルでの個人、世帯、企業、地域間の格差(gap)」と捉え、とくに「所得」と「教育」が格差を規定する重要な要因だと指摘した。

 実際、1999年から2001年頃は、インターネットの普及率が急速に高まっていった時期であるが、同時に、インターネットの利用にかかるコストがまだ高く、インターネット利用のハードルも比較的高い時期であり、低所得層、高齢層、低学歴層、マイノリティ層のネット利用率が低いという「デジタルディバイド」が調査データでも明確にみられた。私が参加していた「ワールドインターネットプロジェクト」(WIP)でも、こうしたデジタルディバイドが顕著にみられた。

 その後、とくに先進諸国では、デジタルディバイドの縮小という傾向がみられるようになり、アメリカでもブッシュ政権の誕生とともに、「デジタルインクルージョン」というように、デジタルディバイドが解消に向かっているかのような言説が目につくようになった。2004年以降は、Web2.0という新たなバズワードが登場し、CGMなど消費者参加型のメディア、ブログやSNSなどユーザーフレンドリーなネットサービスの登場、ネット料金やPCの低廉化などもあり、デジタルディバイドの問題は、正面切って論じられることがあまりなくなり、現在に至っている。情報通信白書でも、「デジタルディバイドの解消」を大きく取り上げたのは、平成23年版が最後である。

 しかし、新たに「ブロードバンドディバイド」「ケータイディバイド」などの言葉もあらわれるなど、インターネットのユーザー間での格差は依然として指摘されているのが現状である。また、最新の情報通信白書(平成26年版)などをみても、60歳以上の高齢者層や年収200万円未満の低所得層では、インターネット利用率は依然として低い水準にとどまっており、デジタルディバイドが解消されたとはいいがたい。

 生まれたときからインターネットが身近にあり、ネットとともに育った「デジタルネイティブ」においてさえ、インターネットを使いこなしている層と十分には使いこなしてはいない層の間の格差が存在するという実証研究もある("Digital Na(t)ives? Variation in Internet Skills and Uses among Members of the "Net Generation" by Eszter Hargittai )。

 したがって、デジタルディバイドは、どのような社会階層の間にも依然として存在し、これを解消するための努力は引き続き行われなければならないだろう。 

  
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 仕事の必要上、文具やプリンタインクなど消耗品を買う機会は多いが、お店まで出向くのはけっこう面倒なものである。そこで同僚に、いったいふだんどこで買っているの?と聞いたところ、耳寄りな情報を得ることができた。「アスクル」というネット通販で買うのだとか。本大学も法人契約をしているので、ネットで注文すれば、月末にまとめて請求書と納品書を送ってくれるので便利だ、というのだ。

 さっそくアスクルのサイトにアクセスし、登録の手続きを行った。なるほど、確かに便利だ。とりあえず、ボールペン、オフィス用紙、プリンタインク、セロテープなどを注文したところ、翌日には研究事務室まで届いた。ハヤ!

 ちなみに、「アスクル」という名前は、「明日来る」に引っかけてネーミングされたそうな。消耗品、オフィス備品などに関しては、アマゾンよりもはるかに品揃えは豊富だ。なにしろ、送られてきたカタログは、1280ページという膨大なものだ。これで、消耗品を買う手間は大幅に縮減することになるだろう。 
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 今使っているiPad miniは、3年前に買ったもので、画面が暗く、解像度も悪いので、最新型に換えようかと思っていたが、ネットで調べてみると、10月21日前後に新型のiPadが発売されるという噂が流れているようだ。念のため、購入をしばらく待ってみようかと思っている。

 上にあげたのは、たんなる「うわさ」だが、半ば意図的な悪意を持って流される「デマ」もある。先週の御嶽山噴火災害をめぐる「デマ」がそれだ。今日の大学院ゼミで、うわさ研究が専門の院生が教えてくれたのだが、つい3日ほど前、NHKの「ニュースウォッチ9」で、麻生太郎財務大臣がスタジオ出演した ときに、麻生氏の発言が不謹慎だというデマがtwitterやブログなどを通じて広がっているということだ。デマの内容は、麻生氏が噴火で亡くなった方に対し、「激励申し上げる」と発言したというものだ。動画サイトなどでチェックしてみるとわかるが、麻生氏は「亡くなった方にお悔やみを申し上げる」と言っているわけで、明らかにデマといえる。こういうときは、情報源であるNHKが公式のtwitterアカウントで「打ち消し情報」を出すのがいちばんいいと思うのだが、いかがだろうか?
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  私の本務校では、データべースの外部接続サービスが他の大学に比べて立ち遅れているが、今年の4月から、朝日新聞の「聞蔵」(記事データベース)と「朝日新聞デジタル」の外部接続トライアルを実施している。学生、教職員であれば、IDとPasswordを使って、これらのデータベース、電子新聞に無料でアクセスできるのだ。これは情報収集に非常に便利な機能だ。

 「聞蔵」と「朝日新聞デジタル」を併用すると、非常に効率的に最新の情報収集、蓄積を行うことができる。すでに利用されている方も多いと思うので、ここでは、Evernoteと連携した私の情報収集術をご紹介することにしたい。

  「聞蔵」は朝日新聞の提供する記事データベースだ。キーワードを使って、1985年以降、最新の記事(朝刊だと午前5時前後)を検索し、本文と紙面イメージを表示させることができる。一方、「朝日新聞デジタル」は、当日の朝刊をすべてデジタル版で読むことができる。Evernoteを使って情報を収集する場合には、この2つをうまく使い分けることが重要だ。

 私の場合、午前6時に起きてからすぐにPC経由でアクセスし、1時間ほどかけて、前日の最新記事を閲読するのを習慣にしている。 twitterを見るよりも、はるかに濃密な情報を得ることができるし、自分の気に入った情報だけを精選して読むことができるのが最大のメリットだ。もちろん、リアルタイムの最新情報は、テレビやtwitterには劣ると思うが、あさイチで1時間ほどかけて収集する情報は、やはりおいしいネタだといえる。

 まずは、「朝日新聞デジタル」を開いて、「WEB版」で1面から順番に、見出しをざっと拾いながら、興味深そうな記事のリンクをクリックして、本文を読む。保存しておきたい記事であれば、記事全体を選択し、コピーする。あらかじめ開いておいたEvernoteで新規ノート画面にこの記事をペーストする。これで、記事も写真、図表も一発でコピーすることができる。見出しを含めてコピーすると、自動的にEvernoteには見出しがタイトルとして付加されるので、あとで検索するときに便利だ。Evernoteの活用で大事なのは、ノートのタイトルをわかりやすくつけておくということだ。この手間が省けるのはありがたい。また、新聞記事で大切な情報として、日付がある。何年何月何日の記事かというのは、あとで調べるときにも、重要な手がかりになるのだ。「朝日新聞デジタル」では、コピーするときに日付情報も含まれるので便利だ。この点は、後述する聞蔵との違いだ。

