・電子雑誌元年がやってきた--電子「部数」が紙を上回る雑誌も(前編)
いま、「電子雑誌」が熱い
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A. Hansen, Environment, Media and commnucation より:
第3章 環境問題に関するクレイムとニュース
環境問題が社会問題として構築されかどうかは、公共的なクレイム申し立てが首尾良くいくことにかかっている。したがって、マスメディアが重要な公共的アリーナを構成することになり、そこにおいてクレイム申し立て者(とくに政府代表、権威のある人々、公式の政治団体、専門家集団、圧力団体など)の声、定義づけ、クライムが公共の場に提出され、互いに正当性を目指して競争し合うことになる。しかし、メディアは単なる便利な公共的アリーナであるだけではない。彼らは、ニュース製作という組織的、専門的な配置を通じて、争点やクレイム申し立て者を構築し、フレーミングを行うという積極的な役割を果たしているのである。クレイム申し立て者にとっては、メディアの報道を受けることはもっとも重要なタスクになることが多い。
メディア報道において、「だれが言及されるか」ということと、争点が「どのように」フレーミングされ定義されるかということとの間にはかなりの「一致」がある。
例:気候変動に関するアメリカのニュース報道に関する研究(Trumbo)によると、メディアによって報道されるクレイム申し立て者(科学者、政治家、利害団体)のタイプと、異なるフレームのタイプや突出性との間には強い関連がみられた。
しかし、メディアの報道は、クレイム申し立て者にとってプラスになることも、マイナスになることもある。報道はポジティブでクレイム申し立て者の正当性を高める場合もあれば、逆にクレイムやクレイム申し立て者の正当性を低下させる場合もある。最悪の場合、クレイム申し立て者に「過激な逸脱者」のレッテルを貼るようなケースもある。
ソールズベリによれば、何らかの問題についてクレイムを申し立てる者のなすべきタスクは、次の3つだという:(1)注意を喚起すること、(2)正当性を主張すること、(3)アクションを喚起すること。ソールズベリのこの3つのタイプ分けはクレイム申し立て過程におけるメディアの役割を評価する上で重要なツールになる。
(事例研究)グリーンピースのフレーミング:アングロダッチシェル石油会社に対するアクション
1995年、シェル社が北海に設置されていた余剰の石油採掘プラットフォーム(Brent Spar)の海洋投棄計画に対して、グリーンピースが激しい反対運動を展開したが、この事件は、複雑に絡み合ったアクター/当局者、クレイム、クレイム申し立て過程、争点キャリア、ニュース報道などが合わさって、社会的・政治的な影響と変化を生み出した典型的なケースといえる。この事例で明らかになったのは、クレイム申し立て者がかれらのクレイムや行動のメディアフレーミングを管理すること、あるいは影響を与えることの困難さであった。
<グリーンピースのフレーミング>
グリーンピースやその活動家たちは、一般に「グリーンピース」「プロテスター」「活動家」「キャンペーン者」などと言及された。しかし、『テレグラフ』紙は、もともと反グリーンピース的な論調をもっていたが、この事件については、さらにネガティブな報道を行った。テレグラフ紙はグリーンピースの反シェル運動について「迷惑者」「単一争点+政治のキャンペーン家」「反抗者」「陰険な輩」「過激なエコ戦士」「エコセンチメンタリスト」「感情的」「軍団」「非民主的」「無責任」「宣伝家」と形容して報道した。
『メイル』紙や『ミラー』紙がグリーンピースとシェルの間の戦いをヒロイックなプロテスターたちと「巨大な」「多国籍」企業との間の戦いとして報道したのに対し、テレグラフ紙はBrent Sparをめぐる戦いをダヴィデ(グリーンピース)とゴリアテ(シェル)の間の戦いとして描き、グリーンピースそれ自体を多国籍組織として、その大きなサイズ、価値、パワーに焦点を当てる報道を行った。
パワフルな(企業や民主主義や国民にとって)脅威的な組織というグリーンピースに対するフレーミングは、その政治活動を「環境のジハード」「ハラスメント」「ブラックアート」といったレッテルを貼ることでいっそう強調された。テレグラフ紙の報道では、グリーンピースは高いモラルをもった理想的な草の根の「ダヴィデ」ではなく、ひとつのパワフルな多国籍の、裕福な組織として描かれた。
テレグラフ紙のグリーンピースに対するネガティブなフレーミングに対し、メイル紙は全体としてはグリーンピースを勇気ある行動をとったプロテスターとしてフレーミングする傾向がみられた。また、ミラー紙もグリーンピースの戦士たちを「ヒーロー」「ファイター」「グリーンの戦士」といったポジティブな言葉で好意的に報道した。ミラー紙はシェル社の態度変化(海中投棄の中止)が「人々のパワー」の結果だと報じることによって、読者たちに参加意識をレトリカルに構築するという役割を果たしたのである。
