以前から読みたいと思っていた、山崎豊子さんの最新作『運命の人』を、電子文庫パブリで購入、さっそく第1巻を読み通した。電子文庫版は、昨年の12月に発売されたばかり。原作は、2005年から2009年にかけて、文藝春秋に連載されたもので、山崎豊子さんの小説としては10年ぶりということだ。しっかりとした取材と資料収集、読み込みをもとに書かれたもので、ジャーナリズムの根幹に迫る力作だ。残りの巻を読むのを楽しみにしている。

 電子文庫パブリは、定価が紙版より2割ほど安く手に入る上、iPadの大画面で大きな文字で読めるので、助かっている。iPad愛用者にはお勧めの電子書籍だ。これからも愛読していきたいと思う。

電子文庫パブリ

 本小説のモデルになっているのは、1972年の「沖縄返還」の前後に起きた「外務省機密文書漏洩事件」だ。被告であった元毎日新聞のN記者への取材や、弁護士など関係者への取材、沖縄取材、詳細な裁判記録などをもとに書かれたのが、この小説である。山崎さんご自身、かつては毎日新聞大阪本社の学芸部で記者をしていた経験があり、それもこの小説を書くきっかけになったと思われる。細部に至るまで、ジャーナリズムの現場の生々しい様子がうかがえるもので、天性の小説家としての才能を感じさせる。また、80歳をこえてなお小説家として大作を執筆し続ける著者の気力と力量には頭が下がる。ジャーナリズムの本質、沖縄問題と真摯に向き合う姿勢にも敬意を表したい。

※ 本書『運命の人』が2012年1月15日(日)から、TBS「日曜劇場」で初の連続ドラマ化されることになった。主演は元木雅弘、共演は松たか子、真木よう子、大森南朋、北大路欣也、ほか。どんな出来映えのドラマになるか、楽しみだ。ジャーナリズム関係者必見か、、、

※参考ブログ:

71年沖縄返還協定の裏での日米密約について老外交官が告白