 次に、クリップした記事と関連のある記事をさらに過去にさかのぼって検索するには、「聞蔵」を使うのが最適だ。キーワードと検索期間を指定すれば、目的の記事がリストアップされるので、必要とあれば、これもEvernoteにコピーする。ただし、聞蔵の場合、記事をWeb Cripperで保存することができないので、やはりコピーしたい部分を選択し、コピーペーストの機能を使って、evernoteの新規ページに保存することになる(※)。ただし、一番重要な年月日の情報を本文と一緒にコピーすると、Everntoeのタイトルないが日付のみになってしまうので、日付、・紙面情報は別途コピーして、本文の頭に貼り付けるという二度手間になる。慣れればたいしたことはないかもしれない。

※ この点、「朝日新聞デジタル」の記事をクリップするには、ブラウザアドインのWeb Clipperが使えるので便利だ。写真や図表も取り込めるし、記事本文だけを選択することもできる。ただし、「朝日新聞デジタル」では、紙面情報が記載されていないので、学術的な観点からは若干問題がある。

 現在のところ、本学では朝日新聞のトライアル版しか提供されていないが、来年度には、他の新聞、データベースも外部接続が可能になるとのことなので、さらに情報収集の幅が広がり、充実したデータベースがEvernote上で構築されることになると期待される。私のような健忘症の人間によっては、ありがたいかぎりだ。学生にも、折に触れて利用を薦めたいと思っている。

 なお、evernoteに保存する場所については、私の場合、年月別のノートブックとテーマ別のノートブックを階層的に作成している(スタック→ノートブック→ノート)。その日のもっとも重要と思われるニュース記事は、「年月別」(例:2014年10月)のノートブックに保存し、その他の興味を引く記事は、テーマ別(例:スマートフォン、御嶽山噴火など)に保存している。あとで検索するのに便利だからだ。evernoteに取り込むことのもう一つのメリットは、テキストを自由に編集できることと、ハイパーリンクをそのまま使えることだ。OneNoteだと、印刷イメージでしか取り込めないため、取り込んだ文書の編集やリンクの活用ができなくなるという欠陥がある。


asahi  
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 昨日、Adobe Acrobat XI (学生、教職員版 ダウンロード)を購入し、さっそくパソコンにインストールしてみた。この最新版は、編集機能、ファイル変換機能が以前の版よりも大幅に改善されている。たとえば、紙で配布されたフォームをドキュメントスキャナでPCに取り込み、Acrobatで字を書きこんでPDF文書やワード文書として出力するということが簡単に行えるようになった。Acrobat 9以前のバージョンでは、テキストの入力が不便だったが、最新バージョンでは、ワード文書のように手軽に、かつ適格にフォーム入力ができるようになった。紙の申請書類などに活字を書き込む場合には、とくに大きな力を発揮するだろう。ペーパーレス化にも大きく貢献してくれるだろう。

 
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 インターネットの歴史を回顧すると、その時代、その時代の「キーワード」があり、それがインターネット発展の諸段階を象徴していたように思われる。

 インターネットの黎明期を象徴するキーワードは、「ARPAネット」だろう(これについては、前ブログで取り上げた。

 これが、NSFネットに地位を譲り、「インターネットの成長期」に入る。これはアメリカ国内のインターネットが欧州や日本のネットとつながり、グローバルなネットワークへと発展した時期である。この時期のキーワードは、「TCP/IP」だろうか。それとも、USENETだろうか。インターネットのサービスが、データ通信やメールから、USENETのようなコミュニティサービスへと発展した点でも画期的だった。「コミュニケーションのメディア」としてのインターネットが明確になった時期でもある。

 第三期は、「WWW」の時代だ。これは、1989年のCERNにおけるWWWの開発、そして1993年から1995年までの「ウェブブラウザ」開発の時期だ。キーワードはもちろん「ウェブ」だ。そして、インターネットが「マルチメディア」へと発展した時期でもある。すでに1980年代末からCD-ROMなどを用いて誕生したマルチメディアが、1990年代前半には最先端のメディアを象徴するキーワードとなった。そして、ウェブブラウザの開発と普及によ って、マルチメディアの代表選手となって、バトンタッチしたのであった。

 それとともに、1995年前後からアメリカで唱えられたのは、「デジタルディバイド」というキーワードである。日本でも、情報通信学会などで1999年頃からデジタルディバイドのシンポジウムが開催されたり、2000年には「デジタルデバイド」が地球規模のも経済格差を引き起こしている重大な問題として、先進国サミットの主要議題として取り上げられりした。この時期は、「インターネットの急成長期」とも呼ぶことができるだろうか。

 2000年代半ばに入ると、新たに「Web2.0」というキーワードが登場し、インターネット界で一世を風靡することになる。これは、2004年10月:アメリカの出版社オライリーメディア社の CEOであるティム・オライリー氏がサンフランシスコで 「Web2.0カンファレンス」という会議を開催 したことが、直接の契機となっている。

 それから数年後、FacebookやtwitterなどのSNSが登場し、急速に普及するようになるとともに、Social Networkingあるいは「ソーシャルメディア」というキーワードが登場するようになった。これは現在に至るまで続く、インターネットの成熟期を象徴することばといえよう。

 最近はやったインターネット関連のキーワードは、「デジタルネイティブ」だろうか。これは、生まれながらに、デジタルメディアやITに親しんでいる若者たちにことをさしている。それ以外のインターネットユーザは「デジタルイミグラント」と呼んで区別されている。

 このように、「デジタルディバイド」「Web2.0」「ソーシャルメディア」などは、インターネットの発展史の中の一コマとなったわけだが、いずれも、現在消滅したわけではなく、依然として存続していることを銘記しておきたい。たとえば、「デジタルディバイド」というテーマは、平成23年版情報通信白書までは、大きなテーマとして取り上げられていたが、それ以降は取り上げられてはいないようだ。しかし60歳以上の高齢者や年収200万円未満の低所得層にはインターネットは十分にはいきわたっていないのが現状(平成26年時点)だ。 デジタルネイティブの中にさえ、ITを十分に使いこなせない層がいることを指摘する研究者もいる。Web2.0という言葉も、いまや死語に近くなっているが、その本質は現在もなお不変である。

 さて、ソーシャルメディア、デジタルネイティブにつづくインターネット世界の次なるキーワードは何だろうか?クラウド、スマート化、コモディティ化、そして。。。?まだ誰にも分らない新時代のキーワードを待ち望んでいるのは私だけだろうか?