→ (参考)ブレントスパーに関するグリーンピースのウェブサイト
<政府、企業などのPR活動の展開>
環境問題に関するメディア報道に影響力を行使しようとするクレイム申し立て者としては環境圧力団体に注目が集まっているが、政府、産業界、ビジネス、研究機関、専門家集団なども、ニュースの提供、パッケージング、マネジメントの活動にますます携わるようになっている。とくに資料が多いのは、政府のニュースマネジメントであり、また伝統的にパワフルなエリートだけではなく、「アウトサイダー」や資源の乏しいキャンペーン団体によっても幅広く使われるようになったPR活動である。それが「新しいPR民主主義」とも呼ばれるようになっている。
<クレイム申し立てとメディアの可視性>
メディア報道やパブリシティを通じて公共的な可視性を獲得することは一般にクレイム申し立て者や圧力団体のもっとも重要な目的だと仮定したいという誘惑にかられやすい。結局、「もしあなたがメディアの中に存在しなければ、あなたは存在しないのだ」という考え方に、これまで多くのメディア研究や世論研究が同調してきた。たとえば、培養理論を提唱したガーブナーはメディア報道の不在を「シンボリックな絶滅」と表現した。培養理論の前提とする考え方によれば、メディアは現代の重要な「ストーリーテラー」であり、誰が存在し、誰が重要であり、誰が誰に対して権力を行使しており、何が正しく何が間違っているか、何が受け入れ可能か、といったことについての道徳的物語を絶えず供給し続けている。
このような議論は確かに説得的であり、クレイム申し立ての重要性を説く構築主義的な見方と「適合」するものである。しかしながら、周到なパブリシティの管理(特定の議論やクレイムや争点の徹底的な抑圧を含めて)は、メディアの注目を集めたりより広いパブリシティを受けるための努力よりも戦略的には効果的かもしれない。
広範囲にわたるパブリシティはある集団のクレイム申し立て目的のためには、ネガティブな影響を及ぼす可能性もある。イバラとキツセが述べているように、どのクレイムもカウンターレトリックあるいはカウンタークレイムを引き起こす。これに関連した、圧力団体のクレイム申し立ての「副作用」は、それが反対勢力のパブリシティ活動を先鋭化させるという点である。例えば、環境活動家はしばしば企業組織によるPR活動を刺激し、圧力団体の議論やクレイムに対抗するような企業PR活動を先取りさせるような効果もある。具体的事例としては、Brent Spar事件のとき、グリーンピースによる反シェルのキャンペーンは、シェル社のPR戦略を転換するきっかけとなった、という出来事があげられる。
圧力団体を「インサイダー」と「アウトサイダー」に分けるという方法は有効である。インサイダ-集団は政府から正当性を与えられ、定期的に相談を受けている。アウトサイダー集団は、当局者とコンサルタント的な関係に巻き込まれることを嫌う。この分類法は、圧力団体が環境など同一の領域で政府や公式の政治やメディアに対してなぜ異なるアプローチをとるかを理解するのに役立つ。実際にはこの二つは断絶したものではなく、連続線上にあり、異なる圧力団体はインサイダーとアウトサイダーの両極の間のどこかも位置づけられるものである。あるグループは、政府から正当なものとして認知され、閉じられたドアの内部でロビー活動などを展開し、メディアはそのたの公共的アリーナから隠れて活動する。他のグループとして、例えば「地球の友」などは、政府とのコンサルテーションにフォーマルに参加し、ある問題についてはその活動が公共的に「見える」形で関わるが、他の問題では政府とのコンサルテーションとはまったく切り離された形のパブリシティ戦略をとる。さらにその他の圧力団体(例えばグリーンピースのような)は、明確にアウトサイダーのポジションを守り、基本的に批判的、独立的なスタンスを維持する。
メディアとパブリシティ戦略という視点からみると、インサイダー集団はパブリシティ・シャイであり、メディアの報道やパブリシティを避けようとする。これに対し、アウトサイダー集団は全面的にマスメディアに依存し、メディアやその他の公共的アリーナにおいて注目を集めようとする。アウトサイダー集団がメディアやパブリシティに依存するのは、次の理由による:(1)メンバーをリクルートし、集団のキャンペーン活動に対する財政的な支援を受けるための、公共的な可視性、(2)集団がキャンペーンしている争点に関して、公共的、政治的な注目とアクションを達成するための主要なチャンネルとなること。
<アウトサイダーの環境圧力団体とメディア>
グリーンピースなどのアウトサイダー的環境グループは、扇情的なパフォーマンスを通じて、メディアの関心を引き、その結果、大きな報道を受けることに成功している。しかし、扇情的な行動や大胆な抗議活動だけでは、長期間報道され続けることができない。クレイム申し立て者として成功する鍵は、プレスリリースのタイミングをうまく設定すること、報告書の公表を政治的イベント(例:議会での審議、政府の報告書発表、国際会議の開催など)に合わせる点にもある。(訳注:最近でのイベントでいえば、「TPP」参加問題をめぐる国会審議や国際会議の開催などがあげられるだろう)
