ネット時代に新聞はどうやって生き残るのか?
既存のマスメディアの中でも、もっとも大きな生存の危機にさらされているのは、紙の新聞だろう。2000年以降、新聞の販売部数は一貫して減少し続けている。また、新聞の広告収入も減少を続け、インターネット広告費が新聞を追い抜いてしまった。
新聞閲読者は、従来から中高年層を中心としており、若者の新聞離れも加速している。その最大の原因は、インターネットやケータイ、スマホの普及である。最新のニュースを得るためには、インターネットやケータイ、スマホのニュースを見るのが手っ取り早い。新聞離れは、若者だけではなく、中年層でも広がっている。これは、テレビを見ながら育った年代層が、新聞視聴習慣をもたなくなっていることにもあらわれている。
新聞社の側でも、こうした状況に対応するため、インターネットやケータイ向けのニュース・コンテンツを提供してきたが、広告収入だけでは費用をまかないきれない状況にある。そこで、日本経済新聞や産経新聞などは、有料の電子新聞サービスを開始している。朝日新聞でも、2011年2月から有料電子新聞サービス(月額3800円)を提供し始めた。 紙の新聞と併読する場合には、デジタル版は500円プラスで講読できる。
果たして、有料の電子新聞は、一般の人びとに受け入れられるだろうか。過去の事例をみると、有料のビジネスモデルが成功した例はほとんどないのが実情である。新聞の強みは、全国一律料金で各戸配達によるサービスである。電子新聞は、これとはまったく異なる配信形態である。電子新聞が成功するとすれば、紙の新聞にはない特性(マルチメディア化、速報性、データベースとの連携など)が必要条件となろう。また、料金は月額1000円未満で、雑誌的なコンテンツの提供などが求められるだろう。
私の電子新聞利用
私自身についていうと、一時期、朝日新聞デジタルだけを購入し、紙の新聞をやめていた時期があった。いまは、朝日新聞の紙版とデジタル版を合わせて講読している。紙の新聞にもメリットがいくつかあることに気づいた。第一は、折り込みチラシの効用だ。妻は、新聞そのものは読まずに、チラシだけを熱心に読んでいる。紙の新聞にはこのような付加価値がある。また、紙の新聞には「閲覧性」が高いという大きなメリットがある。パラパラと新聞をめくっていくと、気になる記事が自然と目に飛び込んでくることがある。ネットのデジタル版だと、最初は見出しの一覧しか表示されないので、こういった体験はあまりできない。このような気になる記事を紙版でみつけると、PC版でこれを確認し、Evernoteにクリップ保存することが多い。 二度手間ではあるが、注目記事のデータベースを構築するには便利だ。なので、当分は、紙の新聞と電子新聞を併用するだろうと思う。
若い人の「新聞離れ」が進んでいることについては、やはり小さい頃から新聞紙に慣れ親しんでもらうのが一番だと思う。小学4年生になる愚息は、「朝日小学生新聞」を愛読している。マンガが面白いようだが、他の記事にも目を通しているようだ。
というわけで、新聞経営は厳しさを増しているが、近い将来、電子新聞に完全に代替されることはなさそうだ。
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