  




 
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 今週の講義では、インターネットの歴史を概説することになっている。その際に悩むのは、はたしてインターネットは米ソの冷戦をきっかけとして開発されたのかどうか、という点だ。

 Neil Randall著『インターネットヒストリー』の第1章は、次のような文章から始まっている。

 1960年代、米国は ソビエトからの核攻撃を恐れ、対策を練っていた。そして、少なくともやっておく価値があると判断したのが、軍内部のコミュニケーションシステムを壊滅から守ることだった。
 解決策として、コミュニケーションを中央コンピュータシステムで集中管理することをやめた。集中管理を行うマシンさえ存在しなければ、このマシンが爆撃で吹き飛ばされることを心配しなくていい。
(中略)
 そこで登場してきたのが、パケット交換方式と呼ばれる技術である。この名付け親はドナルド・ディビスだが、基本原理は1960年代にポール・バランが発表した論文から誕生した。 
  これだと、「インターネット誕生の背景には、米ソの冷戦があった」という説がもっともらしく聞こえる。確かに、インターネットの誕生を支えた基本的技術の一つに、ポール・バランの提案した「パケット交換技術」「分散処理技術」があったわけだから、この説は必ずしも間違っているとは言えない。

 しかし、インターネットの原型ともいわれるARPANETそのものは、軍事目的のために開発されたわけではなかった。この点に関して、喜多千草氏(科学技術史)は、『インターネットの思想史』の中で、次のように説明している。

 「インターネットは国防総省の分散型コンピュータネットワークARPAネットから育ってきたものであり、もともと核攻撃による中央情報施設壊滅を避けるために構想された」という俗説がまことしやかに流布している。実はこの説は、ARPAネットと空軍に提出されて棚上げされた別のネットワーク構想との半ば意図的な混同から生まれた。インターネットの普及が加速し始めた1994年、7月25日号の雑誌タイムが早くもこの説を紹介した。
  喜多氏によれば、こうした俗説が誕生したのには、二つの経路があったという。「ひとつには、バランのネットワーク計画がそのままARPAネット計画の端緒になったと、開発の経緯を事実誤認した場合。もうひとつは、通信方式の技術的特徴の同一性をもって、同じ方式を採用したARPAネットも核攻撃を避けるという目的があったために分散型のネットワークになったに違いないと拡大解釈した場合である」。

 それでは、ARPAネットにはどのような開発思想があったのか?喜多氏は、国防総省の高等研究プロジェクト局(ARPA)の三人の情報処理技術部(IPTO)長(リックライダー、サザランド、テイラー)に焦点を当て、それぞれのネットワーク開発構想を詳しく検討している。その結果、リックライダーからテイラーへと引き継がれたネットワーク構想は、「コミュニケーションのメディアとしてのコンピュータネットワーク」という開発思想を基盤としたものであったことが明らかにされている。つまり、ARPAネットの開発思想は、決して軍事的なリスク回避といったものではなかったというのである。

 ただし、ARPAという組織そのものは、1957年の「スプートニクショック」とソ連の軍事的優勢に対抗して誕生したものであることは事実である。また、ポール・バランらの提案したパケット交換方式が、のちにARPAネットに採用されたことも事実である。ARPAネットと、その後のインターネット技術確立への道程には、実に多くの研究者や研究推進者たちの努力があったことは銘記すべきだろう。


参考文献:
喜多千草著(2003)『インターネットの思想史』(青土社)
ニール・ランダル著『インターネットヒストリー』(オライリー)


 
  
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 BDレコーダーの「リモート視聴」機能によって、スマホやタブレットでもテレビ放送が楽しめるようになった。そのおかげで、家庭内のチャンネル争いがなくなった。子どもがアニメを見ている今も、私はスマホでNHKの「ニュースウォッチ」を、ブログを書きながら見ている(ちょうど、御嶽山噴火災害のニュースをやっているところ)。iPhone5は小さな画面だが、BDレコーダーから送られてくる画像は、ブロードバンド回線とretinaディスプレイのおかげで、きわめて鮮明に再生される。したがって、画面は小さくても十分に満足がいく。小さいがゆえに、キーボードの端に置いても邪魔にならない。これも、小画面のメリットだろう。iPhone6の大画面では、むしろスペース的に邪魔になるのではないだろうか。それゆえ、当分の間、iPhone6に乗り換えるつもりはない。スマホは、いまや大画面テレビのセカンドスクリーンであり、また大画面PCのセカンドスクリーンでもある。

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 iOS8の導入によって、さまざまなアプリに新機能が加わるようになった。私がもっともよく使っているアプリのEvernoteにも、いくつか新機能が加わった。その中で、もっとも便利な新機能は、Safariブラウザで保存したいページを、Evernoteに丸ごとクリップしてくれるものだ。モバイル環境で、このようなことができるのは、たいへんにありがたい。これから、どんどん活用していきたい。




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 筆者は、PCの「太郎」の時代(1990年代)からの一太郎愛用者だ。日本語変換ソフトATOKも、ずっと使っていた。それで、最近iOS8.0に対応したATOKが発売されたことを知って、さっそくiPhone5とiPad miniに入れることにした。価格が1500円と高いのは痛いが、イノベータ故の初期投資と考えて導入を決意した。ネットで調べると、あまり評判はよくないようだが、実際に使い勝手を確かめてみたいという欲求が上回った。

 インストールしたあと、最初にすることは、「設定」→「キーボード」で、ATOKの入力を可能にすることだ。この手続きは簡単。とりあえず、どのアプリでもATOK変換ができるようになった。これから、少しずつ使いこんでみたいと思う。評判の悪い点については、今後の改善を期待したいと思う。

 

  
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 iPhone5で、WiMaxの接続スピードを測定したところ、次のような結果となった(自宅の屋内)。

  期待したほどのスピードではないが、動画をスムーズに視聴するには十分な値といえよう。












  次に、au ひかりの回線に切り替えて、スピードを測定したところ、左のような測度になった。やはり、光回線のスピードは圧倒的に速い。とくに、 アップロードのスピードが桁違いに速いことがわかる。






  大学の研究室の学内LANでは、さすがに速く、上りで42.83Mbpsという高速だ。
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 WiMaxを導入して以来、動画サイト利用の機会が大幅に増えた。別ブログでも書いたように、テレビのリモート視聴が、容量の制限なしで楽しめるようになったことが、そのきっかけだった。ついでに、動画配信サイト(’VOD)にも加入すれば、動画の選択肢が大幅に広がると考えた。

 ディーガで視聴可能なネット動画には、アクトビラ、Hulu、Tsutaya TVがある。最初はTsutaya TVのネット配信サービスをお試しで視聴することにしたのだが、1本あたり数百円の利用料金が発生すること、レンタルの視聴期間が短いことなどの難点があり、今は、Huluに加入して、映画やテレビドラマを楽しんでいる。子どもが大好きな「妖怪ウオッチ」が初回から無料で何話でも追加料金なしで見られるのが、なによりのメリットだと感じる。Tsutaya TVだと、3話以上を見ようとすると、有料(約300円)になってしまう。視聴意欲が半減する。