この点からいうと、クレイム申し立て者としての効果は、すでに政治の舞台で正当なフォーラムが形成され、争点ないし社会問題として報道され、認知されていることから生じる。したがって、成功を収めている圧力団体は、ジャーナリストと友好関係を結んでいる場合が少なくない。彼らはジャー-ナリストに情報を提供することによって、報道をよりスムーズにするという役割も果たしているのだ。それによって、環境問題における焦点を圧力団体にとって都合のよい方向へと導くこともできるのである。
<グローバリゼーション、アクティビズム、新旧メディア>
環境活動家やクレイム申し立て者は、長い歴史の中で、公共的アリーナやそれに付随するメディア技術を創造的に活用してきた。この点で、必要は発明の母というが、必要性(限られた資源、主流メディアへの限られたアクセス、政策決定者への限られたアクセス)が発明の根底にあった。グリーンピースや地球の友などの圧力団体は最初期の段階から、ビジュアルなものやスペクタクルが主流のメディアに対して効果的だということを理解していた。
新しいメディア技術が幅広い国民に利用可能になるにつれて、環境圧力団体も、こうした新しいメディア技術(インターネットなど)をキャンペーン活動やコミュニケーション戦略に利用されるようになった。とくに、インターネットが環境団体にとって最大の魅力なのは、それが伝統的なニュース組織をバイパスすることができる点にある。ビジュアルな情報機器(ビデオなど)とWWW(ウェブ)が結合して、抗議活動やパフォーマンスを統制し、有効なフレーミングを行ない、ニュースやキャンペーンを直接的に大衆に届けることができるようになった。
ただし、インターネットなどの新しいコミュニケーション技術は、デジタルデバイドなどもあり、必ずしも既存の主流メディアを代替するものではなく、むしろ補完的に利用されるようになったことも確かである。インターネットは、独自の戦略やテクニックをもつ自律的なメディアではなく、既存のオフラインメディアを拡張するという、補完的な利用がなされているのである。
(以下、省略)
日本では、電子書籍の出版事業が始まり、利用端末も整備されてきたことで、「電子書籍元年」といわれています。けれども、一歩先を行くアメリカでは、「書店」業界が厳しい冬を迎えているようです。きょうの産経新聞からの引用です。
業界団体「全米出版協会(AAP)」の見積もりによると、10年8月の時点で、米国全体の書籍販売(学術書をのぞく)のうち電子書籍の売り上げが9%に達した。09年末時点では3・3%にとどまっていたから、驚異的な伸び率を記録したことになる。日本でも、「明日は我が身」となるかもしれません。どうすれば、業界と読者の間で、棲み分けが進むのか、明日のビジネスモデルが問われることになりそうです。
一方、米2大書籍チェーン店のバーンズ・アンド・ノーブルとボーダーズはいずれも経営不振が伝えられ、合併や身売り話がささやかれている。
師も走る12月、今年も残すところあと2週、来週はクリスマスですね。
これから年末にかけて、NHKオンデマンドでは、見応えのある番組をドンドン
配信しますのでご期待ください!
民主党の小沢一郎元代表は17日午後、自らの衆院政治倫理審査会(政倫審)出席に関する対応について党本部に秘書を派遣し、文書で岡田幹事長に回答した。。文書では、自身が近く強制起訴されることを踏まえ、「裁判を行うことが確定している私が、政倫審に自ら出席しなければならない合理的な理由はない」として、現時点で政倫審への出席を拒否する意向を伝えた。
(読売新聞12月17日14:26)
カシオは、屋内でも位置情報を測位可能なGPS搭載コンパクトデジタルカメラ「EXILIM EX-H20G」を11月26日に発売する。価格はオープンプライス。店頭予想価格は4万円前後の見込み(デジカメウォッチより)。
最近話題になっているテーマとして、ウィキリークス問題があります。ウィキペディアとは何の関係もないウェブサイトです。ウィキペディアによると、「WikiLeaks(ウィキリークス)は、匿名により政府、企業、宗教などに関する機密情報を公開するウェブサイトの一つ。創始者はジュリアン・アサンジ。」とあります。アサンジ氏は、婦女暴行のかどで、きのう逮捕されましたが、その後もウィキリークスからの公的文書流出が続いているようです。なんと1000ものミラーサイトがウェブ上で公開されているということですから、先日の「尖閣ビデオ流出」事件と同様に、情報流出をとめるすべはないでしょう。ウィキリークスは、現代史を大きく変える可能性を秘めています。現代史研究者は、この事態をどう受けとめるでしょうか?今後の行方に注目したいと思います。