 Huluの場合、他のVODと同じように、視聴を中断しても、次に視聴するときには、続きから見ることができる。これは、録画したビデオと違う大きなメリットだ。タイムシフトとプレイスシフトで、好きなときに好きな時間だけ視聴することができるからだ。また、「マイリスト」といって、見たい動画をあらかじめ登録することができるのも便利だ。キーワードで好きな俳優や映画タイトルをすばやく検索もできる。 動画の本数は、YouTubeなどに比べれば少ないが、映像の質が高いことを考えれば、やむを得ないだろう。
 
 Tsutaya TVの場合、DVD,BDレンタルサービスに比べて、本数が桁違いに少ないのが難点だ。本当の映画好きには物足りなく感じるだろう。アメリカの映画やドラマが好きな人や、英会話の練習をしたい人には、Huluはコストパフォーマンス的に最適なサービスといえる。私も、Huluを英語のブラッシュアップのためにも活用したいと思っている。英語字幕付きの映像が楽しめる。一部の映画、ドラマには、英語字幕つきのものもある。いずれ試してみたいと思っている。10秒巻き戻し機能も、英語学習者にはありがたい。

 英語字幕を使ったHuluによる英語学習法については、次のサイトが大いに参考になる。

Huluを使った具体的な英語学習法
英語字幕・英語音声で見られるHuluの海外ドラマ一覧

 電車の中や隙間時間を埋めるコンテンツとして、Huluは大いに役立ってくれるだろう。日本の動画配信サイトでも、Huluに対抗できるサービスを提供するところが現れてほしいものだ。

 ※ 付言すると、HuluはPC画面、大画面TV、スマホ、タブレットのすべてに対応している。アプリは最新のバージョンのものにアップデートしておきたい。 ただし、ディーガで大画面TVを見る場合、英語字幕には対応していないのがちょっと残念。

 
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 最近は、家庭用ひかり回線の普及が進み、飽和状態になっているのだろうか、代理店業者からの勧誘競争が激化しているようだ。私の住むマンションには、NTT、auひかりの回線設備が入っており、どちらの業者のサービスも受けられる状況にある。そのせいか、後発のau関連業者からの勧誘がかなり強引な形で行われているように思われる。数か月前、我が家にもKDDIを名乗る業者が、NTTからauへの乗り換えを勧誘に来た。話を聞くと、これまでのNTTフレッツよりもかなりお得な月額料金になるというので、auに乗り換えることになった。結果をみると、月々の請求額は乗り換え前とほぼ同じか、やや高くなっていて何か損をしたような気持ちになった。あまつさえ、最近では、モデムのせいではないかもしれないが、しばしばネットがつながらなくなるというトラブルが発生し、NTTに戻そうかなとも感じていた。

 昨日から始めたWiMaxモバイルルータに付属して、「&WIMAX割」というキャンペーンのちらしが入っていたので、読んでみたところ、 光ライフ with フレッツに新規加入すると、WIMAXの月額料金が1年間無料になるとあった。単純に計算すると、税込で約48000円も節約になるという勘定だ。プロバイダに電話で問い合わせると、我が家の光回線は、このキャンペーンに当てはまり、かなりお安くなるとのこと。さっそく乗り換えの申込みをしたという次第である。「乗り換え」にはかなりの手間がかかるが、このプロバイダの話では、無料の出張機器設置サービスをしてくれるとのことで、ひと安心。

 乗り換えの経過は、逐次ご報告することにしたい。 続きを読む
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 最近知ったのだが、子供用に開発された「スクラッチ」(Scratch)というプログラミング言語がある。これは、MITメディアラボのチームが開発した、子供向けのプログラミング言語だという。先日、東京大学の福武ホールで開催された「プログラミングラボ in オチャノミズ」に、子どもと一緒に参加した。約2時間のグループワークだったが、子どもも興味をもって取り組んでいた。あとで、テキストブックを見ながら、自宅でもやってみたが、なかなか奥が深く、かつ視覚的にわかりやすいプログラミングで、これなら、子どももプログラミングに興味をもってくれるかな、と思った。 このときの作品は、ウェブ上でも公開されている。

Scratch スタジオ 9/6

 スクラッチは、PC版とウェブ版があるが、ウェブ版のほうが、どこからでもアクセスできるので使いやすい。

 スクラッチのウェブサイトは、次のところです。命令文がブロックのようになっていて、それを組み合わせることによってプログラムができるようになっている。

・Scratch Website

   私がスクラッチで作ったアニメーション(列車が遠くから近づいてくるところ)
scratch
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 けさ、外出の直前に気づいたのだが、iPhoneの電池残量がわずか8%になっていることを発見。とりあえず電源ケーブルをつないで、約30分間充電したところ、30%にまで回復。でも、これでは外出中にバッテリー切れになることは必定。

 そこで登場したのが、昨日購入したばかりのWiMax2+モバイルルーターだ。このルーターは、通信機能に加えて、給電機能も備えている。給電に使う容量の上限を20% または50%に指定できるので、過充電によりルーターの電池がなくなる心配はない。外出した時点で、ルーターを専用USBケーブル(下の写真)でiPhoneに接続し、いざ出発。

 果たして、どのくらいのスピードでどのくらい充電ができるのか不安もあったが、 約1時間給電を続けた結果、85%にまで充電量を高めることができた。この間、電車の中でも、WiMaxの通信を続けることができた。最近は、とくに若者たちは、けっこう大きなスマホ充電器を持ち歩いているようだが、このWiMaxルーターは、サイズ的にも、スマホ充電器として十分使えることが確認できた。最近発売されたiPhone6では、充電能力が強化されたとの話も聞くが、このルーターがあれば、そういった心配もないので、精神衛生上もよろしい。




 電車の中では、WiMaxを使って、テレビ番組のリモート視聴をしていたのだが、時折画面がフリーズしたり、回線が切断されるなどのトラブルはあったものの、十分楽しむことができた。残念なのは、iPhoneアプリであるPanasonic Media Access が、USB-HDDに対応しておらず、機器本体の録画ビデオしか再生してくれないことだ。この点は、今後のアップデートでぜひ改善していただきたいところだ。
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 けさ、NiftyからWiMax2+のモバイルルーターが届いたので、さっそく利用を開始した。クレードル付きなので、自宅内のLANもこれで構築できるかと思ったが、そうでもないらしい。
 下の写真に見る通り、電波状況は今一つという感じがする。戸外では受信感度は良好で、スピードのある通信サービスを享受できるが、コンクリート造りのビルに入ると、とたんに電波が繋がりにくくなるようだ。大学の研究室では、受信状況はあまりよくない。動画視聴中に画面がフリーズしたりするという現象が起きた。来週の授業で電波受信状況を確認することにしたい。
 ともあれ、月額4000円の料金を負担しないといけないので、スマホの料金プランを低額のものに変更して、なんとか元をとりたいと思っている。

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一時間くらい間をおいて、ふたたびルーターを設置しなおしたところ、屋内でもWiMax2+がつながるようになった。不安定ではあるが、コンクリートの建物内でも、窓に近いところであれば、WiMax2+の高速回線がつながることが確認でき、ほっとした。下の写真をごらんいただきたい。電波が3本立っていることが確認できるかと思う。ちなみに、ルーター設置場所は、東京23区内である。


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 なお、このモバイルルーターには、給電機能がついているので、専用のUSBケーブルを使って、スマホに充電することができる。これは、長期外出中には便利な機能だろう。(下図参照)

Evernote Camera Roll 20140925 165808.jpg


 
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 5月末頃から体調を崩していたために、このブログも休止状態になっていたが、ようやく体調が戻ってきたので、久しぶりにブログを再開したいと思っている。かねてからの懸案だったモバイルWimaxが、本日中にも入荷するので、それを使うのが楽しみだ。

 WiMaxルーターを使おうと思ったきっかけは、 最近、自宅のBDレコーダーが壊れてしまったことである。パナソニックのディーガを5年くらい使っていたのだが、BDディスクが再生されなくなるというトラブルが発生し、この際、最新型のレコーダーに買い替えようと思ったのである。

 テレビもパナソニックなので、BDレコーダーの後継機種もパナソニックにすることにした。最新のディーガを検索してわかったのだが、フラグシップの機種は、BXT970で、トリプルチューナー搭載、チャンネル録画(いわゆる全録)が可能、容量が5TBというものだ。Amazonの価格をみると、14万5000円くらいで、とても手が届く価格ではない。予算は5万円前後ということで探した結果、DMR-BZT665(※)という機種が5万円強で購入できることがわかったので、これを第一候補とすることにした。ヤマダ電機で交渉した結果、5万3000円+12%のポイントで購入することができた。実質価格は4万7000円くらいというところだろうか。

※この機種は夏モデルで、10月後半には後継の秋モデル(BRZ1000)に道を譲ることになった。しかし、性能面では、ほとんど変化はないようだ。 

 購入した機種は、トリプルチューナー搭載、Wi-Fi、容量1TBという、現時点では標準的な機種といえるだろう。5年前だったら、この3倍の値段はしたのではないだろうか。BDレコーダーも進化したものだと思う。全録機能は、あれば便利だとは思うが、いまのところ、それほどの必要性は感じないので、今回は見送ることにした。

 1TBという容量は、高精細画質で80時間以上の録画が可能である。足りなくなったら、外付けのUSB-HDD(2TBで約15000円)を取り付ければ、いくらでも容量を増やせるので、当面は、1TBでも十分だろう。長期間保存したい番組は、BDディスクにコピーすればよい。

 今回の機種グレードアップでいちばん役立っているのは、Wi-Fiによるネットワーク接続機能だ。これで、ネットの動画が大画面テレビで見られるようになった。YouTubeの動画を大画面で見るのは、新鮮な驚きだ。Hulu、アクトビラなどのVODも有料ながら見られるようになった。Tsutaya TVも有料だがテレビで見られるようになった。

 一番の収穫は、「外からどこでもスマホ視聴」という機能だろう。WiFiが使える環境であれば、世界中どこでも、自宅のレコーダーを一種のサーバー&チューナーとして、スマホやタブレット端末でテレビ番組を楽しむことができる。方法は簡単で、スマホに専用の無料アプリ Panasonic Media Accessをインストールするだけだ。

 私のもっているスマホは、iPhone5で、ワンセグ機能はなかったのだが、このBDレコーダーを入れたおかげで、スマホやタブレット端末からもテレビ視聴ができるようになった。これは本当に便利な機能だと思う。

 ただし、スマホでテレビや動画を視聴すると、パケット料が膨大になるので、7~8ギガという「パケット放題」の制限を超えてしまう恐れがある。そこで、この制約を取り払うために、WiMaxのモバイルルーターを導入しようと思ったわけである。

※ちなみに、こうした機能は、ソニー製のBDレコーダーでも実現している。パナソニックの後継機種では、他社製のテレビにも対応したリモコンがついているので、今後は、選択肢の幅が増えるものと予想される。


 
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 内閣府が行った最新の消費動向調査によると、2014年3月時点で、スマートフォンの世帯普及率が54.7%となっている。過半数の家庭でスマホが使われているということで、いよいよスマホ普及過程も後期採用段階に入ったということになる。ただし、スマホが調査項目に入ったのは、今回が初めてなので、時系列的な普及プロセスはわからない。いわゆるガラケーの普及率は73.7%なので、まだガラケーの所有率がうわまわっているが、あと1年もすれば、肩を並べるくらいになるのではないだろうか?

スマホ2014

 














 なお、タブレット端末の所有率は20.9%で、パソコンの78.7%にくらべると、まだ普及はそれほど進んではいないようだ(2014年4月17日内閣府発表資料による)

※参考までに、「モバイル・コミュニケーション研究会」が2011年11月に実施した全国調査によると、ケータイの
個人利用率は、「携帯電話」81.9%、「PHS]2.3%、「スマートフォン」12.1%だったので、わずか2年ほどでスマートフォンの普及率が4倍以上にもなったと推測される(松田美佐他編『ケータイの2000年代』より)。内閣府調査によると、スマホとガラケーを併用する人も若干いるようだ。

  
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 マイクロソフトがウェブ上で、無料のオフィスソフトを提供している。同社のクラウドOneDriveにアップしたオフィス文書を、ウェブ上で自由に編集したり、他の人と共有したりすることができる。とくに、出先などで、自分のパソコンがなく、しかもUSBなどの記録媒体ももっていない状況では、Microsoftのアカウントを入力するだけで、クラウドのOneDriveにアクセスして、文書の作成、編集を快適に行うことができるので、非常に便利だ。PCだけではなく、スマートフォンやタブレットでも、同じ作業を行うことができるので、PCを持ち歩く必要もない。

 OneDriveは、私が使っているクラウドの中でも、いちばん気に入っているクラウドだ。同期が速いこと、オフィスとの連携が優れている点がその主な理由だ。GoogleDriveは、私の場合だけなのか知らないが、同期が遅いので、いまはほとんど使っていない。いずれにしても、

 これからは、やはりクラウドの時代でしょ!

Microsoft Onlineのサイト
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 私の場合、物忘れがひどいので(昔からそうだった)、備忘録としてライフログをつけるのは、欠かせない日課の一つだ。また、日々の怠惰な生活を反省するためにも役に立ってくれる。物忘れがひどいことは、たとえば、1か月前に書いたブログを読み返してみると、へー、こんなことを書いていたんだ、などと感心してしまうこともたびたびだ。なので、公開であろうと、非公開であろうと、ライフログは確かに役に立っているといえる。もう一つ、公開型のライフログの場合には、これを読んでくださっている方に、自分はいまこんなことをしていますよ、とか、こんなことを考えています、こんなことに興味をもっています、といった情報を伝えることも、ライフログの効用の一つかもしれない。

 昔は、ライフログをつける手段(メディア)としては、紙とペン、筆くらいしかなかったので、単に「日記」「日誌」とよ呼ばれていた。しかし、インターネット社会の現代では、「ライフログ」ということばが、日記のかわりに使われるようになっている。「ライフ」は「生活」であるし、「ログ」は記録であるから、ライフログは日記の直訳に近いといえる。

 けれども、わざわざ横書きでライフログというようになったのは、やはり、メディアの進化のおかげだろう。とくに、CGMの驚くべき進歩がライフログをメジャーなネットコンテンツの一つにまで押し上げた最大の要因だろうと思う。

 ライフログに使われるアプリといえば、私の場合には、iライフログが8割以上を占めているが、ブログ、Evernote、ツイッター、フェイスブック、LINE、Foursquareなども広い意味でのライフログだといえる。最近では、ウェアラブルなライフログツールが表れ始めている。けさの「Asciiニュース」によれば、ソニーから、『SmartBand SWR10』というウェアラブルなライフログのツールが発売されるとのこと。リストバンドとスマホのLifeLogアプリを連動して使うもののようだ。Asciiニュースの記事によると、

ブックマーク
カロリー
ウォーキング
ランニング
睡眠
コミュニケーション
カメラ/アルバム
音楽
映画/TV
ゲーム
読書
インターネット

 今まで気にしていなかった行動が具体的にわかり、“毎日の目標”の設定により進捗状況がわかるようになるので、無意識でとっていた行動を意識するようになります。
とある。いま私が使っているiライフログは、基本的には手動で入力しなければならないが、ソニーのウェアラブルの場合には、ほとんどを自動的に記録してくれるようだ。

 iライフログで私が気に入っているのは、時刻、カテゴリーの他に、写真が適宜入れられること、その場その場で、文章のコメントを入れられること、あとからログを自由に編集できること、Evernoteに自動保存してくれることである。習慣化すれば、入力も苦にはならない。これからの目標としては、できるだけバシバシ写真を撮って、ライフログをよりビジュアルなものにすることと、コメントも頻繁に入れて、ライフりログをより「マルチメディア日記」に近いものにすることだ。

 最近、もうひとつ 入れたライフログ関連のアプリは、DAYS7というもので、これはもっぱら写真専用のライフログで、写真を撮り、それを日付ごとにビジュアルに表示してくれる、楽しいアプリだ。写真だけでもライフログができるといういい見本だ。iライフログとの併用も可能。日付と撮影した時間が表示されるので、わかりやすい。写真だけではなく、コメントもつけられる点は、iライフログと同じだ。また、写真の下に表示された撮影位置のテキストをクリックすると、写真を撮影した場所の地図も表示させることができる。あとで思い出す場合などに便利だろう。iライフログとの同期も行えるので、二度手間が防げる。DAYS7は、「僕の来た道」アプリを代替してしまった。
 
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 アマゾンがこれほどまでに発展した背景には、創業者のジョフ・ベゾスの、起業家としての稀有な才能があったと思われる。最初に取り組んだウェブサービスが「書籍販売」だったのも、偶然ではなく、オンラインショップでもっとも成功する確率が高かったからだ。書店での成功を受けて、べゾスはさらに事業を発展させるために、アマゾンで取り扱う品目を次々に増やし、いまや生活用品のほとんどの種目をカバーするまでに広げ、いずれにおいても、ロングテール商品も扱う世界一のオンラインショップサイトにしたのである。アマゾンが世界中のユーザーから受け入れられた理由は、アマゾンの社是に象徴されている。その社是とは、「人々がオンラインで買いたいと思うモノがすべて見つけられる企業、顧客第一主義を世界で一番実現する企業になる」ということである。この社是を貫く限り、アマゾンは、さらに快進撃を続けることだろう。

参考文献:

リチャード・ブラント著『ワンクリック: ジェフ・ベゾス率いるAMAZONの隆盛』(井口耕二訳) 
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 きのう妻が麦茶を入れて冷蔵庫で冷やせる、特殊なタイプのやかんを買おうと、池袋のデパートやホームセンターなどを1日探し回ったのだが、結局見つからず、がっかりしていた。そこで、アマゾンで探してみようということになり、「やかん 麦茶用」で検索したところ、1商品がヒットした。これこそ、探し求めていた商品だ。

 









 さっそく、昨夜、アマゾンのオンラインショッピングサイトで注文したところ、なんとけさ一番で配達してくれた。一体どのような流通の仕組みでこれほど速く 配達されるか、不思議に思うと同時に、感激したのであった。

 アマゾンは1995年に開業した当初は、オンライン書店としてスタートした。創業者はジェフ・ベゾス。1998年には音楽とDVDの販売に乗り出して成功。1999年には、玩具と家電を商品に追加、現在では、パソコン関連商品、ファッション、バッグ、ホーム・キッチン用品、スポーツ&アウトドア、食品・飲料、カメラ&AV機器、ヘルス&ビューティなど、きわめて多彩な商品を扱うまでに拡大している。とくにレアな商品を探すのには最適なサイトだと思う。ふつうのデパートなどでは、上の「麦茶用やかん」のような特殊タイプの製品は扱っていない。その点では、アマゾンは、いわゆるロングテール商品を多数扱っているので、「困ったときはアマゾン」ということになる。

※アマゾンについての詳しい情報は、ブラッド・ストーン『ジェフ・ベゾス 果てなき野望』を参照されたい。 

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 きょうから、本学の教育支援システムmanabaの「出席カード」提出システムを使って、自動出席登録を開始した。私にとっては初めての試みだったので、多少不安はあったが、とくに混乱もなく無事に終了した。本日の出席者数は129名。このうち、ケータイもスマホも持っていないという学生は若干1名だった。彼も、スマホを買う予定とのことだったので、来週からは全員がこの出席カード提出システムでリアルタイムに出席登録することができるようになるだろう。

 ただし、新1年生で、manabaのIDとパスワードを忘れたという学生が16名いたので、17名には紙の出席カードを書かせて、あとで追加入力を行った。出席カードの提出は、授業中でも締め切ることができるので、遅刻学生をはじいたり、事後的に「遅刻」として入力することもできるので、便利だ。提出を締め切ると、下のような画面になり、出席状況を閲覧したり、編集したりできるようになる。

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 提出状況(Excel)の部分をクリックすると、出席状況がエクセルの表で出力される。出席点を割り当てることによって、自動的に各人の点数がその回ごとに表示される。たとえば、出席者には10点、遅刻者には5点などといった配点をつけることも自動的に処理してくれる。

 この出席カードには、小テストなども添付できるようなので、今後余裕ができたら、活用してみたいと思っている。大人数の講義には、このシステムは威力を発揮してくれるだろう。
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 今朝の朝日新聞によると、今年の夏から、機内でのスマホやタブレットなどの電子機器の使用が常時認められるようになるという。また、飛行中のWi-Fiによる無線接続も可能になるという。これは、朗報だ。
 国土交通省は今夏をめどに、飛行機内でスマートフォンやタブレット端末などの電子機器を常時使えるよう規制を緩和する。これまでは離着陸時の使用を制限してきたが、乗客のニーズが高まる中、欧州と米国の航空当局が安全性を確認したことから、欧米にならって解禁する。  常時使用が認められるのは、機内モードに設定したスマートフォンやタブレット端末、携帯ゲーム機、デジタルカメラなど。従来は「発する電波が計器に悪影響を及ぼす恐れがある」として、慎重な操縦が求められる離着陸時は電源を切る必要があった。強い電波を発する通常モードでの使用や通話、携帯電話の通話は、安全性が確認できないため引き続き禁止する。
『朝日新聞』2014年4月7日朝刊より)

 こうした規制緩和の背景には、欧米諸国での安全性の確認、規制緩和があるとのこと、
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 世界最大のスマホ市場、中国では、スマホが生活の隅々まで浸透しているようだ。昨日の朝日新聞に、次のようなレポートが載っていた。
「あなたから0・3キロの位置にお客、行き先は東城区の……」。ハンドルを握る張志遠さん(40)のスマホが、ひっきりなしにダッシュボードで叫ぶ。客がアプリでタクシーを呼ぶと、運転手のスマホに「注文」が表示され、音声が出る。
 もう1台のスマホでも、ライバル社の同じ機能のアプリを作動させ、注文を待つ。以前は路上の客を探しながら運転していたが、今はスマホが注文を運んでくる。「客の待ち方が完全に変わったよ」と張さん。
 中国は、2013年に約3億4千万台が売れた世界最大のスマホ市場。1千元(約1万6千円)以下の低価格スマホが約4割を占める。普及に伴い、暮らしを便利にする多くのスマホアプリが浸透してきた。
『朝日新聞』2014年4月4日朝刊より)
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ネット時代に新聞はどうやって生き残るのか?


 既存のマスメディアの中でも、もっとも大きな生存の危機にさらされているのは、紙の新聞だろう。2000年以降、新聞の販売部数は一貫して減少し続けている。また、新聞の広告収入も減少を続け、インターネット広告費が新聞を追い抜いてしまった。

 新聞閲読者は、従来から中高年層を中心としており、若者の新聞離れも加速している。その最大の原因は、インターネットやケータイ、スマホの普及である。最新のニュースを得るためには、インターネットやケータイ、スマホのニュースを見るのが手っ取り早い。新聞離れは、若者だけではなく、中年層でも広がっている。これは、テレビを見ながら育った年代層が、新聞視聴習慣をもたなくなっていることにもあらわれている。

 新聞社の側でも、こうした状況に対応するため、インターネットやケータイ向けのニュース・コンテンツを提供してきたが、広告収入だけでは費用をまかないきれない状況にある。そこで、日本経済新聞や産経新聞などは、有料の電子新聞サービスを開始している。朝日新聞でも、2011年2月から有料電子新聞サービス(月額3800円)を提供し始めた。 紙の新聞と併読する場合には、デジタル版は500円プラスで講読できる。

 果たして、有料の電子新聞は、一般の人びとに受け入れられるだろうか。過去の事例をみると、有料のビジネスモデルが成功した例はほとんどないのが実情である。新聞の強みは、全国一律料金で各戸配達によるサービスである。電子新聞は、これとはまったく異なる配信形態である。電子新聞が成功するとすれば、紙の新聞にはない特性(マルチメディア化、速報性、データベースとの連携など)が必要条件となろう。また、料金は月額1000円未満で、雑誌的なコンテンツの提供などが求められるだろう。

私の電子新聞利用

 私自身についていうと、一時期、朝日新聞デジタルだけを購入し、紙の新聞をやめていた時期があった。いまは、朝日新聞の紙版とデジタル版を合わせて講読している。紙の新聞にもメリットがいくつかあることに気づいた。第一は、折り込みチラシの効用だ。妻は、新聞そのものは読まずに、チラシだけを熱心に読んでいる。紙の新聞にはこのような付加価値がある。また、紙の新聞には「閲覧性」が高いという大きなメリットがある。パラパラと新聞をめくっていくと、気になる記事が自然と目に飛び込んでくることがある。ネットのデジタル版だと、最初は見出しの一覧しか表示されないので、こういった体験はあまりできない。

 このような気になる記事を紙版でみつけると、PC版でこれを確認し、Evernoteにクリップ保存することが多い。 二度手間ではあるが、注目記事のデータベースを構築するには便利だ。なので、当分は、紙の新聞と電子新聞を併用するだろうと思う。

 若い人の「新聞離れ」が進んでいることについては、やはり小さい頃から新聞紙に慣れ親しんでもらうのが一番だと思う。小学4年生になる愚息は、「朝日小学生新聞」を愛読している。マンガが面白いようだが、他の記事にも目を通しているようだ。

 というわけで、新聞経営は厳しさを増しているが、近い将来、電子新聞に完全に代替されることはなさそうだ。
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 2010年は、「電子書籍元年」といわれ、アップル社のiPad、ソニーのリーダー、アマゾンのKindleなどの専用端末が発売され、出版社、広告代理店、書店などがデジタル・コンテンツの配信を開始した。電子書籍端末には、数千冊の本をデジタルで収納できるので、本棚を気軽に持ち歩ける、というメリットがある。リアルの本棚や本屋が不要になるかもしれない。製本、印刷のコストが省けるため、定価も紙の本より安く設定できる(実際、アマゾンで販売されて洋書や和書は、電子版の方が紙版よりも低く設定されている)。

 このように、「収納スペース」「印刷製本費の節約」という点からみれば、電子書籍は紙の本よりも競争上優位に立っている。また、iPad、リーダー、kindleなどの専用端末では、活字が見やすくなっており、紙のページをめくる感覚など、インターフェイス上も工夫がなされている。電子版では、ハイパーリンクを設定して、ウェブ上の情報源を参照することもできる。キーワード検索も簡単にできる。内容の改訂も、頻繁に行うことが可能である。本屋さんに出かけなくても、迅速に取り寄せることができる。

 これに対し、紙の本は、実物を手にとって見ることができる、紙の方が、ページをめくる感覚がすぐれ、一冊の本なら、携帯性も高く、一覧性においてもすぐれている。機能的に比較するならば、電子書籍は、紙の本よりもメリットが大きい。将来的には、紙の本が徐々に電子書籍に取って代わられるようになるだろう。現時点では、まだ専用の情報棚末の価格が高く、紙の本を直接脅かすまでには至っていないが、「紙」⇒「電子」への遷移が少しずつ進んでいくものと思われる。

 ちなみに、私自身については、Kindle Fire HDX 8.9の端末を持っていて、「ハウツー本」を中心に、電子書籍を購入する機会が大幅に増えた。値段の安さ、持ち運びの容易さ、書棚が満杯なので省スペースになること、自宅ですぐに入手できること、などにメリットを感じている。あとは、取扱い本数をもっと増やしてほしいと思う。

 電子書籍に関連のあるニュースが、けさの朝日新聞に報道されていた。
電子書籍にも「出版権」 著作権法改正へ

 電子書籍の海賊版対策や適正な流通のため、電子書籍に「出版権」を設ける著作権法改正案が4日、衆院文部科学委員会で全会一致で可決された。近く衆院本会議を通過し、参院審議を経て今国会で成立する見通しだ。来年1月1日に施行の予定。改正により、作家と契約した出版社は、海賊版発行の差し止めを訴えられるようになるほか、電子書籍販売サイトなどに配信を許諾できるようになる。
(『朝日新聞』2014年4月5日朝刊)

 これで、電子書籍の普及が促進されるかどうか、注目したいところだ。
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 情報は、なんらかのメディアを媒介することによって、われわれによって知覚、利用可能なものになり、それゆえ、われわれにとって有用なもの、あるいは有害なものとなる。

  その際、メディア開発者(技術、アーキテクチャ)、メディア販売者(マーケット、利害関係)、メディア利用者(ニーズ、リテラシー)、メディア規制者(法制度、規範)の4つの構成要素たる「メディア主体」が、メディア・エコシステムを作り上げている。これらの構成要素の間の相互作用を通じて、情報メディアは進化し、また、個人や組織に大きな影響を及ぼす。このようなメディア観を、ここでは「メディア構築主義」と呼ぶことにしよう。この4つの構成要素を図解すると、次のようになるだろう。 

media-ecosystem

























メディア開発者(情報技術、アーキテクチャ)


 第一の要素は、メディアの生成を可能にする情報技術またはアーキテクチャと呼ばれるものである。現代の情報社会においては、デジタル情報技術やアーキテクチャがこれに相当する。

 デジタル情報技術が従来の技術と大きく異なる点は、

①情報の流れが、送り手から受け手への一方向的なものではなく、受け手(ユーザー)からも情報発信されるようになり、双方向的(インタラクティブ)な性格をもっているということ、
②情報がデジタル化されることによって、より高精細度の情報の流れが生じるということ、
③情報の流れをコントロールする技術がより高度なものとなるということ、
④高速、同時、非同期的な情報伝送技術により、時間的、空間的な制約が大幅に克服されるということ、などにある。

メディア提供者(マーケット、利害得失)


 情報産業では、一定のプラットホーム上において、さまざまな情報サービスが提供されている。インターネットでは、電子商取引を通じて、ありとあらゆる商品やサービスが提供されている。また、マスメディア企業では、新聞、テレビ、ラジオ、雑誌などの情報を定期的にオーディエンス向けに提供している。インターネット上でも、YouTubeやニコニコ動画などのネット動画配信サイトや、ニュースサイトなどを通じて、マスメディアと同じようなコンテンツが提供されている。

 携帯電話会社では、さまざまなケータイ関連の情報サービスを提供している。これらの企業の間には、激しい競争と提携関係が展開されており、プラットホーム上の各種サービスの間には、相互補完、代替などの相互関係がみられる。こうした競争や提携、共存共栄関係などは、市場原理(需要と供給、費用と効果など)にもとづいて展開され、その中で環境にうまく適応したものだけが生き残る。旧メディアは、生き残りをはかるために、しばしば独自の「ニッチ」を開拓することによって生存をはかることができる。例えば、テレビの登場とともに、ラジオや映画は衰退に向かったが、ラジオでいえば深夜族やドライバーなどを新たなターゲットとして、生き残りをはかっているし、映画は、DVDやブルーレイやテレビでの副次的な利益を得ることによって生き残りをはかっている。

メディア利用者(情報行動)


 三番目の要素は、メディア利用者すなわちユーザーや視聴者、読者などである。メディア利用者は、商品やサービスの購入、情報コンテンツの利用に関して一定の情報ニーズをもち、それに適合するようなメディアへの接触、消費を通じて「利用と満足」を得る。デジタル・メディアに関しては、従来よりもリッチなコンテンツ(高精細な映像、マルチメディア的なコンテンツなど)に対するニーズを強く持ち、インターネットやデジタル・テレビ、DVD、ブルーレイなどのメディアを通じて、情報ニーズを充足させる。最近では、対人関係を緊密化するために、ソーシャルメディアに対するニーズが強まっており、従来の一方向的なマスメディアから、よりインタラクティビティの高いインターネットやスマートフォンなどに利用がシフトする傾向がみられる。

 また、従来のマスメディア消費においては、オーディエンスはもっぱら情報を受けとるだけの受動的な「受け手」であったのが、インターネットやケータイの普及とともに、ユーザー自身が情報発信の主体となるようなメディアコミュニケーションが広がっている。メディア・エコロジーの視点からみると、インターネットやケータイ、スマホの利用が、在来型のマスメディア利用を機能的に代替するようになっている。その一方では、テレビを見ながらネットやスマホをチェックしたり、ネット配信の動画をテレビ画面で見るなど、「クロスメディア」的な情報行動が広がっている。

 こうした新しいメディア利用の普及は、1980年代以降生まれの、いわゆる「デジタルネイティブ」において特に顕著にみられる新しい現象である。デジタルネイティブ達は、生まれたときからデジタルメディアに慣れ親しんでおり、旧世代のメディア利用者に比べると、「情報リテラシー」(情報を処理するスキル)が全般的に高いという傾向がみられる。

メディア規制者(法制度、規範・倫理)


 最後の構成要素は、メディアの活動や利用を規制する主体、すなわち、「メディア規制者」である。大きく分けると、情報メディアを規制する法制度と、法制化されてはいないが、メディアの開発、提供、利用を個人の内面から規制したり、集団的な圧力によって外部から規制する「規範」や「マナー」とから成っている。デジタル・メディアにおける法規制の具体例としては、放送・通信制度や法令、個人情報保護法、電子商取引規制、知的財産法、刑法による情報の保護ないし規制、などがある。

 とくに、インターネットというメディアにおいては、膨大なコンテンツが日々受発信されており、個人情報の漏洩、テロやポルノといった有害情報の流通、匿名掲示板などを使った悪質な書き込みによる犯罪行為、などが頻繁に起きており、これらに対する法規制の整備がはかられている。 メディアを規制する主体は、法制度だけではない。国民の一人一人が教育などを通じて内面化した規範やマナー意識をもつことも重要である。具体例としては、インターネットの掲示板やSNSに書き込むときに守るべき規範やマナー、公共空間で携帯電話を使用するときに守るべきマナーなどがある。

  
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